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ヒョナの物議スタイリング、あれで正解だったのでは?
YouTubeで流行りの曲のMVをいろいろ眺める間に感じた「これってもしかして……」という思いつきをきっかけに、映像の構成を「何故こう作ったのだろうか」と勝手に解釈する作業が好きだ。
芸能人ではないド素人の感想でしかないので、ここに投稿したところで制作スタッフさんやアーティストご本人様の誰を直接傷つける心配もない。
どんな感じで解釈してるのかは、過去に投稿した大森元貴さんの「Midnight」MVについての記事を参考にどうぞ。
かなり前にYouTubeで秋山黄色さんの「Caffeine」という曲のMVにコメントしたことがある。ここでの記事にまとめようか悩んで、長くなりそうで頓挫した。今後投稿するかはわからない。
今回取り上げるのはK-POP、hyuna(ヒョナ)さんの「Q&A」。
全体コンセプトとヒョナの衣装替えの目的を仮定
彼氏とヒロイン(ヒョナ)の大恋愛の末の別れなのは当たり前として、問題は中身。
こんな美人の恋人捕まえておいて坊主頭に刈り上げる以上は、刈るだけの正当な理由がある筈だ。
兵役に行くことが決まった、もしくは元彼に余命宣告が下った。そのどちらかだろうと筆者は見受ける。そうなると、お別れ直前の思い出作りの日々の回想、が映像の全体のコンセプトなのかな。と。
薄いナチュラルメイクのヒョナのパートは、彼氏に見せたい外側のいつも通りの笑顔。
目力強いヒョナのパートは、ヒョナの「死に向かうあなたを笑顔で見送りたい訳ないでしょふざけんな」を言ってしまいたいのに言えず、別れた後も尚燻り続けるやり場のない怒り、という勝手な解釈。
以降、映像内の男性を「元彼」表記とする。
ヒロインと元彼のいじらしさ
歌詞の和訳を見るに。歌詞の主人公であるヒロイン(ヒョナ)は、心から元彼を愛している。いつだって力になりたいし、辛いであろう心を誰よりも傍で支えたい。そのためなら元彼から与えられるものは痛みでもいいくらいに献身的な印象。
でも、元彼だって同じくヒロイン(ヒョナ)が大切。だからこそ「私を好きにしていいのよ、いつでも何でも聞いてよ」なんて言われてもヒロインに八つ当たりしたり嫌な思いをさせたいわけが無い。
最後までヒロインの献身に甘えることなく出来るすべてで大切にして、幸せでいてほしいからこそ、死ぬかもしれない自分との関係を絶つことにした。ヒロインとの限られた時間の間にも入隊前or闘病前に知人の挨拶の電話は来るけど、非日常が始まる恐怖を飲み込んでヒロインを心配させないように笑顔で電話を受け続ける。
そんな揺るがない優しさと覚悟に惚れ込んだからこそ、ヒロインは泣き縋ることなく別れを受け入れるしかなかった。それがヒロインにとってきっと、受け入れなければならないと感じさせるほどに珍しい元彼の我儘だった。
曲の最後にぼんやり見つめる窓の向こうにきっと元彼がいる。遥か彼方の国境で国を守るために優しすぎる元彼が働いてくれているのか、病院で頭を剃らなければならない病と闘っているのか、はたまた別の理由か。
あのスタイリングであった理由とは
もし上記の解釈で正しいとしたら。
物議を醸した例のスタイリングすべてに納得がいく。
そう、この曲を知る全ての人間が「ああ、あれね……」と思うであろう、あのダンスパフォーマンス動画。
不自然に濡れたボサボサの長い髪、ミドルテンポのチル曲調に不釣り合いなかなりがっつりめの濃いメイク、見るからに浮いている水色の露出高い衣装、膝から下のボリュームたっっっぷり重そうなファー。
どのYouTube動画を見てもファンの反応は悲劇一辺倒だ。「似合わない」「スタッフは何をしてる」「本人のセンスが合っていない、ファンの声を聞くべき」。見ていてヒョナとスタッフが可哀想になるようなコメントで溢れかえっている。つらい。
私も正直なところ、最初は「んんん??」と思った。
しかし、最初だけ。数多のコメント同様に彼女のスタイリングを否定するには、余りにも「ヒョナ本人の姿と、歌声・曲調の儚さに違和感がありすぎた」。
解釈を楽しむうえで、この違和感をそのまま拒絶反応に結びつけるのはよくない。逆に、その違和感にこそ解釈のヒントになる根が張っていることがほとんどだ。
Red Velvetさんの「Peek-A-Boo」にしろSHINeeさんの「Good Evening」にしろ。
「これでいく」と決めた全てには、何かしらの理由があるはずだ。アイドル歴こんだけ長いんだから今更センスない訳ないだろ。
ならば、今回のヒョナのあのスタイリングのすべてはそれぞれヒロインの何を象徴しているのだろう。
・濡れた髪=プールに潜ってキスを交わした思い出から浮かび上がれない喪失感。
・鮮やかで爽やかな水色=元彼に良い思い出だけを残すために物分りの良い女を演じた外面の象徴。
・強い女しか堂々と着れないデザイン衣装→別れという運命へのヒロインなりの反骨精神
・足元のファー=衣装自体はフェイクファーだろうが、ファーは元々は動物の毛皮。動物の命と引き換えに得る生地、つまり兵役or病気で元彼を亡くす可能性への恐怖。
・ひきずりそうなほどのファーのボリューム=未練。
・真っ赤なルージュ=歌詞の和訳の通り、いつでも何でも聞いてくれたら誠実に答える準備が出来ている唇を目立たせるため。唇はキスを重ねて落ち着く場所でもあり、癒す言葉を贈るためのもの。
結びという名の言い逃れ
おおむねこんな感じの解釈にまとまった。
最初から最後まで考察好きのにわかファンによる勝手な想像でしかない。制作スタッフは単純に「たまにはこういうコンセプトで流行りのチル系やらない?」ととりとめのない失恋ストーリーをヒョナにやってみて欲しかったのかもしれない。
絶対間違っているうえに穴だらけのため、細かく突っ込まれるとしんどいものがある。悪しからず。