SKIPPED BEAT(すけべ~)

シティポップブームに憂う

松原みきさんの「真夜中のドア~stay with me」という1979年のシティポップが世界的に流行しているといいます。

シティ・ポップ (city pop) は、1970年代後半から1980年代にかけて日本でリリースされ流行した、ニューミュージックの中でも特に都会的に洗練され[9]洋楽志向のメロディや歌詞を持ったポピュラー音楽だそうです。ロックとフォークの日本版ハイブリッドといえるニューミュージックを母胎とする点で、シティ・ポップは洋楽(特にアメリカ音楽)の日本独自なアレンジという側面を持つが、決まったスタイルのサウンドは無く、「明確な定義は無い」「定義は曖昧」「ジャンルよりもムードを指す」とされるそうです。この時期田舎に住んでいた私からするととんでもなくハードルが高い世界の音楽に感じたのです。シュガー・ベイブのアルバムを起点とし、その後に活躍した大瀧詠一、山下達郎、吉田美奈子、荒井由実、竹内まりや、大貫妙子、南佳孝などがシティ・ポップの基盤を作り上げたのだそうです。「真夜中のドア」より先に海外でブームになったのが竹内まりあさんの「プラスティック・ラヴ」です。1970年代後半SONYの「WALKMAN」の登場と同時に歩きながら聴く音楽、聴き心地の良い音楽として日本独自の進化を遂げたシティ・ポップ。歌詞ではおしゃれな都会の上級者の恋愛を歌いながら「抱きしめる」、「キス」といった表現までが限界で恋の駆け引きに性行為が付きまとうことを見事に消し去って蓋をしているのも特徴です。

すけべ~

ブラックミュージックのかっこいいエッセンスとAmから始まる骨太なロックを引き下げたKUWATA BANDの「SKIPPED BEAT」はシティ・ポップの真逆を行くロックです。歌詞の始まりは「レノンが流れるロックカフェ~」とシティ・ポップ調のシチュエーションですが「腰も絡めすんげぇ~」「SKIPPED BEAT SKIPPED BEAT SKIPPED BEAT」(すけべ~)と聴こえます。


「でたらめなロックがやりたい」と1986年限定で桑田佳祐さんが結成したKUWATA BANDは本格的なシティ・ポップ全盛の中で本格的なロックに取り組み「SKIPPED BEAT」についてはあのJ.Y PARKが中学生時代、日本の文化禁止の韓国で日本からのラジオの電波をキャッチし「アジアにもブラックミュージックを演奏できるバンドがある」と感動したそうです。そしてともすれば「おしゃれな都会的音楽」と流されてしまいそうな中で男の欲望、女の恋愛の駆け引きを「濡れたパーツのマニア」等そのままの言葉を散りばめて「おしゃれしてても本当はHがしたいんだろ?」みたいな人間の裏側を描いています。「SKIPPED BEAT」が発売された1986年頃はバブルまではいかないものの日本がイケイケの時代です。1981年に西麻布にオープンした松井雅美さんデザインのレッドシューズみたいなカフェバーがたくさん出店した時代でもあります。桑田さん自身、代官山のカフェバーにビーチサンダルで入店したら「お客様、ドレスコードが・・・」入店拒否されたりしたエピソードがあり、おしゃれなバーで繰り広げられる男と女の性的事情をこの曲に盛り込んだんだと思われます。田舎から上京した私はお金がないので代官山でもバーどころか喫茶店にも入れないぐらいビビっておりました。入ることができたバーは「北の家族 with ペンギンズバー」ぐらいでした。(居酒屋)

ちなみにSuperflyが「SKIPPED BEAT」を歌うと「すけべ~」ではなくなり、おしゃれな曲になってしまいます。

勝負にならない

代官山や西麻布のおしゃれな店なんか知らなかったし、お金もないし恋する資格もないと感じていた1980年代半ば、シティ・ポップは全盛を迎え、KUWATA BANDは男と女の本音をぶち込んでたのです。そして私は自分の遺伝子たちをティッシュの中に放出して自己昇華していたのです。シティ・ポップの語るおしゃれな恋愛の裏側は金と欲にまみれてたんじゃないかと思っていますよ。(笑)「愛人バンク」とか「夕ぐれ族」とか言われる、今でいう「パパ活」の組織的なやつみたいな会社の筒井待子さんとかいう社長が堂々と地上波のバラエティに出演してた時代です。学食で「サービスランチ」食ってる貧乏学生には女が回ってこないと思ってました。

そうなんですよ。やっぱり知識とお金とコネがないとモテないんです。学校で習ったように努力するだけじゃ恋も仕事もうまくいかないんです。間違った方向に努力しないことが重要なんですよね。「SIKIPPED BEAT」は直接的にそれを教えてくれてるんです。「濡れたパーツのマニア 俺の純生ジュニア 腰も絡めすんげ~ すけべ~ すけべ~ すけべ~ WOMAN SAY(よがり声です)」結局これなんですよ。そこに辿り着く人間じゃないと浮ついたようなシティ・ポップの歌詞のようにはならないよと。


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