#弓道001 礼記射義
「礼記射義」とは、現代弓道の精神的な指針で「射法訓」と供に『弓道教本』の巻頭文として採用されている特別に重要な教えである。また、標語として道場に掲示したり、稽古前に唱和することもある。
「礼記(らいき)」とは、今から約2500年前に作られた、儒教の最も基本的な経典の一つで、中国の哲学者である孔子による教えである。全49篇で構成されており、その46番目の「射義」の抜粋が、弓道における「礼記射義」にあたる。他に有名なところでは31番の「中庸」がある。なお、「礼」は、儒教おいて理想的精神の発現として、人によって行われる理想行動であり、かつ同時に理想的精神を涵養する方法としての外的規則と言われている。
「礼記射義」には、弓を持つための心構え、射で徳行を観る、射は仁の道なり、など短い文書の中に、これでもかと言わんばかりの精神性が詰め込まれている。
なお『弓道教本』は、戦後の射法混乱を改善し、弓道の大綱を明らかにするために1953年(昭和28年)8月に第一巻が発刊された。「礼記射義」についてもその際に示された。
『弓道教本』の編纂の際、弓道に関する精神的な指針は「礼記」のほかにも国内の文献が多数存在していたはずだ。しかし、あえて「礼記」を選択したところが思慮深い。武士道は、朱子学ないし儒教から多くの影響をうけている。武士の居ない世の中において、理想的精神を、そのルーツとも言える「礼」に求めたのではないかと妄想する。
弓道には沢山の魅力を感じているが、私にとっては「礼記射義」もその魅力の一つである。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
今後も弓道に関することを記事にしていきたいと思います。
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