警戒水準についての解説(12th Surge版)
筆者は、厚労省定点などの基礎統計を元に主観的係数を原則として加えず*に数値計算を行い、5年間継続してCOVID-19の国内統計を評価してきている。
*例外的に主観的係数が一部入っているのが休日効果補正である。
定点値×7/(7-n)×0.9 n:祝祭日によって追加される休日日数
最後の項×0.9は、休日当番医による緩和効果を経験則的に加えたものである。
したがって、数値とプロットした挙動を読み取れば何が起きているのか、何が起きようとしているのかはおのずとわかる。
しかし、だれもが5年間統計を追跡してきたわけではなく、加えて厚労省統計は、頻繁に一貫性がなくなり、とくに23年5月以降は、概ね半年ごとに母集団を激変させるという一貫した統計としては破綻しているという大きな欠陥がある。
とりわけ24年4月以降は、明らかにそれ以前との統計の連続性が失われており、厚労省自身が統計を理解する事が不可能になっていると考えている。
このような状況では、一般に数値と図表だけを示しても読解と理解が困難であり、ある程度の主観を許容して警戒水準を明示する事が必要である。そのため、次のように7段階の警戒水準を明示してきている。
この警戒水準は、医療機関あたりの定点数から現在は機械的に定めている。また、厚労省が定点の母集団や定義を変える事により対応する定点値は変化する為、例えば24年3月以前と4月以前では基準が異なる。
現在は、2024/4/1以降のの岸田ドクトリンによる苛烈な診療抑制政策によるCOVID-19医療飽和水準が11th Surgeの観測で判明した為、下記の通りとしている。
ピクトグラムは、TVドラマシリーズ Star Trek(宇宙大作戦)の作中艦内ディスプレイ表示から世界のファンが公開している作品を用いている。
Condition Green 定点0.1未満
COVID-19感染者は、定点10医院あたり一週間に一人未満(多くの県では検出限界未満)であり、社会中のウイルス濃度は極めて低い状態である。
日本ではこの状態に達した状況を21年以降確認できていない。再評価により20年の前半については可能性あり。
Alert Condition Blue 定点0.1以上1.0未満
COVID-19感染者は、定点1医院当たり一週間に1名未満であり、日常生活では、不特定多数の人ごみや、症状を持つ人の存在がない限りウイルスとの接触可能性は低い状態である。
日本では、22年以降稀になっているが、24年秋に沖縄、九州、四国、中国、近畿と北陸で見られている。
日常生活での常識的な経空感染対策を推奨する。
Alert Condition Yellow 定点1.0以上4.0未満
COVID-19感染者は、定点1医院当たり一週間に1~4名であり、日常生活では、集団での接触可能性が無視できない状況である。
日常生活での常識的な経空感染対策が必要である。
Alert Condition Red-White定点4.0以上8.0未満
COVID-19感染者は、定点1医院当たり毎日複数存在する状況であり、日常生活での接触可能性が高い状況である
日常生活での入念な経空感染対策が必須である。
Alert Condition Red-Black定点8.0以上20.0未満
COVID-19感染者は、定点1医院当たり毎日多数存在する状況であり、COVID-19医療飽和が現れ始まる水準である。日常生活での接触可能性は極めて高い状況である。
日常生活での厳重な経空感染対策が必須である。
医療飽および社会インフラへの影響が表れる状況である。
Alert Condition Black定点20.0以上 またはCOVID-19医療飽和の兆候が明らかな場合
COVID-19感染者は、定点医院の対応能力を超えるため、定点値が過小評価となる。COVID-19医療飽和により医療に到達できない患者が多数生じる水準である。日常生活での接触可能性は著しく高い状況である。救急車のサイレンが、極めて頻繁に聞こえる状況である。
日常生活での厳重な経空感染対策が必須であり且つ、社会活動の抑制が必要となる水準である。
医療飽および社会インフラへの影響が顕著となる状況である。
Situation Blackout COVID-19医療が完全に飽和した状態
COVID-19感染者は、定点医院の対応能力を圧倒し、定点が僅かしか増減変化しない状況である。救急出動も完全に飽和し、救急車のサイレンが聞こえなくなる水準である。
社会インフラ、医療共に破綻する状況である。
13th Surgeにむけて
厚労省が25年度より定点医院数を激減させるという母集団の大規模変更を行う予定であるため、それによって警戒水準に対応する定点値は大きく変わる見込みである。
厚生労働省は、統計の破壊を常に行ってきているが、これは統計を全く活用する能力がない故の極めて稚拙な行動である。これは大躍進政策における中国共産党、ブレジネフ末期以降のソ連邦と全く同じであり、結果として自縄自縛に陥る。
幸い、筆者は、ソ連邦観察と分析を1970年代末から1993年まで約15年間、趣味で行ってきており、このような統計破壊国の分析には基礎知識と教養、経験を持っている。