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医心館の疑心感 ⑤

医心館のビジネスモデルの考察 その4(弱点)


医心館とは、2014年の誕生以降、現在では全国に130施設以上が設立されている、急成長中の新しい老人ホームのような施設です。

関東南部にある新設されて間もない医心館で祖父がお世話になりました。ネットで検索しても施設内の様子を含めた具体的な情報が全く見つからなかったので、その時の経験を踏まえて、気がついたこと感じたことを共有したいと思います。興味のある方は、スキとかコメントをしてください。分かりにくい施設だと思うので、需要があればいろいろ記事にします。

なお、疑心感というのはゴロがいいだけで、そんな日本語は存在しません。不信感とまはでいかない猜疑心といったニュアンスでしょうか。事実ベースではあるけど、この記事はあくまで個人の感想ですのでファンタジーだと思って受け止めてください。

本記事は前回の記事の続きです。


前回の記事では、”医療機能のアウトソース”するビジネスモデルが、なぜこれほどまでの成功と成長を収めているのか、そこにある複数あるwin-winの関係について考察しました。

今回はビジネスモデルの考察の最後として、飛ぶ鳥を落とす勢いの医心館のビジネスモデルの弱点について考えてみたいと思います。

医療保険・介護保険制度への依存度の高さ

これまでに説明をした通り、医心館の収益の9割は介護と看護であり、利用者の費用負担が軽減されるように設計されたビジネスモデルです。医療依存度の高い患者のみを対象としており、利用者は保険制度上の上限額程度の費用負担は必要だが、それ以外の主な介護、看護に関する費用は、公的資金が投入されています。その最たる例として、医心館は生活保護者も受け入れているのです。つまり、訪問介護や訪問看護に関する保険報酬が改定され、削減されるようなことがあると、大打撃になるのです。そうならないように、ロビー活動をしたり、圧倒的に効率的な仕組みを作りこんだりをしているのだと思います。医心館が荒稼ぎを続けている一方で、思うように利益が上げられていなかったり、損失を被っていたりする旧来型の医療施設があるはずです、また看護師や介護士の人材が横取りされ(医心館の方が好条件)間接的に運営難になっている組織も少なからずあるはずなので、そういった組織との利害対立のひずみが生まれていると思います。また、同じ老人ホーム業界を眺めた時に、医心館ReHOPEが急成長を遂げているとはいえ、売上の規模でいえばSOMPOケアベネッセスタイルケアALSOK介護などの従来の老人ホーム会社の方が圧倒的に大きいので、当然その影響力も無視できません。既得権益をもっている団体にしてみれば、疎ましいはずです。医心館のビジネスモデルが、今の保険制度をハックしたチートだと考えると、いつまでもそれが続くとは限らないのではないかでしょうか。

参入障壁の低さ

保険制度をハックした医心館のチートなビジネスモデルは、簡単にパクられ類似のサービスが乱立する可能性があるように思います。実際に、ReHOPE医心館のビジネスモデルを丸パクリした後発のサービスのように見えるし、医心館以上の急成長を遂げています。同じことをブランド力を持っている従来型の老人ホーム会社や、医療法人が行ったときに、医心館の優位性が保てるのかは疑問に思います。ただし、個人的には医心館のビジネスモデルは複雑なバランスの上に成り立っていると思っているので、完コピするのはなかなかに難しく、先発優位を活かすために、医心館は今のうちに猛ダッシュで施設数の拡大をしているのではないか、と思っています。

職種連携の破綻と内部崩壊

医心館の看護師が中心となり、いろいろな職種、いろいろな地域の組織がシームレスに連携することで成り立っているというビジネスモデルゆえの弱点があると思っています。それらの構成要素である職員の配置や教育、外部とのコミュニケーションに破綻をきたすと、内部崩壊もしかねないのではないでしょうか。不祥事があればすぐに炎上する世の中ですし。というのも、私自身医心館の従業員を複数見てきて、不安に感じることが多々ありました。祖父の入居時に、私はIR情報をあらかじめ熟読しその仕組みをすでに理解していたのですが、私たちに説明をしてくれた医心館の責任者を名乗る方は、それにすごく驚いていて「はっきり言って、職員のほとんどが、それらの保険制度やビジネスモデルを理解していません」と言っていました。また、設立して間もない医心館だったという事情もありそうですが、職員によっていうことが全然違ったり、指揮系統がめちゃくちゃだったりすることがよくあり、個人プレー(医心館への転職前の経験)によるアンコントローラブルなベテラン介護士と思わしき人も見かけました。そして、病院から転職してきた看護師の、医師の存在しないチーム医療への違和感とか、治療やリハビリを一切行わない方針のターミナルケアに対する倫理的葛藤なんかも見受けられました。そんなこんなで、急拡大によるしわ寄せの危うさを一部感じることがありました。

私の思い当たる弱点はこんなところでしょうか。組織の安定的な運営には、看護師の確保が何よりも大切に思いますが、それはどこの組織も同じことで、むしろ医心館は他所よりも好条件で雇用できる強みがあるように思いました。

既得権益を持つ団体に後ろから刺されないように気を付けることと、馬鹿な職員が馬鹿をやって炎上させないことに気を付ければ、基本的には周りに妬まれるような強い組織なんじゃないかと思います。

さて、想定外にビジネスモデルの考察が長く続きましたが、次回以降は医心館を利用しての体験談に関する話をしていきたいと思います。


読んでいただきありがとうございました。医心館について興味のある方は、スキとかコメントとかリアクションしてください。需要があればいろいろ記事にします。

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