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16. パックID管理

いろいろな電池使用セットにあわせた模造品パック、もしくは違法海賊版パックが種々市場に出回っています。

 これらのパックは品質的に劣悪なものがあり、このようなパックを使用したエンドユーザが火傷や怪我を負う場合があります。


このため、セットメーカーは非純正のパックを使用できなくするために、パックに特定のコードを発生する回路を入れ、そのパックが本体に装着されたときに、 本体がパックからのコードを読み取り、適合するパックであると判断したときにパックを受け入れるように対策を講じています。

これをパックのID管理といいます。

このような動きは一部では独占禁止法の違反になるのではないかと危惧する声もありますが、しかし、法曹界の複数の関係者の意見では、安全を守るためであるので、模造品パックを拒否すること自体は独占禁止法違反とはならない、といわれています。

しかし、ID管理が安全のためではなく、純正品を限定して使用させることを目的とするならば、独占禁止法に抵触する可能性が高いというのも事実です。

独占禁止法に違反しないためには、たとえば模造品パックの製造業者が、IDの暗号の開示を求めてきた場合には協議に応じ、その業者の安全性を審査し、安全と認められれば、適正な対価を得て暗号を開示しなければならない、といわれています。

パックにIDを持たせるにはソフト的な方法とハードウェアで対応する方法があります。

ソフト的に対応するには、パック内にマイコンが入っていることが条件になります。

したがって、FG管理を行っている場合にはIDはソフト的に処理できます。

パックにIDのみを組み込むには、そのための専用のICを用いることになり、そのようなICは最近になっていくつかの半導体メーカーで開発が進んでいます。

昔から電池パックにIDを持たせるようなICは存在していました。

しかし、模造品パックにもそのICが入っているという噂があります。

すなわち、ICメーカーのどこかの段階で製品が横流しされたと疑われています。

そのようなことが発生してはID管理を行う目的に反するため、充分に信頼できるメーカーの製品を採用する必要があるでしょう。

なお、この話はあくまでも噂話であり、弊社は事実と主張するものではありません。

大きな市場を形成した製品には、そこで利益を上げようとする悪い人たちが群がるもので、悪い人たちは、本当に悪いことを考え出すもののようです。

話は少し変わりますが、携帯電話にリチウムイオン電池が採用され始めた頃、筆者は某所(日本ではありません)で大手の携帯電話のスペアバッテリーパックを購入したことがあります。

そのメーカーのロゴとリチウムイオン電池と書かれたラベルが貼ってありました。

結構まともな値段でした。

日本に帰ってそのパックの内部を見たところ、入っていたのはニッケル水素電池でした。

要するに、海賊版です。

海賊版と互換品の違いは、海賊版が純正品と混同されることを狙って、ひたすら純正品と同じ外観にしている(当然、純正品メーカーのロゴが入っています。)のに対して、互換品は基本的には互換品メーカーの商標で売られます。

互換品にしても、外観はセットに挿入できなければならず、純正品とほぼ同じになっています。

筆者の経験では互換品の品質はそれほど問題ありません。

問題は海賊版のほうで、例えばリチウムイオン電池で保護回路が入っていないというものもありました。

保護回路は入っていてもセルあたり4.25Vで充電したら破裂したという例もあります。

確かに、保護回路が入っていなくても、4.2Vという充電電圧が守られていれば、事故になる確率はほとんどありません。

しかし、海賊版パックと海賊版充電器の組み合わせもあります。

海賊版充電器は、リチウムイオン電池パックが保護回路で保護されていることを前提として、定電圧回路がいい加減であったり、定電圧機能すらなく単に定電流回路だけが入っているとか、というものがあるようです。

このような充電器と保護回路が入っていない、もしくは保護回路が機能していない電池パックの組み合わせは、確実に事故を起こします。

某国では車に乗っていて携帯電話の充電がなくなると、電池パックにカーバッテリーを直結して数分間充電するという話があります。

このようなことをすれば、海賊版パックは発火、破裂を起こすでしょう。

純正品が特許や意匠登録などで保護されていない限り、互換品は基本的には法律を犯していません。

特許で保護されている電池パックではビデオ用のパックの端子構造が有名です。

海賊版や互換品が作られるのは、市場にかなりの台数が出回っているものになります。

出荷台数の多い製品は、特に海賊版に対して、ID管理機能の組み込みなど、対策をお考えください。


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*2006年当時のお話をもとにしております。

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