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大社右腕"6人衆"の行末:後編


こんにちは、そーすです。

 前回に引き続き、今秋ドラフトの上位候補と目される6人の投手についての比較、今回は社会人投手編になります。
 また、前回分と含めての総評も行いますので、前編まだ読んでないよ〜という人は是非是非そちらも読んでいただけると幸いです。それでは参りましょう!

⑤東芝・吉村貢司郎

 今回まずご紹介するのは、東芝の吉村貢司郎(よしむら・こうじろう)投手です。社会人No. 1と評される右腕で、ストレートの最速は153km。常時140km後半を計測する直球と、鋭いスプリットでアマチュア最高峰の社会人野球に君臨しています。
 吉村投手についての長所・課題は以下のように考えました。

・長所
①社会人野球での圧倒的な実績
②MAX・Ave.ともに高出力を維持するパワー
③安定感も向上しゲームメイク可能

・課題
①大卒社会人3年目という年齢
②スプリットに続く変化球
③ストレートの圧力

 吉村投手の今季の公式戦成績がこちら。
58.1回 被安打42 与四死球10 奪三振68 自責点9 防御率1.39 WHIP0.87
まさしく圧倒的な数字が並びます。レベルの高い社会人野球でこの成績ですから、今年の即戦力性No. 1と言われるのも納得です。
 また殆どの先発登板で150kmオーバーを投げており、長いイニングでも出力が落ちるというような事例が稀なのも高評価でしょう。昨年まで指摘されてきた、安定感の面でも今季は成長を見せており、調子が良くなくてもキッチリとゲームを作るという試合も見られます。

 これを課題と言うのかは疑問ですが、彼のネックはやはり年齢。来季は26歳になるシーズンで、他の5人との年齢差がどうしても気になってしまいます。
 投球内容についても気になる点があります。決め球のスプリットの評価は高く、実際に三振もこの球で多く奪っています。これに続くのがカットボールになります。勿論この球も十分なクオリティを持っているのですが、近年のレベル向上著しいNPBにおいて果たしてどこまで通用するのか、と指摘されることがあります。菊地投手と同じく、サードピッチの構成に改善の余地があるかもしれません。
 ③についてはかなり個人の感想に近くなってしまうのですが、ストレートについても触れたいと思います。前述の通り、スピードは申し分ないのですが、そのストレートを簡単に弾き返される場面もいくつか散見されます。NPBの舞台でも、現状のようなストレートで押していく投球が再現できるか、というところに引っかかるものがあります。ストレートのパワーのみならば荘司投手に分があるかもしれません。

まとめ
・社会人相手に圧倒、即戦力性はトップ
・年齢がネック、プロ入り後の成長に疑問符

⑥大阪ガス・河野佳

 6人衆、最後の選手は大阪ガスの河野佳(かわの・けい)投手です。最速151kmの直球を持ち、抜群の安定感で名門・大阪ガスを引っ張る投手です。彼の特色はこちら。

・長所
①21歳にして社会人野球での抜群の実績
②とにかく大崩れしない安定感
③カットボールを含めた複数球種の制球力

・課題
①今季は調子が上がらず
②Ave.140前半という出力の不足
③体格の小ささ

 今季は吉村投手が圧巻の成績を残していることは前述の通りですが、河野選手の昨年成績はそれ以上。都市対抗・日本選手権・JABA大会合計7試合43イニングを投げて失点はわずか1。脅威の防御率0.21という数字を残しています。当時高卒2年目でこの成績ですから、いかにとんでもない結果であるかがわかると思います。
 彼のピッチングスタイルはストレート・カットボールを軸に、スライダー・フォーク・カーブを交える王道の構成。これらを高い制球力で投げ分ける実戦力は、6人衆でもトップクラスでしょう。その実力が社会人の舞台で遺憾なく示されてることが何よりの魅力です。また高卒社会人の21歳なので、6人の中で最年少。吉村投手と比較すれば実に4歳差であり、長期の活躍が期待できるともとれます。

 ただし今季の彼は調子を落とし、都市対抗ではJR東日本相手に3被弾を含む5失点でKOされるなど、昨年ほどの活躍はできていません。元々速球を武器にするタイプではありませんが、平均球速は金村投手に近い140km前半で、根本的なパワー不足が心配されます。
 彼のようなタイプの投手に求められるのは1にも2にも結果です。荘司投手ならば将来性、菊地投手ならば安定感+パワー、といった「その選手でないといけない理由」を持っていないと1位指名は難しいです。河野投手のそれは抜群の結果になると考えます。
 21歳という若さが伸びしろに転化される可能性もありますが、彼の場合は体格がネックになります。176cm/80kgの体格は6人の中では金村投手に並んで最小タイ。根本的な出力向上と耐久性の面では、6人衆の中では1歩下がった位置付けになるかもしれません。

まとめ
・高卒社会人ながら抜群の実績で即戦力性○
・今季のパフォーマンス低下が心配

全体の総括

 以上が今回取り上げた6人それぞれの特色になります。同じ即戦力右腕でも、各人が持つ強みは異なります。6人について改めてその強みをまとめると、以下のようになると考えます。

・パワーと将来性をとるなら荘司投手
・「来年即使える選手」なら吉村投手
・安定感+即戦力性なら青山投手
・制球力をとるなら金村投手
・若さ+安定感をとるなら河野投手
・全ての項目の高いバランスなら菊地投手

 もちろん、ドラフトは絶対評価ではなく、各球団の需要を考慮した上での相対評価です。6人がどの順番で指名されるかどうかはその辺りも含めた考察が必要でしょう。しかしその前に、6人の中での特色を見ておくことで、判断の整理が可能になるかもしれません。

 果たして彼らがどのような順位で指名されるのか、皆さんの贔屓球団に指名されるのか、ドラフト本番を楽しみに待ちたいと思います。


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それでは、次回のnoteでお会いしましょう!👋


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