左腕リリーバーの契約まとめと雑感
昨シーズンは投手のワンポイント起用が禁止されました。ワンポイントリリーフは、野球の采配の妙です。しかし、依然として対左のスペシャリストたちはメジャーの舞台で活躍しています。
ワールドシリーズに進出した2チーム、ドジャースはAdam Colerak、レイズはAaron Loupと左のスペシャリストがロスター入り。
Aaron Loup NYM 1年300万ドル
今季はアメリカンリーグ王者のレイズで24登板と復活して、強力ブルペンの一角を担いました。2012年にブルージェイスでデビューし、14,17年と70登板以上を記録したこともありますが、2019年はパドレスに在籍も、ケガに苦しんで4登板のみに終わりました。
僕のイメージだとコントロールが悪いタイプでしたが、今季はBB/91.4をマーク。ただ、13,15年と60登板以上でBB/91点台を記録していますので、元々はコントロールも悪いタイプではなかったようです。2017年のBB/94.53が自己ワーストとなります。
加入したメッツは同地区のライバルブレーブスにFreddie Freeman一塁手、ナショナルズにJuan Soto外野手、フィリーズにBryce Harper外野手と左の強打者が揃っていますので、左キラーのLoupはうってつけの投手。
ちなみに年俸300万ドルは、昨季のTonny Watson投手(SF)と同額。僕自身は、せっかく復活を果たした投手なので、どのくらいの契約を得られるのか注目していましたので、ニュースを見て「いい契約を得たな」と感じました。
Andrew Chafin CHC(再) 1年225万ドル
ダイヤモンドバックスキャリアの大半を過ごして、昨夏にカブスへトレードされ、オフに再契約に合意しました。2017年から2019年までの3年間は毎年70試合以上を投げるタフネスぶりを発揮。縦に落ちるスライダーを多投して三振を奪える投手で、不振だった今季もK/913.5と高水準でした。
個人的には、今回の契約のニュースを見るまでは、成績を詳しく確認したことがなかったのですが、意外といい投手なのかなと、三振獲れるのが魅力的ですし、ゴロアウトも50%以上あります。
動画は少し古い(2014年)。
カブスにはKyle Ryanとの2人のレフティーがいます。ただ、2人とも球威がなく、先発投手陣も軟投派が多くいるとあって、組み合わせに不安を感じます。
Sean Doolittle CIN 1年150万ドル
このなかだとDoolittleが一番の実力者。そもそも、Doolittleはナショナルズでクローザー役を担っていた左腕で、他のレフティーとは違いますが、年俸の低さに少し驚いたので、リスト入り。
昨季はケガもあって10登板のみでした。登板過多もあって、球速低下は2019年から言われていましたが、昨季は少ないサンプルながらも平均球速90マイルがやっとの数字でした。アスレチックス時代も左肩を何度か痛めたこともあり、コンディションには不安があります。今現在34歳とベテランの域に入り、今後のキャリアにとって大事な1年になるでしょう。レッズの本拠地グレードアメリカン・ボールパークは打者有利の球場として知られていて、Doolittleのような4シーム中心の投手には被本塁打増に気を付けたい。
レッズはオフに入り、Raisel Igresias投手とRobert Stephenson投手というブルペンの中心人物を相次いで放出しました。サラリーダンプが目的で、特に前者は年俸912.5万ドルを削減しましたが、クローザー経験も豊富なベテランを安価で補強できたことは、レッズにとっては大きい。
Alex Claudio LAA 1年112.5万ドル
2年連続でノンテンダーとなったのは少しかわいそうな気もする。シンカーとチェンジアップを多投して打者のバットの芯を外す巧みな投球が売りで、ハードヒット率、バレル率などは優秀な投手。だが、シンカーの平均球速は85.6マイルとメジャーで最低クラス、三振を獲れるタイプでもなく、与四球は少なくもないとあって、評価は低かった。
けれども、2019年はメジャー最多の83登板、2017年はレンジャースで11セーブ82.2イニングと実績があり、安定感は十分。個人的には、安心してみていられるリリーバーだと思います。
今オフもFAとなった後、さほど困ることもなく新天地が決まりました。エンゼルスは右のスライダー多投タイプが多く、Claudioの加入で、ブルペン陣のバリエーションが増えたのは好材料。今後もしぶとく生き残ってほしい。
その他(元先発投手)
Francisco Liriano(TORマイナー契約)、Ross Detwier(MIA)、Derek Holland(DETマイナー契約)
残る実力派レフティー・リリーバー
今オフのFAには、Tonny Watson、Justin Wilsonの元パイレーツコンビ、39歳となったメキシカンレフティーのOliver Perez、LADに下山して復活したJake McGeeなど実績のあるレフティーがまだいます。むしろ、セットアッパー経験者が2人(McGee,Watson)。
WatsonはClaudioに近いタイプです。パイレーツ時代はセットアッパーを務めた経験もあり、個人的にはいい選手のわりに評価が低いと思います。
また、McGeeは昨季防御率2.66,K/914.6と圧巻のパフォーマンスをみせて、ドジャースファンを喜ばせ、ロッキーズファンを悲しませました。4シームをこれでもかと多投して94%にも達してキャリアでもベスト。
Justin WilsonもMcGeeとみたタイプで、4シーム中心のスタイル。McGeeがDoolittleとおなじく34歳。Wilsonは一つ下と、同世代に速球多投派レフティーが揃っています。
Perezは白髪もみえてきましたが、スライダーの巧みな投手です。昨季はrWAR1.0を記録しましたが、三振率が7.0と低下したことが不安要素です。
左のリリーバーを必要としているチームは・・・
・クリーブランド・インディアンス・・・Oliver PerezがFAでレフティーが不足気味。
・サンフランシスコ・ジャイアンツ・・・Watsonとの再合流はないのか。
・マイアミ・マーリンズ・・・メッツ同様、同地区のライバルに左の強打者が多い。今オフはRoss Detwierを補強したが、他の選手を狙ったほうがよかったのではないか。
カンザスシティ・ロイヤルズ、フィラデルフィア・フィリーズ、ワシントン・ナショナルズ
必要といえば必要ですといった具合で、なかなかプッシュする感じでもないです。
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