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『SIVGA Que』レビュー。ヘッドホンメーカーの雄が満を持して送り出すエントリー帯イヤホンの実力は!?【PR】


概要

滑らかな曲線美を描くシェルに組み合わされた暖かみを感じる木製のフェイスプレート――
中国の東莞市に拠点を置くSIVGAは2016年に創業し、長らくハイエンド級のヘッドホンのメーカーとして名を馳せてきました。木製のパーツを多用した特徴的な独自のデザイン・サウンドに対する美学は世界中に多くのファンを抱えています。

SIVGAのイヤホンのラインナップは比較的高価格帯のモデルの先達としてNightingaleとSW001Rが存在していますが、エントリー価格帯のモデルは不在という状態でした。
そのSIVGAが満を持して投入する機種がQueとなります。既にいくつもの高い支持を得ているブランドなだけに発売前から注目度は非常に高いものでした。
価格帯としては約13,000円ほどと非常にライバルの多い価格帯ですが、実際に私の観測範囲でも多くの方が話題にしていたのが記憶に残っています。

ドライバには他機種でも多く見かける非常に評価の高い10mmベリリウムメッキダイヤフラムダイナミックドライバーを搭載した1DD機で、ハイブリッド構成のイヤホンも多い価格帯である中で非常に挑戦的な構成となっております。
そんなQueがいったいどんなものであるのか、次の章から紐解いていきましょう。

※このレビューはSIVGA様から直線レビュー品の提供を受けて行っております。レビューに際して金銭の取引はなく、レビューの内容は独立したものであることをここに記しておきます。

構成・外観

まずは外箱から見ていきましょう。外箱は黒字に金のアクセントを用いたデザインで非常に目を引くデザインとなっています。

外箱
蓋を開けた状態

蓋を開けるとSIVGAのロゴとQueの本体がお目見え。
中のデザインは落ち着いたデザインと配色になっています。

イヤホンケースと取扱説明書

SIVGAのロゴ部分を開けると革製のSIVGAロゴが入ったケースと取扱説明書が出てきます。ケースはこの価格帯のものとしては非常に質感も高く高級感があり、とても満足感が高いです。

ケーブルとイヤーピース

ケース内にはケーブルとシリコンのイヤーピース二種類が封入。
ケーブルは高純度の無酸素銀メッキ銅を線材に用いており、デザインも本体に合わせて落ち着いたカラーリングになっており一体感があります。

フェイスプレート

イヤホン本体。特徴的な北アメリカ産メープルを用いたフェイスプレートにSIVGAの焼き印が入っており、落ち着きがありつつも非常に個性的なデザインに仕上がっており、また、木製のプレートはシェル内での反響を吸収しよりクリアで自然な音響効果をもたらします。シェル本体もダイカスト亜鉛合金で出来ており、手にするとひんやりとした感触とずっしりとした重量感があります。
シェルは精密なダイキャスト技術によりノズルと換気孔のサイズが精密に制御されており、これによってダイヤフラムの動きを最適化することで各周波数を正確にコントロールすることを可能としています。
この結果サウンドチャンバー内での反響を軽減しよりピュアで快適なサウンドの構築を行っています。

音質・サウンド

Queのサウンドを一言で表すなら、『色がないのが特色のサウンド』でしょうか。

Queの価格帯は非常に人気のある価格帯でもあり、多くのイヤホンメーカーがしのぎを削る場所でもあります。その中で特色を出すために各社とも特徴的な音作りを行っているモデルが多いですが、Queではその逆のアプローチを行い、非常にスッキリとしたモニター的サウンドに仕上がっています。

・低域

低域はキックに非常にキレがあり、立ち上がりの早さを感じます。
前述の通り、サウンドとしては非常にスッキリしたサウンドに仕上がっているため極端な強さは感じないものの、音楽全体の中でリズムを見失わないよう少し太めでアタック感が強めのアプローチをしているように感じます。
このおかげで、モニターライクなサウンドの中でも縦ノリ系の楽曲も楽しく聴くことができ、無味乾燥なサウンドから一歩踏み込んだQueならではのサウンドに仕上がっています。
ベースは比較的おとなしく、文字通りサウンドの引き立て役の土台としてあまり主張することなく鳴っている印象ですが、あくまでQueのモニターライクなサウンドに収まる範疇で鳴っており、存在を忘れるようなスカスカとした音ではなく非常に芯の通ったソリッドなサウンドを鳴らしているのがさすがと言わざるを得ないです。

・中域

ここで全体のサウンドが決まると言っても過言ではないくらい重要なレンジですが、この音域でも歪みやカサつきといったものとは無縁のすっきりとした透明なサウンドを奏でてくれています。中域は少しサウンドのバランスが異なるだけで違和感を感じたりモコモコとしたサウンドになってしまいますが、Queはそのしっとりとした丁寧なサウンドを如何なくここでも発揮しています。

・高域

この価格帯のイヤホンではやはり特色を出そうとしてかなり強めのチューニングになり高域が出っ張っているようなサウンドになるものもある中で、Queは非常にバランス感に優れた音を奏でています。
超高域にまで耳を傾けると若干のカスレを感じることもありますが、あくまで同価格帯ではなく更に上のレンジと比較してであり、約13,000円というエントリー価格帯の高域のサウンドとしては非常に完成度の高いものと言わざるを得ないです。

総評

総じて価格帯を考慮するとデザイン・サウンドの両面からして非常にコストパフォーマンスが高く、1万円強という価格の中で非常に秀でた存在と言えると感じます。
モニターライクなサウンドに絶妙なバランスでアクセントを加えて独自のサウンドに仕上げつつも、ジャンルを選ばず楽しめる透明感を見失わないサウンド、そして付属品まで行き届いたデザイン哲学はこの価格帯ではなかなか見られない稀有な存在でしょう。
よほどのライバルが現れない限りは、数千円のモデルからのステップアップとしての受け皿としてSIVGA Queはこれからも多くの人に愛されるモデルとなるのではないでしょうか。


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