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15. 残量管理

電池パックの充電量の算出、表示、通信などを行う機構をガスゲージといいます。


英語ではGas GaugeとかFuel Gaugeとよばれ、後者を略して、FGと言われたり、書かれたりします。

FGの方式は簡易タイプと精密タイプがあります。

簡易タイプは携帯電話などで採用されているもので、パックの電圧を測定して、その電圧から電池の充電残量を決めるものです。


電池の電圧と残量の関係は



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正確に電池充電残量を算出するためには、電池パックの流入及び流出電流を測定し、それを積分する必要があります。

ただし、サイクル劣化や温度での変化があるため、充放電サイクル回数のカウントを行い、それに応じて電池の満充電容量を減少させていくこと、電池パック内の温度を測定し、低温側では満充電容量を減少すること、などを計りながら算出する必要性がでてきます。

当然これらはマイコンを使用して制御することになります。

さらに、完全放電後に満充電を行うと、その時点での電池パック容量値を学習し、データを書き換えることも行います。


パソコン用電池パックのFGについては、スマートバッテリーという規格があります。


現在市場に出ているほとんどすべてのパソコンは、多かれ少なかれスマートバッテリー規格に準拠しています。


しかし、次第にメーカーごとの独自色を出していこうとしているようです。

元来、電池パックはパソコンごとに設計されるもので、標準品は存在しません。(1990年代の末期に18650の3直3パラでスマートバッテリー規格に完全に準拠したバッテリーパックが存在したことがあります。今でも、例えばカナダのMoli Energyのサイトには製品として紹介されています。しかし、この標準パックを採用したノートパソコンは、残念ながら、ほとんどありませんでした。)

スマートバッテリー用の標準のガスゲージICが数社から製品化されており、このICを使うことにより、FG機能を容易に実現することができます。

このような標準ICを使わないで、マイコンで管理するものもあります。

スマートバッテリーは本体との通信プロトコルが決められていますが、基本的に2ラインの通信です。

すなわち、電池パックとしては最低4端子となります。(電池出力の+と-、およびFGのデータとクロック)

パソコン以外では、本体および電池パックに設ける端子の数をなるべく少なくしたいというコスト上の要求もあり、スマートバッテリー準拠ではなく、例えば1 ワイア通信(電池出力の+と-、およびFGのデータ)にすることもあります。

ノートパソコンは大容量の電池パックであり、かつ、充電後短時間に放電させてしまうことが多く、FG自体の消費電力はほとんど問題にならないのですが、もっと小型の電池パック、端的には携帯電話のように単セルのパックでは、FGの消費電力が大きな問題となります。


例えば単セルパックで、50%充電状態で市場に出荷され、流通段階での在庫期間を経て、エンドユーザに渡ったときに、パックが過放電になっていてはなりません。

さらにはエンドユーザーの初回動作に必要な充電量が残っていなくてはなりません。

流通での在庫期間をどのように見るかという問題もありますが、このような低消費電力のFGを如何に実現するかというのは、電池パックメーカー、設計技術者の実力が問われるものです。


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*2006年当時のお話をもとにしております。

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