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2022年のベイスターズ
2022年のベイスターズは、改良版ピタゴラス勝率(0.471)よりも実際の勝率(0.518)の方が高いというシーズンだった。
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これは勝利数に変換すると、67.3勝になるので、実際の勝利数73はこの得失点差にしては6勝も多く勝ち星を得たと言える。67勝74敗と73勝68敗では大分違いますよね。。その要因を探るのがこのセクションとなる。
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勝利時と敗戦時の平均得失点差
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Wが勝利を表していますが、勝利時の平均得失点差は+2.90、対して敗戦時は-3.56。つまりは、勝利時に大勝する頻度よりも、敗戦時に大敗する頻度の方が高いということ。このシーズンのセ・リーグの成績を下記に載せますが、得点力はリーグ4位、失点数が3位。ということは、平均的に投手陣が悪かったというわけでもない。割と接戦をしっかりと勝ち切りつつ、負ける時は大敗する、という感じだったのかもしれません。
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2022年のセ・リーグ 一点差勝利
下の図は、2022年のセ・リーグの結果で、横軸が一点差勝利の数、縦軸に実際の勝率とピタゴラス勝率の残差でチームをplotした散布図。なんとなく見てわかる通り、相関係数は0.72と高い結果になっている。
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一番驚くべき点は、我がベイスターズが一点差勝利で勝ち切っているという事実。。セ・リーグTOPの25勝。予想通り、勝つときは接戦をしっかりとものにしてきた、ということでしょう。
本書では、その裏付けとして「防御率の低いクローザーの存在」を挙げている。残念ながら、これと完全に対応するデータを作成することは困難(自責点をゲームログから計算することが困難)ですが、似て非なるデータとして打点=自責点とみなしたデータを出してみます。すると、、山﨑康晃という優秀なクローザーがいたという事実が見えてきます。一応、下記データの定義としては、試合の最後に投げた投手=クローザーとして認定、その最後に投げて奪ったアウト数と直接打点を取られた数を累積して仮の防御率を計算したものです。
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なお、実際の山﨑康晃の成績は56試合登板、0勝2敗37セーブ、防御率1.33の堂々とした数値。ベイスターズに続いて1点差勝利が多かった中日(23試合)については、ライデル・マルティネスが56試合登板、4勝3敗39セーブ、防御率0.97で最優秀クローザー。逆に1点差勝利が比較的少なかったのは広島(18試合)。この年のクローザーは栗林で48試合登板、0勝2敗31セーブ、防御率1.49と非常に優秀ですが、山﨑・ライデルと比較するとやや落ちる。栗林が悪いというよりは、1点差で粘ってクローザーに渡す試合が少なかったということだとも思うので、必ずしもクローザーだけが1点差勝利に貢献しているわけではないはずです。それにライデル擁する中日はこの年最下位ですし。。
ただ、それでも優秀なクローザーの存在はピタゴラス勝率を覆すような結果を産む可能性が見えてくる。優秀なクローザーをどのチームも欲しがる理由がよくわかりました。