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7 MEN 侍 舞台「MASSARA」

7 MEN 侍の舞台「MASSARA」観てきました!!

既存のジャニーズ舞台の悪しき風流がない

ジャニーズの舞台と言えば、「少年たち」「ジャニワ」「ドリボ」など、ジャニー喜多川色が強い舞台が多かった。
ジャニー喜多川色というのは良くも悪くもトンチキで、難解なように見えてナンセンスなのだ。

「13月?」「脱獄?」「鉛の板?」という首を傾げるような設定の数々。
それがジャニーズ舞台の面白さであるのだが、やっぱり観客が置いてけぼりになってしまっていて結果的に「ジャニーズの舞台って内容はよく分かんないけど、でも自担の顔を観に行くものだから」となってしまう現象が起こっていた。

だが、MASSARAは本当にシンプルで分かりやすい現代劇だったので、観劇初心者でもジャニオタじゃなくても幅広く受け入れられやすい内容となっている点が良いなと思った。

また、当然ながら少年たちの「桶ダンス」のような演者を性消費するような演出はない。
安心して見られる。

性消費って何も裸で踊ることだけじゃなくて、今までのジュニアの舞台って隠し芸や一発芸的なことを幼い子が挑戦して「ちょっと出来ないところが可愛い」みたいなノリがあった。
それもある意味歪な形の娯楽だと思う。

MASSARAには無所のジュニアの子も出ていたけど、そういうパフォーマンスの未熟さを茶化すような演出はなくて、しっかりパフォーマンスへの対価としてチケット代を払っている感じがして良かった。

まっさらな歴史をこれから作っていく7 MEN 侍

MASSARAは今回が初演となる作品で、7 MEN 侍が内容にも携わったという。
毎年秋の松竹は「少年たち」をやるのが近年の恒例だったが、それが今年は出来ない。
まさに「まっさら」な状態から作り上げていった作品だ。

本人たちのキャラクターや得意領域に当て書きされていたので、侍のファン的には「エモい」と感じる瞬間が何度もあった。

だけどこの「MASSARA」という作品は侍だけでなく今後後輩たちに受け継いでいって長く続く作品にしたいと考えてるそうだ。

そんな事務所のリスタートの第一歩を侍が担うことが出来るなんて、なんて素晴らしいんだろうと思った。

グループでの箱の演技仕事ってアイドルオタクとしては一番エモを感じられるものなので、こんな光案件の箱演技仕事があって、とても感慨深い。

各メンバーについての感想

矢花黎(ケイ)

今回、矢花が実質の主役ポジションだったの、見事な采配だなーと思った。
多分、歴の長さや演技仕事経験数、グループ内でのセンターという立ち位置などを考えると、嶺亜を主役にするのが自然だし、物語も作りやすそうだなと思う。だけど、そこが敢えて矢花なのが7 MEN 侍らしい。

矢花って、途中加入だし、メンバー全員から「優しい」って言われるほどの優しさの持ち主で、自己主張を抑えてる時もあって、だけど抱えてる感性と闇は誰よりも強くて。
そういう人間の二面性がケイという役に落とし込まれててなるほど、と思った。

矢花のメンカラである「白」が他のメンバーの影響を受けてカラフルに染まっていくのは美しくて感慨深かったな。

他のメンバーは結構素に近い演技だったけど、矢花は気弱さを強調してる演技で、終始可愛かった。

中村嶺亜(ハルキ)

上にも書いた通り、嶺亜が主役でもおかしくないのに嶺亜は主役ではない。見せ場の尺的にも他のメンバーに比べて若干短いように感じた。
これって嶺亜という人間の人柄の良さが出てると思う。
普段の立ち回りとか見てても、嶺亜って独裁国家みたいな謎権力を奮うことはあっても、「自分が主役!」みたいな魅せ方はしないんだよね。
特に感じたのはコンサートのソロ曲で「ベストフレンド」を歌って他のメンバーも出てくる演出にした時。嶺亜にとっては自分1人が輝くんじゃなくて、他のメンバーも一緒に輝ける環境が作りたいのかなと思う。
だから今回も嶺亜が主役って選択肢は恐らく出ただろうけど、本人が選ばなかったのかなーって勝手に推測してる!

ハルキは「昔は夢が沢山あったけれど、今は丸くなっちゃった」というキャラクター。スケボーに絵に…と多才で器用な嶺亜に重なる部分がある。

今回の舞台、嶺亜とこんぴの組み合わせが多くて良かった!
れあこんぴって見た目の麗しさ的な需要がある割に、今まで供給があまり無かったので、れあこんぴ2人の曲すごくかっこよかった!サラリーマンというのも性癖を突いてきて良い。

今野大輝(リョウタロウ)

夏のコンサートに続き、こんぴ絶好調だった。
なんて言うんだろ?自信に満ちたオーラを感じて、見ていて気持ちがいい。

リョウタロウという役も飄々としていて自信たっぷりで。
「こんぴが周りにこう見られたい、というのを具現化したのがリョウタロウなんだな」と思うと愛おしさが込み上げてきた。

リョウタロウって他のメンバーに比べて悩みへの葛藤の描写が少ないんだよね。
悩んでないわけではないんだけど。
これもこんぴらしいなと思っていて、自分の弱い部分や迷いを表に出したがらない人なんだろうなと思った。

リョウタロウが彼女に良いとこ見せたくてバンドのボーカルやりたがるけど、彼女と別れたからどうでも良くなるとこ可愛い。

あと、リョウタロウの親がアイドルオタクなの、「そこの部分当て書きするんだ!?」って思った。笑
リョウタロウもキムタク好きなのかな。

こんぴって動きがいちいち可愛いので、パソコンのエンターキーをカタカタターン!!ってするとことか、カチンコ持ってカチーン!ってするとことか、とても可愛かったです。

菅田琳寧(ダン)

琳寧って「太陽みたいな存在」ってよく表現されるけど、決して能天気とか図太いって訳ではないと思ってる。
人一倍悩んで、調和を大切にするタイプなんじゃないかな。

ダンもそんな役だった。
脳筋全振りみたいなキャラじゃなくて、「家庭の事情で進路を諦める」「皆と違う進路を選んだがために皆と距離を感じる」「苦手な仕事もやらなくてはいけない」、こういうダンが抱える苦悩をきっと琳寧も経験したことがあるんだろうなぁ、って。

あと、ストーリーの構成として良いなと思ったのは、各々の物語の中でダンの話が一番最初だったところ。
これって琳寧にも言えるところで、侍の中で1番キャッチーで取っ付きやすいんだよね。本人が自覚あるかは分からないけど、切り込み隊長的なポジションだと思う。
偉い順1位だしね。

当然ながら琳寧のアクロバットは見応えあり。
工事現場のシーンで歌いながらひょいひょい身軽に動く様は流石だった。

あとは筋肉ギャグね。
非常にシュールで良かった。

佐々木大光(タカ)

大袈裟ではなく、大光の存在で成り立っている舞台だと思った。まじで。
MASSARAって物語全体でいうとギャグ要素は少なくて登場人物も真面目なんだけど、大光が喋ると笑いが起こる。
これはタカがお調子者キャラだからだけではない。佐々木大光という人間が作る空気感、間合い、アドリブ能力全てが素晴らしい。
セリフの内容そのものじゃなくて、言い回しや間で笑わせられるのって才能だよ。

大光がカフェ店員に恋するシーンが、物語全体の中でも一番明るくて面白かったな。
イメソンがHey! Say! JUMPのWhite Loveなのも良い。
愛なんだの歌い出しもめっちゃ笑った。

大光を生で観るたびに思うけど、本当に脚が長くてスタイルがいい。ダンスが綺麗。ステージ映えする。

あと、工事現場のシーンでポールに跨ってるのがパンダみたいで可愛かった。

本髙克樹(カズト)

親からいい大学に行くようにプレッシャーをかけられる成績優秀なキャラクター、カズト。
親の期待に応えなきゃいけないからバンド活動は出来ない、という葛藤を抱えている。

これどうなんだろうね?
たしかに、本髙克樹のパブリックイメージって、とにかく「頭がいい」なので、「バンド活動のせいで勉強がおざなりになる」っていう描写は分かりやすいとは思うけど。
実際、本髙さんってその次元を超えているので、そこであんまり悩まなそうだなって思っちゃった。

でも「完璧じゃなきゃダメ」っていうセリフはめちゃくちゃ本髙さんぽいなと思った。
「(勉強を)完璧にしなきゃダメ(と親から求められている)」っていうニュアンスのセリフだったけど、実際のところは「(勉強もアイドル活動も)完璧にしなきゃダメ(と本人が思っている)」っていうのが、本髙克樹が抱えている葛藤だと私は思ってるよ。

焦りゆえに他メンバーにデリカシーのないこと言っちゃったり、でもすぐに反省したり、そういう不器用さを持つカズトはすごく分かるなーと感じた。
自分自身のことは不器用で鈍感でも、客観的に物事を見る時は冷静で優しくて鋭い洞察力を持っているところも。

本髙さんがメガネを外して荒ぶりながら雨傘を背面弾きして激しく踊り出すシーン、とても良かった。
顔が綺麗で何より。

無所ジュニア

無所はあんまり詳しくないので有名な子しか分からないのだけど、竹村くんはすぐに分かった!
「あだちいの」を観れて嬉しい。
千井野って顔が可愛いから勝手に小さいイメージあったんだけど、普通にデカくてスタイル良かった。

ケイが持つ白い闇

一番印象に残ったシーンは矢花演じるケイの独白で照明が付くところ。
それまで暗くて分からなかったが、照明が付くと舞台の床も壁も一面が真っ白だった。
白という色が持つ不気味さと無機質さを感じた。

白はケイが抱える闇の象徴だ。

私と友人で解釈が分かれたのだが、ケイってしきりに「僕の世界には色がない」と言うけれど、これって先天的な目の病気で色が分からないのか、中二病を拗らせすぎて世界に色がないなどと言ってみてるのか、どっちなんですかね?

私は前者だと思ってたので、「色が見えない」ことに劣等感を抱えて仲間にも言えなかったことで引け目に感じていたのかと思ってた。だからカメラに固執してるのかな、って。
でも友人は「ただの中二病でしょ」と言っていた。
皆さんの解釈はどうでしたか?


そして、ケイが怪我した理由。
これは「自殺未遂」ってことで良いのかな。
わざわざカズトが「本当に転んだのが理由であればカメラに傷一つないのはおかしい」と指摘することからも、他の理由があることは明らかなので。

でも作中でそれが自殺であることをハッキリと明言せずに含みを持たせたまま終わるところも良かった。

ラストシーンはケイを病室から連れ出して皆で夜の屋外で佇む場面だ。
ケイだけでなく全員が何かしら心に悩みや後悔を抱えている。
全員で再会出来たことによって多少癒されることはあったかもしれないけど、結局各々が心に抱える問題は根本的には解決してないまま終わる
特に、ケイに関してはこれが最期の思い出作りになって明日あっさり死んでしまいそうな儚さと危うさすらある。

決してハッピーエンドではなく薄暗さを抱えたまま終わるラストシーンは、彼らや事務所の未来への不安を投影してるのかもしれない。
でも、作中であった通りまだ「何者でもない」彼らは「何者にでもなれる」と思うよ。

真っ白な衣装と真っ白なセットがカラフルなペンキに染められていく最後の演出には希望も感じた。


総じて、
何回も観たくなる舞台でした。
来年の再演にも期待。

品川駅のMASSARAの広告。
交通広告沢山あってすごいなーって思った!



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