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「君の代わりはいないこともない」くらいがちょうどいい。

「君の代わりはいくらでもいる」。そう言われると、いたたまれない気持ちになる方は多いだろう。では、「君の代わりは誰もいない」と言われたらどうだろうか。
ある人は、プライドをくすぐられ、やる気を高めるかもしれない。またある人は、プレッシャーを感じ、少し憂鬱な気持ちになりながら仕事に向かうことになるかもしれない。

気持ちの問題ももちろんだが、「君の代わりは誰もいない」と言われる状況は、実利的にも良し悪しである

「代わりがいない」というのは、つまり「替えが効かない」ということなので、その場所での発言権は、事実上強力なものになりやすい(たとえ、ルール上はその発言権が保障されていなかったとしても)。だから、少し、いやそれなりにわがままなことを言ったとして、全部呑んでもらえることはないにしても無下にされることはまずない。
それに、「替えが効かない」状況というのは、ある種居心地の良い状況である。「誰かに席(立場や地位)を奪われてしまうのでは」という不安をさほど抱えることなく、日々が過ごせるからである。

しかし、一方で「代わりがいない」状況は、自分がいる場所、そして自分自身も窮地に追い込まれやすいことを意味している。
「替えが効かない」ということは、誰も「代わってくれない」し、「代わることもできない」。もし、自分の役目が、その場所の維持にとってとても重要なものだとしたら、すぐにその場所は維持しがたくなってしまうわけである
それに、誰も「代わってくれず、代わることもできない」状況では、自分の身に何かあっても、自分でリカバリーするしかない。身に降り掛かったものと戦いながら、あるいは戦い終わった直後にリカバリーするのは、容易いことではないのに、である。

だから、おそらく一番バランスがよいのは、こんな言葉をかけられる状態だろう。「君の代わりはいないこともない」。

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