"君臨すれども統治せず"
先日、2時間離れた街に向かい、5軒ほどスリフトストアを物色し、あるジャケットを見つけた。
見た目はネイビーのカバーオールだが、ラペル、ラグラン、比翼に生地がポリビスコースというあまり見かけないものだった。
内タグには、C.G.C.F製、1972年、サイズ、
ポリエステルとビスコース、あとはケアについてのみ。
タグの雰囲気からして間違いなく、軍モノだろうと思い、帰宅してから調べることに。
C.G.C.FとはCommonwealth Goverment Clothing Factoryの略で、1912年にメルボルンに設立された政府主導の軍服工場のようだ。1975年の民間化計画によって、ADI(Australian Defense Industry)となり、
のににADA(Australian Defense Apparel)と名前が変わり、現在に至る。いわゆるサプライヤーである。
似たような表記でA.G.C.Fも見たことがあるので当時、いくつか工場が作られたのだろう。
なぜそれがメルボルンなのかについては今後調べる機会を設けたい。
ここでふと、"commonwealth"という言葉に引っかかりを感じた。
オーストラリアでcommonwealthと言えば、真っ先に挙がるのがCommonwealth Bankだろう。最大手の銀行。
オーストラリアにおいて、"commonwealth"とはどういう意味合いを持つのだろうかと。
wikiいはく、commonwealthはいくつかの意味合いを持ち、上手く日本語に充てる言葉がないため、一般に"公共の福祉"とされる。
が、オーストラリアにおけるcommonwealthは歴史的背景が関わってくるようだ。
1606年にオーストラリア大陸が発見され、1770年にはイギリスが東半分のほとんどを手中に収め、1901年にイギリスの植民地のひとつとして連邦という形になった。
当時からイギリスの植民地であった国々とイギリスとの関係は"Commonwealth of Nations"、中でもイギリス国王を自国の王として扱う国々は"Commonwealth of Realm"となっていて、現在のオーストラリアの正式名称は"Commonwealth of Australia"らしい。
まさしく、"君臨すれども統治せず"が採用されている。
中学から歴史が好きで、高校も世界史Bを選び、大学も文学部歴史学科に所属していながら、細かいところはほぼ全て忘れてしまった。
が、"君臨すれども統治せず"
世界史をやっていた人なら誰しも聞いたことがある言葉だろう。
学生時代の勉強は実生活にあまり直結することがない場合が多いが、巡り巡って、異国の成り立ちを知る上で役に立った。
高校生の自分を労いたい。
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