三浦政権のベイスターズに我々は何を求めるのか【「4522敗の記憶」を読んで想う】
村瀬秀信氏の著書「4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史」を初めて手に取ったのは高校3年の時。当時はこの球団が抱えるあまりに悲惨な歴史を前に絶望し,電車の中で涙を流し,そのまま挫折したことを覚えています。
先日,たまたま暇があった際に意を決して再挑戦してみたのですが,まあやはり目も当てられない。他球団のファンにはとてもお見せできないような,まさに「涙の球団史」という感じでした。
そして,この本を読み終えて現在のベイスターズに目を向けてみると,今この球団は大きな歴史上の転換点にいるような気がしてならないのです。
横浜はベテランの扱いが下手
ベイスターズが暗黒時代をひた走ってきた要因として「功労者の扱い」が挙げられます。多くのファンに愛され,チームを愛してくれた選手がなぜ?という形でチームを去った前例は数知れず。
自分の大好きな選手が喧嘩別れのような形でいなくなってしまった経験を持つファンの方も少なくないのではないでしょうか。
「クジラと監督は外から獲ってくる」
4522敗の記憶の中で繰り返し登場した言葉です。球団の功労者を追い出してしまうから,生え抜きのスター選手が監督になり得ない。だからベイスターズのチームカラーも定着しないまま,長い歴史を積み上げてきてしまったのでしょう。
待望の生え抜き監督
2021年,横浜に新しい監督が誕生しました。
ハマの番長 三浦大輔。
24年もの間、横浜のマウンドに立ち続けた英雄が、満を持してベイスターズの指揮を執ることになりました。
生え抜き選手の監督就任は2003‐2004年に指揮を執った山下大輔さん以来,生え抜き投手に限れば1975‐1976年の秋山登さん以来だそう。なんだそれ。
兎にも角にも,待望の生え抜きスター監督がベイスターズに誕生したわけです。
球団に与えられたチャンス
三浦監督のエピソードでファンの記憶に最も残っているのは,やはり2008年オフのFA残留でしょう。
功労者の扱いがド下手くそな球団は先にも後にもありとあらゆる主力選手に見捨てられていくわけですが,慈悲深くも阪神入りを蹴って横浜一筋を貫いてくれたのが,他でもない三浦監督であるわけです。
そして今シーズンの監督就任。横浜DeNAベイスターズとしては2人目にして初の生え抜き監督となるわけですが,これは球団に与えられたチャンスと考えられるでしょう。
三浦大輔という,横浜球団の歴史を知る選手が監督になってくれた。地域密着を掲げてきた球団が,本当の意味で伝統を築き上げ,街に,そしてファンや選手の心に根付いていくことが出来るのか。
それは三浦政権下でどのようなチームを作り,更にはその後どのように継承していくかに掛かっているのです。
「 横 浜 一 心 」を掲げて
もうすぐ2021年のシーズンが幕を開けます。
三浦監督率いるベイスターズは「横浜一心」をテーマに掲げ,選手・チームスタッフ・ファン・街が共に戦うチーム作りに取り掛かっています。それはファンが,そして三浦監督自身が長年探し求めてきたチーム像なのではないでしょうか。
ベイスターズがより結束し,より強いチームに生まれ変われるのか。とても楽しみです。