Boston Strong 2021(4 G24-G29)
どうも、bos-bosです。Jacob deGrom(NYM)の投球に魅了されましたBOSファンです。しかし、その最強エースに投げ勝ったNick Pivettaは「自分はdeGromと同じくらい良い投手だ」と言い聞かせていたそうです。はて、Pivettaが良いのか、メッツ打線が援護できないだけなのか。
ニューヨーク・メッツ(NYM)戦
4月28日 W 2-1 4月29日 W 1-0
初戦、Garrett Richardsが今季のベストピッチ。スプリングトレーニングからずっと言っていた「メカニックス(投球フォーム)」の修正がうまくいき、スライダーの精度が安定していました。Bobby Dalbecは今季待望の1号ホームラン、やっと上昇気流に乗ってくれると思っていましたね。2番起用のRafael Deversが決勝打を放つなど打順の巡りもうまくハマりました。翌日の第2戦はdeGromが6回1失点、9奪三振で被安打も3に抑える投球。JD Martinezの速球勝負で仕留めた三振は圧巻でした。そんな中で、高めに浮いた速球をとらえて1点を奪った打撃にあっぱれ。
テキサス・レンジャース(TEX)戦
4月30日 L 1-4 5月1日 W 6-1 5月2日 L 6-8 5月2日 L 3-5
初戦は敗戦。同点となった6回裏に澤村投手へスイッチしましたがJose Trevino捕手から決勝の2ランホームランを浴びました、負けは先発のMartin Perezで今季初勝利はお預け。Kyle Gibsonの好投に沈黙してここ3試合で4得点。第2戦は4本塁打とロングボールで有原投手を攻略。ただ、結果的には6安打のみで、6番以降はノーヒットに終わりました(これでここ4試合で計18安打)。
第3戦は「Steady Eddy」ことEduardo Rodriguezは5回4失点と苦しみ、そのあとを継いだ今季好調のMatt Andrieseが3失点で初黒星。6得点あげながらも残塁23個と塁上を賑わせど、帰らず。まさに「winnable」、勝ちゲームを落とした試合でした。第4戦は同点の8回裏、セットアップのAdam Ottavino投入でピンチを作り、守護神Matt Barnesにスイッチと必死の継投策をみせましたが、元レッドソックスBrock Holtに決勝打を浴びて敗戦。これで1勝3敗と開幕カード以来の負け越しとなりました。
野手陣-下位打線とリードオフが悩ましい-
相変わらず絶好調の上位打線で、Martinezは偏頭痛が起きて試合を欠場するつもりだった4月30日のレンジャース戦で2本塁打とMJ並みの爆発。
ただ、下位打線の低調さが浮き彫りとなりました。やり玉に挙がったのが5月1日の5回表。ノーアウト満塁の場面で1点しか奪えず、Hunter RenfroeとDalbecの2人が好機で三振。いままでもずっと数字自体は低調、それでもツインズ戦では下位打線が勝利に貢献した試合があり、Dalbecは決勝打が3本。Marwin Gonzaleの決勝本塁打もあって、数字はどうしても序盤ですので低いですが、チームに貢献する活躍があれば良しとすべきと思っていました。まあ、手っ取り早く改善をしたいのならば、Christian Arroyoの出場機会増となりそう。
まず、下位打線のキーマンはGonzalez。スーパーUTマンとして安定して出場してほしい選手。Dalbec、Renfroe、Corderoとパワー自慢の粗削りトリオがいる中で、四球率11.8%三振率18.8%と優秀なアプローチが売り。打率.186(BABIP.222)が向上してくれれば打線のバランスも良くなる。
そしてもちろん、下位打線で最も期待しているのはやはりDalbec。昨季デビューし5戦連発を含む23試合で8本塁打を記録しましたが、今季はやっと第1号本塁打。しかし、その打席以降は絶不調に陥りました。
上の画像はbaseballsavantさんのillustratorから引用したものです。投じられたボールはすべて4シームファストボール。昨季も三振率42.4%と粗い打者でしたが、今季は4シームの打率が低く、真ん中近辺のボールですら捉えきれず空振りも少なくない。センター返しで好成績を残している点がプラス材料かなと思います。
リードオフ問題
ここで、記事を一つ。スプリングトレーニング好調だったキケことEnrique Hernandezはシーズン始まってからは低調で、出塁率.269、四球率4.6%。事実上2番からが上位のような感覚で、1番起用を続けるべきかとの議論も浮上しています。同郷プエルトリコ出身のAlex Cora監督の元、大きな信頼を得て覚醒するのではと期待していました。左腕殺しのスペシャリストとして有名で、通算では対右投手よりもOPSが2割上昇しています。けれども、近年はその強みを活かせていない点が気になります。
昨季のリードオフを担っていたのがAlex Verdugo。今季は2番を任されてここまで好成績を維持。メッツ戦ではVerdugoが休み。代わりに2番を打ったRafael Deversが2安打と活躍。仮に1番Verdugoならば、2番Deversとなるでしょう。今季は四球率が初めて10%越えとアプローチも洗礼され始めています。ちなみに、Martinezの2番起用は失敗していました。
この問題には2つの見方があります。第1はキケが復調するためには、どの打順が適しているのかという点です。当然1番ならば回ってくる打席数が多いのはもちろん、不振でも起用し続けることで信頼の証を示して復調を促したいのでしょう。また、1番がゆえにボールを見すぎたり、スイングが縮こまったりといったマイナス要素もそこまでないようにみえます。だからこそ四球率4.6%なのかも。
打撃アプローチの問題になると、思い出すのが下の記事。当時LADのキケがチーム打撃(進塁打)に目もくれずにフライを打ち上げたという指摘があります。この18年シーズンは21本塁打の自己ベストを記録していて、四球率は3年連続で10%以上。しかし、翌年から四球率が減少して、ここ2年は四球4%台にとどまっている(18年は三振率16.9と今季より約6%低い)。確かにこの年以降はすこし粗い大味な打撃になったのかもしれません。
もうひとつは、チームの打順を組む中でどこに置くことがベストかという点。率直に言って、1番Verdugo、2番Deversのコンビの方がむしろ良いでしょう。下位打線においても低調な選手が多く、現状は2番から5番までの4人におんぶにだっこといったところ。また、下位打線がチャンスメイクして1番につなぐわけでもないです。前記した1,2番コンビになった場合、利点はベストヒッターのMartinezの前にランナーをためられるという点ぐらいでしょうか。セオリーではありますが、それにしても打順をいじくるほどのことかなとも思います。なにより、Cora監督がどれほどにキケを信頼して起用するかによるでしょうね。
先発投手陣
Nasty Nate(Eovaldi)とSteady Eddy(Rodriguez)の両エースに加えて、Richardsがコントロールの安定をみせて好投、Pivettaは球界最高の投手に投げ勝ち、Perezもしっかりとゲームを作ってくれました。
Richardsはスライダーの精度が上がり、カーブと変化球2つをバランスよく投げ分けられていて、4シームも高めで狙い通りに空振りに仕留めるなど投球の形ができています。この高めの4シームはEovaldiもよく使い、カッター主体のスタイルであるPerezも時折みせます。
5月1日にはRodriguezが5回でマウンドを譲りましたが、まだ67球。そのうち47球がストライクで、積極的にゾーン内で勝負するスタイルは変わらずでした。このスタイルはうまくハマれば球数少なくアウトを積み重ねますが、ゾーン内ゆえにバットに当たる確率も増えて、ヒットも増加。David Price(現ドジャース)が16年に227被安打でリーグ1位になったのが特徴的です。なので、こういう試合があるのも仕方ない。また、通常運転なら7回までいっていてもおかしくない球数です。
救援投手陣
マリナーズ戦は接戦が多かったですが、中1日空けてメッツとの2連戦も1点差の好ゲームでした。クローザーのMatt Barnesは連投しましたが、初戦はAdam Ottavinoを温存して、8回にMatt Andrieseを起用。2戦目は1-0の緊迫した展開で6,7回とルーキーのGarrett Whitlockが好投。
ただ、レンジャース戦では澤村、Andriese、Whitelockといずれも被本塁打を浴びる結果になりました。Whitelockに関しては今季初失点。開幕当初の強みだった被本塁打の少なさは消えつつあるといって良い。
守護神のBarnesはここ10試合で2連投が3回。5月2日を除けばすべてセーブシチュエーションとあって起用の仕方はふつう。例外の5月2日のように、結果的に負け試合での登板が増えてくると登板過多になりうるので注意したい。Ottavinoは良い投球が続いたと思ったら不安定な投球が出てきて、いまひとつ心もとない。ちなみに、ハードヒット率やバレル率などは優秀。
休みもいれて中5日の澤村は失点続きだった一方で、負け投手となった4月22日から中6日のD.Hernandezはここ3登板で3イニング8奪三振無四球とほぼ完ぺきな内容。うまくリフレッシュして投球内容も修正できていて、同カードのリリーフ陣では明るい材料となりました。カーブを投げるなど引き出しを増やす意識もある様子。改めて大事な場面で投げてどうかという期待です。
AndrieseとWhitelockは中3日ごとの登板。前者は負け投手にもなりましたが、メッツ戦ではOttavinoの代わりとしてセットアップ役を担い、ユーティリティーピッチャーとしての信頼は厚いようです。出来れば、Valdezが投げるような余裕のある勝ち方を1度ぐらいはしたい。
・「Attacking the ZONE」
今季ここまで好調なBarnesがその要因を語っていましたが、ポイントは「テンポを速めること」と「ストライクゾーンで勝負すること」の2つです。特に、ストライクゾーンで勝負する、これを記事内では「attacking zone」とか「attacking hitters」などと記していました。
昨季の不振は速球が真ん中付近に集まりやすくなっていてハードヒット率も10%以上も悪化したことが原因の一つでした。そんな中で、ストライクゾーン内で攻めることを意識するのは難しいと思います。
1stストライク率も前年の60.8から76にまで上昇。速球は高めに集めて、カーブの空振り率505越えと自己ベスト。有利なカウントで勝負できていて、ここまでの奪三振率16.07は自己ベスト。与四球率1.94は過去2年間5点台だった投手とは思えない数字です。しかし、一方でハードヒット率は低調だった昨季の数字からさらに悪化。被打率は.106と文句なしでHR/FB9.1%とかなり優秀で、気にする必要はないのですが、頭には入れておきたい数字。
セットアップのOttavinoは1stストライク率が48.8%と半分以下。スライダー投手でもあり、手を出してくれないと厳しいでしょうか。D.Hernendezはここ3試合はストライク先行でぐいぐい押せていて、Barnesの意識が浸透すれば面白い存在になりそうです。
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