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2024年第44週厚労省定点分析と評価・第45週直近予測と2024-25冬季12th Surge早期警戒情報

1. 基本情報

今回の定点は、2024年44Wであり、

診断日 10/28~11/3
接触日 10/23~10/31頃
報告医院数(速報値) 4,945

である。44Wは、休日効果中立である。

医療機関あたり定点値 北海道~神奈川県
医療機関あたり定点値 新潟県~三重県
医療機関あたり定点値 滋賀県~山口県
医療機関あたり定点値 徳島県~沖縄県

2. 概況と2024-25冬季12th Surge早期警戒情報

42W,43W定点分析で予測した通り北海道、東北、甲信越で定点の下げ渋り、下げ止まり、反転上昇が多勢を占めている。これは、24-25冬季12th Surgeの兆候であり、北関東までその兆候が広がっている。これらは、10/20に通過した強力な寒波とその後の気温低下によるものである。

南関東、静岡県でも11th Surgeの減衰が終わりつつある

外気温が下がれば暖房の為に窓を閉める。とくに公共交通、幼保学校といった日本における感染連鎖の中心では窓閉めと換気の不活発化が急速に進み、感染性エアロゾルの滞留からの感染機会が増加してゆく。

関西、中国、四国では、下げ渋り、下げ止まり、反転上昇が広範に生じているが、まだ12th Surgeまで時間があり、過半数で医療機関あたり定点1.0を割っているが、熊本県、愛媛県など斑状に状態のやや悪い府県が存在する

九州でも減衰速度の衰えが見られるが、熊本県以外は、44Wに定点1.0を割った

沖縄県は、反転上昇し、定点1.0を越えた。沖縄県のCOVID-19政策は、非科学的で国内でも最悪のものであるため、現在、秋冬の好条件を活かせていない可能性がある。

定点1.0未満の県は、下記14県であり、43Wの10県より増えたもののの、予測より明らかに少ない。42W,43W定点からの直近予測では、福井県、滋賀県、三重県を結ぶ線より西側では、45W迄におおくの府県が定点1.0を割り込む見込みであったが、関西、中国、四国の減水率が衰えており、一部では反騰が見られている。この傾向は、九州、沖縄にも広がっている。

45Wまでに関西以西では3年ぶりに「ある程度安全な状態」となる可能性がある。

富山県
福井県
大阪府
和歌山県
鳥取県
島根県
山口県
徳島県
福岡県
佐賀県
長崎県
大分県
宮崎県
鹿児島県

北海道、東北、甲信越、北関東では、11th Surgeから12th Surgeへ移行する兆候が現れている。とくに北海道、東北、甲信越では、定点値が高い水準から12th Surgeがはじまり大規模化する恐れがある。

44W各都道府県の警戒水準 北海道~三重県
44W各都道府県の警戒水準 滋賀県~沖縄県

現在、KP.3.1.1が、米欧に比して6~8週間遅れで増勢中であり、関東を筆頭に東日本では既に支配株となっている。但し、KP.3.1.1の成長率は縮小しており、北海道など寒冷地を除きKP.3.1.1が大きなSurgeを生じる可能性は、ほぼなくなっている。

KP.3.1.1のKP.3.3に対する優位性はあるが、11th SurgeでKP.3.3に大多数の人間が感染した為にKP.3.1.1はKP.3への感染獲得免疫によって阻害されておりかつ9月10月は1年間で最高に換気が活発であるため例年同時期通り成長が阻害されたと考えられる。

KP.3.1.1に次いで日本株KP.3.3が欧州に持ち込まれKS.1.1と組み替え体となったXEC*が国内でも米欧に8週間程度の遅れで検出数が急増しておりその高い成長優位性から10月中に25%程度、11月中にも支配株となる見込みである。

XEC*は、既に全国から50検体前後の検出であり、9月中旬までは2件であった事からもその成長速度の速さが際立っている。

北日本でKP.3.1.1が12-1th Surgeを11条中旬に生じ、全国でXEC*が12-2nd Surgeを12月に生じることが悲観的予測である。

楽観的予測では、KP.3.1.1による明示的なSurgeは生じず、11月中下旬からXEC*が12-1st Surgeを生じる見込みである。

東大医科研佐藤Gなどの報告では、XEC*は、KP.3免疫の回避能力がKP.3.1.1などより高いとされる。現在の日本での環境にXEC*は強く適合していると考えられる。

3. 休日効果補正の導入について

厚労省定点は、一週間当たりの定点医院での集計であり、休診医院が大多数を占める祝祭日による休日の追加によって一週間の診療日が減少するため、定点数値が10~20%の過小評価となる。

これを補正するために下記の通り休日効果補正係数を導入した。

定点値×7/(7-n)×0.9 n:祝祭日によって追加される休日日数

1)土曜日が祝祭日の場合は、影響が5%前後であるため無視している
2)0.9は、救急外来、休日外来、休日当番医院の効果を経験的に数値化したアドホックな係数である
3)数値化が困難な年末年始と盆休みについては補正をしていない
4)岸田ドクトリン本格化の23年19W以降について補正している
5)2類であった23年18W以前の定点試行期間(全数からの換算)については補正の要がない
6)地域による補正係数の違いは無視しているが、概ねあっている

4.倍加・半減期の導入について

当初より懸案事項であった定点の倍加・半減期を導入した。
直近値、二週間移動平均値、4週間移動平均値で倍加・半減期を評価しているが通常は、休日効果補正後の定点二週間移動平均からの倍加・半減期を用いている

定率変化を継続するとして倍加・半減期の3.3倍が、10倍または1/10になる所要期間である。

日本においてSurgeの収束期間は3ヶ月前後であり、半減期が3.5Wより長ければ一桁減衰できず、収束不全となる。減衰期間全体での平均半減期が3Wより短ければ4半減期で1/16の減衰となる。平均半減期2.5Wならば12週間が4.8半減期で1/28となる。

収束不全の場合、Baselineは、Surgeが繰り返されるたびに上昇してゆくこととなる。

当分析では、休日効果を補正済みである。

5. 厚労省定点の注意事項

厚労省定点は、発表日前の月曜日から日曜日までの1週間集計である。

故に発表日時点で5~11日遅延している。

さらに接触日を基準とすると発表日時点で9~16日遅延している遅行指数であることを念頭に置く必要がある。

加えて23年5月、23年10月、24年4月にCOVID-19医療制度が診療抑制へと大きく変更され、とくに24年4月変更では極めて苛烈な診療抑制制度が導入されている為、厚労省定点自体が連続性のない指標であることを前提におく必要がある。

現在、診療抑制政策による統計のゆがみを補正する係数を検討中であるが、現時点では、厚労省定点値をそのまま用いている。

現時点で換算係数は、2倍から5倍と見込んでいる。地方・都道府県ごとに医療体制がことなり、地域ごとに換算係数は異なる。

定点飽和点から評価したCOVID-19医療体制は、明確に西高東低であり、九州が最も頑強である。最弱は、東京都・周辺県である。

定点は、事後遡及してかなり大きな修正が入っており、速報値のみでは正確性を欠く。感染研発表のやや遅れた週報が暫定確定値となるが、これも確定値は言い切れない。

6. 二週間気象予測(気象庁より)

気温は全国で44W,45Wと例年より低め推移であったが、46W以降は、例年より暖かくなる。

寒冷な地域では、終日暖房気温となっており東日本では、換気が強く抑制され12th Surgeの成長に好条件となっている。

西日本の温かい地域では、11月中旬まで日中空調不要温度となる見込み。

気象庁2週間気温予測より


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