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冬に増えるアレについて

もうそろそろ春らしい陽気の日もありますが、冬の間に実は増えるお問い合わせがあります。

何かといいますと、「お修理」のお問合せ。

弊社で購入くださったお品も、そうでないお品も、「チェーンが切れてしまった」、「リングのパールがはずれてしまった」等、修理の可否をおたずねいただくのですが、実はこれ、冬にけっこう多いことなんです。

なぜ冬に多いのかといいますと、冬のお洋服はコートやレザー小物、厚手のニットなど、重量のあるものが多いのです。

最近では、ジュエリーはずっとつけたまま、という方も多いのでその重衣料を着用した生活で、少しずつジュエリーにも負荷がかかり、弱い部分が痛んできます。そしてある日突然(と思えるように)、ひっかけていないけれどブレスレットが切れた、とか、台座からポロリと石がとれた、などアクシデントが起こるのです。

貴金属加工の職人さんともたまにこれは話題になるのですが、私たち、作る側の者は、製作過程でどこがどういう風に接合されているかわかっています。なので、この向きに力がかかると良くないよね、とか、ここはデザイン上、繊細なつくりになっているから丁寧に扱わないとね、など把握できているのです。でもそれを、購入くださる方にどこまでお伝えできているのか?と言うと、私自身が振り返ってみるとそこまで詳しくお伝えできていないのが現状です。(しっかりお伝えになっているブランドさんももちろん多いと思います。)

従来はジュエリーってそれなりに高額なもので、例えば着替える時には外す、とか、入浴時や水仕事をする時には外す、など自然と大切にされ、また、ご家族間で受け継がれる際に、そうした取扱いのことも伝わっていくものだったように思います。

現代はモノの価格が下がったことや、どんなものでも入手が簡単になったこともあり、壊れたらまた買いなおそう、というお考えの方も増えています。

また、生活スタイルもさまざま、慌ただしい毎日の中で、ジュエリーもつけっぱなしだったり、大振りのリングをはめたまま無理やり手袋をはめちゃう、なんてこともちらほら・・。

ダイヤモンドのフープピアスを外出先で外して、ダイヤだから強い、大丈夫でしょとバッグの内ポケットにしまっていて、気づいたらダイヤがいくつかとれてる!と慌ててご相談されたことも・・・。

ダイヤモンドそのものは硬くても、それを留めている18金の台座などはもちろん力がかかれば曲がります。そういったことを知らない方からすると「え、そんなの先に言ってよ~」となるのかもしれません。

大きな石や真珠のついたデザイン的な指輪も、大きなものが付いているぶん、ひっかけやすく、着用したままのジャケットの脱ぎ着などで何度も袖口を通過させることで根元に力が加わり、取れやすくなってしまいます。もちろん、必ずとれるということではないのですが、日常の少しずつの負荷が積み重なると、こうした結果になることもあるのです。

私自身は気に入っているものを長く使うタイプなので、ジュエリー類(特に大きなリングやテニスブレスレットなど)は帰宅したら、着替えるより先に外して収納します。修理ができるとはいえ、お気に入りのものがお修理中は使えないのも不便ですものね。

ただし先日はレストランでコートを預けるために脱いだら、一緒に袖口からブレスレットがポロリと・・・。

用心していてもこういうこともあるので、やっぱり冬の重衣料には要注意、ですね。

皆様も、万一外出先で知らないうちに落としてしまって悲しい思いをされないためにも、一度お手持ちのジュエリーをじっくりチェックしてみてくださいね。



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