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ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から経度へと そうしていわば交換で地球を守る

谷川俊太郎の名前で連想する作品はとても多い
私が真っ先に頭に思い浮かぶのは「朝のリレー」である

出会いは中学生のころの教科書で、その次はテレビのCMで
学校で暗記をさせられた覚えはないが、今でもほとんど覚えている

実は私は詩というものがあまり好きではない
抽象的なものも、そうでないものも
素直に受け入れることができた詩は、数えるほどしかない

ついでに告白をすると、私は谷川俊太郎のことが
彼の数々の作品が、あまり好きではない

訃報を聞いて、彼の詩集を改めて数冊Audibleで聴いた
歳を重ねた今の自分であれば、
また違った印象を受けるかもしれないと思って
しかし、全然ダメだった

「朝のリレー」だけが特別で、この詩だけは大好きだ
大げさに聞こえてしまうと思うけど、世界中の人の目や耳に届ける価値のある詩だと思っている

ネットで調べた限りでは
この詩が国際的な場所で活用されたことはないようだが
何かのきっかけで世界中に拡散されるといいのになと思った

ご冥福をお祈りいたします

朝のリレー 谷川俊太郎

 カムチャッカの若者が
 きりんの夢を見ているとき
 メキシコの娘は
 朝もやの中でバスを待っている
 ニューヨークの少女が
 ほほえみながら寝がえりをうつとき
 ローマの少年は
 柱頭を染める朝陽にウインクする
 この地球で
 いつもどこかで朝がはじまっている

 ぼくらは朝をリレーするのだ
 経度から経度へと
 そうしていわば交換で地球を守る
 眠る前のひととき耳をすますと
 どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
 それはあなたの送った朝を
 誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ

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