【受傷予防】「ケガはしない、させない」という指導を広めよう【事例動画紹介】
2021/6 追記あり: 動画を追加
まえがき
近頃私の身の回りではケガのニュースが多い。
子どもたちのケガもそうだし、プロのケガも多い。
もしかすると、そういうニュースを普段よりもキャッチしてしまっているだけかもしれないが、実際頻発しているように思う。
今回はケガについて改めて考えていく記事にしたい。
この下に目次を作っておくので、興味のある箇所だけでもぜひ読んでいただきたい。
ほぼ全編フリー。重要なところは全て公開している。
※ラストの動画紹介は諸事情踏まえてマガジン限定
ケガが最悪なものである理由
スポーツを楽しむ人たちにとって、ケガは最悪なものだ。
なぜ最悪なのか?
それは「夢中で取り組んでいる人ほどダメージが大きいから」だ。
日頃あった嫌なことをバスケ中は忘れることができた人
日々成長実感を得て人生が充実したものになっていた人
こういう人ほど、生活の一部が抜け落ちたような状態になる。
そもそもスポーツをしない人であれば、日常で多少歩きにくい程度のことは大したダメージではない。
(もちろんノーダメージではないのでケガしていいという訳でもない)
健康にはざっくりと身体的なものと精神的なものがある。
バスケ大好きな人がケガをした時、身体的なダメージももちろん大きいのだが、おそらくそれに付随した精神的なダメージが非常に大きい。
そして、本人も辛いが、周りも辛い。
応援していた家族やファン、コーチなど関係者にとっても「その人がプレイできないこと」には痛みを伴うものだ。
そういったことを踏まえて、やはりケガは最悪なものなのだ。
ケガする人、ケガさせる人
ケガが起きた時、そこには「ケガした」もしくは「ケガさせられた」のどちらかの要素が含まれている。
私はある程度の期間教えた選手たちに対しては必ず以下の話をしている。
ケガをしないようなプレイをするべきだし、ケガをさせるようなプレイをしてはいけない。
そのためには何をするとケガが起きるのか知っておくことがまず重要だ。
知識がなければ「ケガをしないこと」はできないし、「ケガをさせないこと」もできない。
さて、ケガをしないという視点では、ノープランの突進やジャンプを避けることが重要だ。
予想できていない接触や、不安定な足場への着地はケガを引き起こす原因になりやすい。
状況判断をしながらバスケをしなければならないのは、試合に勝つためという目的の他、自らを守るという意味合いもある。
そして、ケガをさせないという視点において特に言及しておきたいのは、ケガをさせたプレイが故意だろうと故意でなかろうと相手がコート内外で大いに苦しむのは同じということだ。
「わざとじゃなかったんです」
と謝るよりも、そもそもそういうプレイをしないことに労力を割いていこう。知識を得よう。
具体例「アンダーカット」
バスケにおいて頻発するケガに「アンダーカットによる足首の捻挫」が挙げられる。
アンダーカットとはすでに空中に跳び上がっているシューターの着地地点に足を入れることだ。シューターは傾いた地面に着地するのと同じになるため、まともに着地できずに足首を捻ることになる。
ジャンプが頻繁に起きるバスケでは発生率の高いケガといえるだろう。
動画も見ていこう。
本記事の動画は基本的に閲覧注意。受傷予防のためにどういうケースが危険なのか知っておく価値はあるので我慢して見るのも良いかもしれない。ちょっと厳しいぞという方は上記の文章だけで頑張って理解してほしい。ちなみに血だとか骨は映らない。ひねった足首は映る。
ザザ・パチュリアはハードワーカーだし、ボウエンも優秀なディフェンダーだ。選手として魅力的だと思う。
ただ、それでもこれらのアンダーカットは非常に悪質で、許されるものではないというのが私の率直な感想だ。
なぜかといえば、恐らくこれらは故意だからだ。
不自然に足が着地地点に向けて前に出ている。故意ではなかったとしても、こういう風に相手をケガさせてしまっている時点でマズイことに変わりはない。
ケガをさせないという考えがあるならば、足を引くことはあっても、足を出すことは決してやってはいけない。
その点、以下のジェフグリーンの振る舞いは非常に素晴らしい。
着地地点に足があることに気づき、そこから足を引き抜いている。
そもそもブロックは横を抜けていくのが原則ではあるが、位置関係によっては正面に入ってしまうケースもゼロではない。
そのような場合はとにかく対戦相手の安全に気を遣うべきだ。足を抜くのもそうだし、止まれない状況になってしまったら胴体に接触した方がまだマシだ。胴体にぶつかるのも危険ではあるのだが、それでもリスクは軽減できる。
なお、このアンダーカットは禁忌という認識がなされているかと思いきや、NBAレベルでも割と普通に起きてしまっている。
(2021/6 追加動画)
草の根レベルでは危険ということを知らずに無意識にアンダーカットする選手も非常に多い。
先日カリーがアンダーカットを警戒した結果、空中で足を開いて避けることになった一幕があり、印象的だった。
引用RTではアンダーカット被害者の悲鳴も。
庶民レベルからNBAレベルに到るまで珍しくない怪我だからこそ、しっかりと防げるようにしていくべきではないだろうか。
個人的には怪我発生リスクの高さを考慮すると単なるファウルではなく、即アンスポ/フレグラントでも良いと思っている。
「着地地点に足があると怪我する」ということを、オフェンスとディフェンスの両者が理解し、そういう場面を減らすような努力が求められる。
ミニバスにおけるアンダーカットに対する問題提起
ミニバスの所属している子の怪我の事例を聞いたり、YouTubeで動画を見ていく中で危険だと感じる一幕があったので問題提起したいと思う。
*ミニバスだけでなく中高の初心者の選手もやってしまう可能性がある。
それはリバウンド時の「ヒットファースト」だ。
「シュート後にリバウンドに備えてまずコンタクトをしなさい」という教え方がヒットファーストなのだが、これをシューターに対してやるとアンダーカットが発生しうる。そもそもシューターにヒットしたらファウルだ。
「故意ではなく、一生懸命コーチの指示を聞いた結果アンダーカットにつながっている」というパターンなので、指導方法を今一度見直すべきだというのが私の見解だ。
着地の安全を脅かすようなことはあってはならない。
一本のリバウンドよりも相手の安全だ。
予想外の足入れに対応するのはオフェンスの責任ではない。
ノーファウルかつ安全なヒットをしていく指導が必要だと感じるし、もしこの後貼る動画などが参考としてその役に立てばと願う。
全体公開の状態で動画を貼るのはどうかと思うところがあるので、マガジン内のみに見える形で、ヒットファーストによるアンダーカットの動画を貼っておく。
もしこれを見かけた時には建設的な話し合いを持ってもらえれば何よりだ。
特定のチームを非難したいのではなく、バスケットボールをより安全に楽しめるような環境作りに少しでも貢献できればという受け取り方で視聴してほしい。
ヒットファーストによるアンダーカットの動画
😉