天皇賞(春)・考察

Twitterに上げた各馬短評がとっちらかって読みにくいので記事にまとめました。無料です(強調)

前回(皐月賞)の結果

◎ベラジオオペラ
〇タスティエーラ
▲タッチウッド
→はずれ

天皇賞(春)・前提


2年の休止期間を経て、京都競馬場に戻った天皇賞・春。大きなポイントは2周目が内回り→外回りに代わることと、直線の急坂がないこと。阪神春天は本質的に内回りのレースなので2周目3角の入り口から仕掛けていく持続力勝負になったが、京都春天はコーナーの下り坂をゆっくり降りて直線の上り勝負になりやすい。上り最速馬の成績が4-1-3-3(過去10年)と優秀で、しっかり上りを使えた馬が勝ちやすいレース。直線が平坦で減速ポイントがないので、トップスピードの絶対値が要求されるコースである。

また、阪神・京都問わず、「菊花賞馬」の成績が非常によく、直近では菊花賞馬が4連勝中。京都菊花賞馬ワールドプレミアが阪神春天を制していることから、コースの違いはさておき菊花賞を取れていること自体が強調ポイント。今年はタイトルホルダー、アスクビクターモアの2頭の菊花賞馬に加え、アスクビクターモアに目前まで迫ったボルドグフーシュ・ジャスティンパレスが参戦。ほぼ菊花賞馬4頭参戦といってもよく、レース考察の中心はこの4頭の序列評価になりそう。

3200mという平地GⅠ最長距離のレースなだけに、スタミナ・長距離適性が重視されやすいが、「クラシックを戦うスピード能力があって長距離も走れる馬」と「足が遅くて長距離レースしか走るレースがなかった馬」との間には明確な差がある。前者は菊花賞馬2頭、後者は2600m以上の条件戦を勝ちあがっていたり、ステイヤーズSなどの長距離重賞のみが重賞勝ちの馬を指す。 スタミナ色よりもトップスピードが求められる(阪神比)京都春天ではよりその傾向は顕著になると思う。

各馬考察

タイトルホルダー

強い。昨年の春天を逃げ切り圧勝、その後一気の1000m短縮した宝塚記念でレコード圧勝と、当時の古馬戦線で最も強かった馬であることは疑いようがない。有馬記念ではボルドグフーシュ、ジャスティンパレスら現4歳世代に後れを取ってしまったが、この馬にしてはスタートはズブく押して押して出して行ったし、勝負どころの手応えも全くで、本調子からは遠い内容だった。22凱旋門賞に出走した馬が軒並み次走調子を落としたりケガで引退していたりするので、この内容はノーカウント扱いでいいと思う。立て直した日経賞では、番手でつつくはずだったアスクビクターモアの出遅れもあり楽逃げ大楽勝。本来の調子に戻ってきたと思ってよさそう。

菊花賞も昨年春天もそうだが、逃げ切り勝ちの際に競りかけられていないため楽逃げして恵まれて勝ったように見えるが、そもそも長距離レースに出てくる馬のスピードではタイトルホルダーの逃げに競りかけることがほぼ不可能な面がある。ズブい長距離馬が中距離で通用するスピードのあるタイトルホルダーに競りかけるには出鞭でもして押していかないといけないが、1周目の直線でゴール板前を通過する以上馬が距離を勘違いする可能性もありそこまで強引には出していくことができない。なので、つつけるとすれば馬なりで前につけれて中距離質のスピード能力のあるアスクビクターモアのみか。そのアスクも田辺から横山武へのスイッチで、潰し合うより共存を選びそうな気もするので、展開的にも普通に勝ちきるイメージの方が強い。

直線のトップスピード勝負になる京都替わりだが、そもそもの基礎スピード能力の高い馬で前目からそこそこの上りが使える。イクイノックス級の鬼脚相手なら別だが、今回のメンバーにそこまで抜けて速い上りが使える馬がいるとも思わず。先頭から上位の上りを使って後続届かずが一番ありえそう。能力・実績に対して嫌える要素が薄いため最上位の評価を打つ。単独◎候補。

(補足)タイトルホルダーが先頭で3F35.5の上りを使った場合、後ろから行く馬は3F35.2で2馬身、3F34.6で6.5馬身差のポジションにラスト3F地点でいなければいけない。
前者はアスクビクターモア、後者はボルドグフーシュを想定。京都春天の上り3F34.6はフィエールマンの上り能力同等。

(補足の補足)タイトルホルダーの上り3F仮定値は、昨年の春天の上り36.4から阪神→京都分0.9早くなると仮定して設定。
阪神→京都の上り0.9差はワールドプレミアの京都菊花賞・阪神春天の上り3F差から。仮定に仮定を重ねたガバガバ計算なので参考レベルで。

ジャスティンパレス

菊花賞はセイウンハーデス・アスクビクターモアが作ったハイペース消耗戦で、ここに対応できた3頭は非常にレベルの高い馬。ただし、ハイペースを番手で行って早めに捕まえに行ったアスクビクターモア、3~4角を外外に回して動いたボルドグフーシュに比べると上手く距離ロスを抑えた好騎乗で、それでも2頭に0.1差つけられたのは内容的に差があるように思う。 阪神大賞典はボルドグフーシュに0.3差の快勝だったが、アフリカンゴールドが4着に残るスローペースの前有利展開で楽なレースだった。前哨戦の楽なレース質ではボルドグフーシュに勝てることは神戸新聞杯からもわかっていたことなので、このレースから新たな強調材料は無かったように思う。今回はタイトルホルダーがしっかりタイトルホルダーのペースを刻む本番で、タイホ・アスクビクターモアを超えるパフォーマンスが出せる根拠が見出せず。一枚落ちの▲候補。

ボルドグフーシュ

22菊花賞ではアスクビクターモアとハナ差で実質菊花賞馬(?)。強い。他馬がバテるような展開でも着実に後方から追い込んでくるタイプで、有馬記念までなんと7戦連続上り最速。有馬記念ではイクイノックスよりも速い上りを使っており、今回の後方差し勢では一番の上り能力がある。前走・阪神大賞典では苦手なスロー瞬発戦、ジャスティンパレスは内をロスなく進路取るなか外目を回され、前半ポジションを取ったこともあり末脚不発という内容。テン乗りの川田Jも前目につけてどのくらいの上りが使えるか測ったようなレースぶりだった。恐らくこの結果を受けて本番では無理に位置を取らず控える可能性が高いと思うし、タイトルホルダーの締まったペースで流れるのも向く。
スパッと切れるというよりは加速に時間がかかるタイプなので下り坂で加速出来て直線の長い京都外回りはいい。右回り大箱でのトップスピードの根拠がゆきやなぎ賞しかないのが判断材料不足ではあるが、上り2位に0.6つけた傑出度なら。高速馬場のイメージがやや難しいが、長い直線が一番向きそうなのはこの馬。後述アスクビクターモアと並んでの〇候補評価。

アスクビクターモア

菊花賞が本当に強い。セイウンハーデスの1000m58.7という3000mとは思えない逃げを番手で追走し、4角早めから捕まえに行きゴール前はほぼガス欠になりながらなだれ込んでレコード勝ち。かなり負荷の高いレースで好評価できる内容だった。そもそもこの馬はレベルの高い22クラシックにおいて皐月賞5着、ダービー3着と世代トップクラスの能力を示しており、皐月・ダービーで掲示板に乗れなかったジャスティンパレスとは1枚差がある印象で、それが菊花賞の着差にも出た形。 やや昔の話になるが、アイビーSで直線ドウデュースと叩き合った実績からも、長い直線のトップスピード勝負にも対応できる能力はある。 クラシックで戦えるだけのスピード能力がありながら長距離も走れたタイプのステイヤーなので、前提にて挙げた強い長距離馬そのもの。

このレースでの大きなポイントは、タイトルホルダーをやっつけに行くか共存するか。前に馬を置いてペースが緩むとかかるタイプだが、タイトルホルダーがしっかり流れるペースを作ってくれるので道中は2番手で落ち着く可能性が高そう(鞍上同士の関係性もあり)。また、菊花賞でやったような3角早めから捕まえに行くような競馬は京都では難しく、下り坂の終わり~直線の入り口くらいで捕まえに行く競馬になるのでは。直線勝負でタイトルホルダーを捕まえるだけのポテンシャルは持っていてもおかしくないので、負かす可能性はそれなりにありそう。 道中の運びに不確定要素はあるが、現状〇候補。

シルヴァーソニック

長距離重賞を2連勝し、いかにもスタミナがありそうな馬柱だが、中距離でスピードが足りなく長距離路線にシフトした馬。2走前のステイヤーズSも鈍足ステイヤーの集まったレースで強調できず。長距離OP・重賞で勝ったり負けたりしているアイアンバローズ(昨年大敗)、マカオンドール(昨年大敗)らと同程度の能力値に思え、メンバーの揃った今回は厳しそう。無印。

ディープボンド

凱旋門→有馬はタイトルホルダー同様度外視するとしても、去年の春天→宝塚記念でタイトルホルダーに完敗。さらに前走阪神大賞典では得意の阪神3000mで、1000m64.9という前有利の流れを番手で先行しながら伸びきれず、アフリカンゴールドはかわせずブレークアップにも差されてしまった。
去年と同じだけ走れてもタイトルホルダーとは明確に差があり、強力な4歳世代3頭が新たに加わるメンバー強化で厳しい中、自身もピークアウト感があるのがつらい。京都の長い直線が向くイメージもなく、やはり2年前に勝ってGⅠタイトルを取っておきたかった。無印。

マテンロウレオ

皐月賞・ダービーはともに2桁着順でアスクビクターモア、ジャスティンパレスとは明確に差をつけられたが、古馬中距離路線で戦えているのはいい。前走もかなり上手く乗ったとはいえ中距離GⅠ・大阪杯の4着は評価できる。上位4頭に食い込む余地は薄そうに見えるが、中距離質のスピード能力があるので他の長距離専門馬よりは上に取りたい。かなり買わない寄りではあるが、枠順次第で一考の余地ありの△評価に。

ディープモンスター

アンドロメダSできっちりマテンロウレオに負け、金鯱賞では中山金杯上位組(≒ハンデ重賞級)のフェーングロッテンにしっかし負けた。マテンロウレオから1ランク落ちる印象で、マテンロウレオがぎりぎりの△評価な以上こちらは買えない。無印。

ディアスティマ

2年前の春天のハイペース逃げはかなり強いな、と当時は思っていたが、完全上位互換のタイトルホルダーが表れてしまったのがつらい。日経賞では3着ながらタイトルホルダーに完敗しており、逆転は難しそう。無印。

ブレークアップ

実績的には微妙なメンバー相手のアルゼンチン共和国杯を取れたハンデ重賞馬という感じなのだが、前走の内容が無視できない。先行して脚が甘くなったとはいえ、斤量2kg軽いボルドグフーシュ相手にクビ差まで追い詰めていた。5走前にヴェラアズール相手の2着があるのも見逃せない。

サンレイポケット

超ハイレベルな21秋天の5着や、左回り最強馬ヴェルトライゼンデに0.1差に迫った成尾記念など、ピーク時の最大打点はGⅠでも通用するレベル。ただ、2走前の日経新春杯ではそのヴェルトライゼンデに大きく水をあけられてしまったし、近走からはいい時の強烈な末脚が見られていない。得意条件の左回り・タフ馬場条件だった新潟記念凡走で個人的にはピークアウト判定をしたので、ここでは無印。

アイアンバローズ

脚が遅くて長距離路線に行くことになったタイプの馬。去年は2着2着と来たステイヤーズS→阪神大賞典で今年は全くいいところなく強調点が見当たらない。坂井Jへの乗り替わりはもっと早い段階で見たかった。無印。

ヒュミドール

メトロポリタンS、中山金杯で大敗しており、明確にマテンロウレオより格下。ダイヤモンドSもメンバー低調で強調材料にはできない。無印。

エンドロール

3勝クラスで右往左往していた馬、ようやくOP入りしたが、条件上りを買えるレースレベルではない。無印。

アフリカンゴールド

穴をあけるパターンはスロー逃げの前残りだが、タイトルホルダーがいる以上スローは叶わない。去年の大阪杯でジャックドールにつっかけていく事は出来たので玉砕逃げは打てるかもしれないが、打ったところでという感じ。無印。

トーセンカンビーナ メロディーレーン

流石に買えない。

枠順前・暫定印

◎タイトルホルダー
〇アスクビクターモア、ボルドグフーシュ
▲ジャスティンパレス
~~おそらく買わないだろうの壁~~
△マテンロウレオ、ブレークアップ

タイトルホルダーを最上位評価。恐らく馬券は▲までをオッズ見てやりくりになると思う。最内マテンロウレオ、大外ジャスティンパレスになったらギリギリマテンロウレオの▲昇格を考えるかな…ぐらいの温度感。

恐らく大半の競馬民が上記4頭を上位評価するはずなので、馬券の組み方は要検討。◎単勝+◎〇馬連1点など絞って取りたいのが第一感。

有力馬・枠順雑感

①ジャスティンパレス
スタートして出たなりで進めるだけでラチ沿いの前目をゲットしつつタイトルホルダー・アスクビクターモアをマーク出来る絶好枠。ルメールなら詰まる心配もなし
③タイトルホルダー
どう見ても絶好枠。逃げ候補のアフリカンゴールドが大外に行ったのも合わせて楽にハナが取れる。淀の坂を登る前に逃げ争いを終わらせて隊列を決めたいのですんなり決まる並びは良い。

⑥アスクビクターモア
タイトルホルダーのすぐ後ろを取りたいので、これも絶好枠。③⑥の隊列はすぐ決まりそうでテンのペースは落ち着きそう。

⑦ディープボンド
念願の内枠。ラチを頼れる条件なら全盛期エフフォーリア相手に0.1差、タイトルホルダーには先着している。③⑥のすぐ後ろが理想形か。

⑫ブレークアップ やや足りなさそうな本馬は内枠の助けが欲しかったが、外めの枠に入った上に上位3頭が内目の絶好枠、厳しい

⑬ボルドグフーシュ
内枠に入って前に行かざるを得ない展開は嫌だったので、下げて差しに専念できるのはいい。ただ①③⑥の並びが絶好すぎて隊列がすんなり決まると、ペースが落ち着いて苦手なレース質になる可能性が高め。単体で見ると良枠だが、全体として見るとあまり歓迎できない並びかも

⑰アフリカンゴールド
1歩目が遅く押して出していくタイプの逃げ馬なのでタイトルホルダーより外に入りたかったが、いくら何でも外すぎる。捨て身のガムシャラ逃げがもしかするとあるかもしれないので読めない。

枠順確定後・暫定印

◎タイトルホルダー
○アスクビクターモア
▲ジャスティンパレス
△ボルドグフーシュ
無印(降格) ブレークアップ、マテンロウレオ
ボルドグフーシュも悪い枠では無いが、上3頭が良すぎる。
強い馬が強みを発揮できる枠に入ったので、実質4頭立てと見て馬券は組み立てたい。

京都外回り・馬場

1勝クラス以上の外回りのレースは7R、9Rとどちらも小頭数ではあるが、直線の伸びはフラット。強い先行馬が内から、強い差し馬が外から伸びて来れる馬場であった。

気になるのは雨の影響だが、天気予報では明日9時ごろまで降り続けるとのこと。元々の水はけがいい上に今回の改修でさらに排水性を向上させた京都であれば、稍重~良馬場での開催になりそう。
そこまでタフな道悪にはならなそうなことと、乾くタイミングによっては内伸び傾向が出る可能性があることに注意して、当日の馬場は見極めたい。

予想印・前日

◎タイトルホルダー
〇アスクビクターモア
△ジャスティンパレス
△ボルドグフーシュ

枠順確定後の印とほぼ変わらず。〇アスクビクターモアの売れ行きが他3頭に比べ鈍いので、◎〇決着に絞って回収したい。
△ジャスティンパレスはやや売れすぎで、2着の馬券は買いたくない。

買い目
◎-〇馬連
◎〇-△△三連複2頭軸
実質4頭立てと見ているため、三連複2頭軸の方はワイドと同じ意味合い。
(◎〇ワイドが3倍、◎〇-△△三連複の合成が約5倍)

よほどの豪雨・極悪馬場化やオッズ変動がない限りこれが結論になると思います。
最終的な買い目はTwitterにて。


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