大社右腕"6人衆"の行末:前編
お久しぶりです!そーすです。
なんと前回のnote投稿から約1年弱が経過してしまいました(Deドラ振り返り後編はどこへ行ったんですか???)。大変申し訳ありません。
私生活があまりにも目まぐるしい一年で、とてもとても"お気持ち表明"を垂れ流している時間的余裕も、心の余裕も無かった、ということです。
ここ最近は多少の余裕も生まれ、何よりも程々に承認欲求が湧いていることもあって今回のnote執筆に至りました。
自分語りはこれくらいにして、今回は2022年ドラフトでの有力候補と目される、6人の右腕投手についての意見となります。6人共に高い評価は得ながらも、同列に並んだ考察はあまり多くないのでは?と考えたことが発端です。宜しければ読んでいただけると幸いです。それではどうぞ。
そもそも”6人衆”って?
「6人衆って何なんですか?」
————————「私の造語です。」
まずはタイトルにもある"6人衆"が誰なのかを紹介しようと思います。
立教大学・荘司康誠
専修大学・菊地吏玖
亜細亜大学・青山美夏人
富士大学・金村尚真
東芝・吉村貢司郎
大阪ガス・河野佳
以上6人についてを"6人衆"と括らせてもらいました。何れも1位候補として名前の挙がることの多い、「即戦力右腕」たちになります。彼ら個々人については多くの方から高い評価を受けており、このnoteを読んでくださっている皆さんも名前や大凡の噂は把握しておられるのではないでしょうか。
今回のnoteでは、彼ら6人を並列に並べて、6人の中での特色を考察してみようと思います。誰が1番だとかというよりも、6人を串刺しにした形での視点を考えられたらな、と思っています。
①立教大学・荘司康誠
1人目に紹介するのは立教大学の荘司康誠(しょうじ・こうせい)投手です。
最速153kmの直球と鋭いスプリットを武器に、東京六大学という学生野球最高峰の舞台で活躍する右腕です。そんな彼の特色を自分なりにまとめたものがこちらになります。
・長所
①フィジカルスペックからくる将来性の大きさ
②最高レベルのリーグで結果を残していること
③21年→22年にかけて示した成長曲線の伸び
・短所
①制球面での不安(リーグ戦通算BB/9 4.33)
②右肩痛の前歴
③リーグ戦完投なし
以上が荘司投手の特色となります。尚、①〜③の並びは個人的に考える優先度順(長所であればその長所の魅力度の高い方から、課題であれば懸念の大きい方から番号を振っています)ですので、参考にしていただけると幸いです。
荘司投手の魅力はそのポテンシャルの大きさにあります。この点については6人衆の中でもズバ抜けていると言っていいでしょう。
188cm/88kgの恵まれた体格を持ち、将来的には更なるスピードアップも見込めるエンジンを搭載していると考えます。東京六大学というトップリーグで結果を残している、という即戦力性がありながらも更なるスケールアップを見込めるというのは、プロのスカウトにとっても魅力的に映るのではないでしょうか。
反面、課題もはっきりしているのが特徴です。特に以降に紹介する5人と比べて目立つのは制球面の不安です。例年であれば多少の粗さがここまで目立つことはないかもしれませんが、今年に限っては候補に(程度の差こそあれ)制球力を担保している選手が多いために目立ってしまいます。また意外なことに、リーグ戦での完投がない(9イニング投げ切った試合はアリ)ことも引っかかるかもしれません。
ただし今春リーグ戦で9回154球の後、中1日で登板し150km超えの球速を計測するなど、馬力そのものがないわけでは決してありませんので、この辺りはアマチュア野球特有の運用からの解放での上がり幅を見込んでいいかもしれません。
②専修大学・菊地吏玖
続いて紹介するのは専修大学の菊地吏玖(きくち・りく)投手です。最速152kmの直球を軸に、高い制球力を兼ね備えた安定感抜群のピッチングスタイルが身上の投手です。そんな彼の長所と課題はこちら。
・長所
①高い制球力と抜群の安定感
②体格があり、完投も多く記録する馬力
③国際大会での活躍でレベルを再証明
・課題
①スプリット(フォーク)以外の変化球の質
②東都2部というリーグレベル
③1,3年次に故障歴あり
菊地投手はその抜群の安定感が魅力的。リーグ戦通算K/9 8.60、BB/9 2.45、ERA0.93という極めて優秀なスタッツが並びます。これだけ聞くと昨年度ドラフト3位指名を受けた赤星優志投手(日大→巨人D3位)に近い印象を抱くかもしれませんが、菊地投手は一回り体格が大きく(183cm/93kg)、奪三振能力も兼ね備えた本格派と言っていいでしょう。荘司投手ほどではなくとも、プロ入り後の更なる成長も期待できるかもしれません。
今季は大学日本代表にも選出され、本大会でも8イニングを投げて無失点。8奪三振を奪いながら四球1と、リーグ戦での実績がフロックでないことを証明した点も好材料でしょう。安定感と力強さとを高いレベルで兼ね備えた投手であると言えます。
総合力の高い菊地投手ですが、課題を挙げるならまずは変化球。今季途中に解禁したというスプリット(フォーク)は空振りが取れるマネーピッチとして機能しているものの、特にスライダー系統の変化球については未知数な部分があります。
東都2部ではセンターカメラからの映像がゼロに等しく、国際大会のハーレムベースボールリーグで確認できた限りではスライダーについてはまだマネーピッチとなりうる球という印象はありませんでした。
所属リーグが2部というのも懸念点です。もっとも、東都2部は先述の赤星投手や原樹理投手(東洋大→15年ヤクルトD1位)のように過去の指名でも上位を勝ち取る選手は多く、また菊地投手の場合は国際大会でその実力を証明していることから大きな足枷にはならない可能性もあります。
③亜細亜大学・青山美夏人
3番目に紹介するのは亜細亜大学の青山美夏人(あおやま・みなと)投手。
東都大学野球連盟の名門・亜細亜大学の絶対的エースで、ストレートの最速は151km。空振りの取れるスプリットと大きな縦変化が特徴的なカーブが武器の投手です。そんな青山投手の特色はこちら。
・長所
①東都&大学選手権で大車輪の活躍という実績
②先発・リリーフ双方での実績あり
③スプリット・カーブの2球種の質の高さ
・課題
①現時点からの伸び代があるのか?
②球威を含めた「制圧力」が足りているのか
③今春のパフォーマンスを維持できるか
今季の彼の実績は凄まじいものがあります。レベルの高さならば六大学をも凌ぐと言われる東都リーグで6勝負けなし、ERA1.40、K/9 8.22、BB/9 1.40 の成績を残してチームを優勝に導くと共に、MVP・ベストナイン・最優秀投手・最優秀防御率を獲得しました。即戦力性を現時点で測るのであれば大学生の中で1番手と言ってもいいかもしれません。
この実戦力に加えて183cm/94kgとしっかりとサイズがあるため、耐久性の面でも不安要素は少ないと思われます。また彼の武器であるスプリットに加え、効果的に使用されているのがカーブ。今回の6人衆はそれぞれ決め球となる変化球を一つは持っていますが、青山投手はもう一つのマネーピッチになりうる変化球としてこのカーブを有している点で優位にあると言えるでしょう。
課題とみられるのは、こうした実績が示す完成度の高さからくる上澄みの少なさ。これ以上の進化の余地をどれだけ見ることができるか、という点においては上の2人との差はあるでしょう。今春のリーグ戦では被安打率が8.22とやや高く、ランナーを出しつつも要所は締めるというタイプの投球が目立つのも引っかかります。広島カープ・松本スカウトのコメントでは「すごさは感じないけど、6勝。何位でいけるか...」とあり、まさにこの「凄み」の不足がネックとなるかもしれません。荘司投手・菊地投手のような直球の強さまでは望めないと考えます。
④富士大学・金村尚真
4人目は、富士大学の金村尚真(かねむら・しょうま)投手です。
北東北大学野球連盟の王者、富士大で難攻不落の大エースとして活躍しており、抜群の制球と鋭いカットボールが武器の投手です。そんな彼の長所と課題は以下の通りになると考えました。
・長所
①圧倒的すぎるリーグ戦スタッツ
②全国大会でも2年続けて好投
③候補の中でも群を抜く制球力
・課題
①球威・球速の不足
②体格の小ささ
③所属リーグのレベル
彼のリーグ戦スタッツは驚異的。通算ERA0.97、K/9 9.77、BB/9 0.97 となっています。恐るべきはその制球力で、通常は3.00を切れば十分優秀とされるBB/9が驚愕の0点代。抜群のコントロールを持っていると言えます。前述の通り、今季の上位候補投手には制球力の評価が高い投手が多いですが、金村投手はその中でもトップに位置しています。
全国大会でも2年続けて結果を残しており、いわゆる「地方無双」だけの選手では決してありません。制球の良さだけではなく、要所でのギアチェンジなども披露しており、実戦力の高さを改めて見せています。
ただし課題についても、とりわけこの6人衆の中での相対評価という面では挙がってくるものがあります。全国大会登板時のストレートの球速帯が141~144kmで、突出したものではありません。また、決め球のカットボールの他に投げていたのがカーブですが、あくまでカウント球の域を出ないこと、そもそもカウント球としても取り立てて秀でていたわけではないという印象でした。NPBにおいて先発投手として投げるにあたって、ストレートとカットボールのツーピッチで挑むのは相当の威力と精度を求められます。金村投手がそこまでのパワーを持ち合わせているのかは未知数と言わざるを得ません。
個人的に気になるのは体格の小ささです。176cm/82kgという数値自体はそこまで小さいものではないですが、6人衆のうち河野投手(176cm/80kg)を除く4人と比べれば確実に見劣りします。同じスタッツ良好組である菊地投手などと比べた時に、この体格面が響いてくることもあるかもしれません。
前半総括
いかがだったでしょうか。今回のnoteでは6人衆のうち、大学生投手の4名をご紹介しました。「それくらいの情報は知ってるよ!」と思われる内容だったかもしれません。今回の大目標は6人の中の相対的な評価です。6人の立ち位置をそれぞれに観察できるようなものを目指したつもりですので、ご意見やご感想があればドシドシお寄せください。後編では残りの社会人投手2名をご紹介します。鋭意製作中ですので、よろしけらばそちらもお読みいただければと思います。
それでは次回のnoteでお会いしましょう!👋
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