好きな街が増えるということ
最近、気づいたことがある。
表参道が好きだ。
表参道という街に流れる穏やかな空気感、洗練されたオシャレな街並み、ゴチャゴチャしてないのに華やかな街。
私は結構穿っているので、ハイソな空気を漂わせてくる物のことがうっすらと苦手だ。
だけど、先日久しぶりに表参道を訪れて「あ、この街好きだな」と思った。
何故表参道が好きなのかを突き詰めて考えてみた。
表参道でもがいた思い出
もう10年近く前の話になるのだが、私は表参道にある脚本家のスクール(シナリオセンター)に通っていた。
学生時代から演劇をやっていて、漠然と自分の書いた作品を誰かに演じてもらいたいという気持ちが強かった。
シナリオセンターには毎週1回通って、ドラマの冒頭10分のシナリオを毎週書き続けた。(シナセンの思い出はそのうち別で書きたい)
結局、本業の方が忙しくなってしまってスクールは途中で辞めてしまったのだけれど、私にとって表参道という街はスクールで自分の脚本を先生やスクールメイトに褒めてもらったり、酷評されたり、スクール終わりにみんなでご飯を食べに行ってあーでもないこーでもないと夢を語ったりした思い出が詰まっているのだ。
久しぶりに表参道に行って、その時のことを思い出して懐かしくなった。
好きな街になりうる街
自分が他にどんな街が好きなのだろうと思いを馳せてみる。
生まれ育った地元、学校があった街、職場があった街。
上記以外だと、御茶ノ水、吉祥寺、多摩センターあたりは行くたびに「あー、この街の匂いが好きだなー」と感傷に浸る。
御茶ノ水は高校生の時に予備校に通った街で、吉祥寺は大学生の時にバイトに明け暮れた街。多摩センターは、初恋の人とクリスマスデートした街。
単によく通ったからといって、その街を好きになるわけではない。
たとえば、渋谷とかは学生時代から今に至るまで頻繁に遊びに行ってる。
でも別にそんなに好きじゃない。
それは「遊びに行った」思い出しかないからだ。
それと、その街自体が素敵かどうかと好きになるかどうかも紐づいてなかったりする。
私は旅行が好きなので、全国各地を訪れて「いい街だな」と思ったりはするけど、それが上に挙げた「好きな街」と同じくカテゴリーかというと、別物なのだ。
ではどんな街が「好きな街」になりうるのか。
私にとって、「好きな街」はその街の中で必死で、全力でもがいて努力をした思い出が詰まっている街だな、と気づいた。
好きな街が増えるということ
表参道の空気を久しぶりに吸って「この街が好きだな」と感じた時、ちょっと嬉しくなった。
それは私が表参道という街で必死に努力をした証拠だからだと思う。
好きな街が増えるということは、それだけ自分の中で必死に生きた場所が増えることだと思う。
経験値が上がるたびに、好きな街が増えていく。
これから先も「好き!」って言える街を増やしていきたい。
そんなふうに生きていく。