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【本に出会う】建築に関わるさまざまな思想
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■「建築思想図鑑」松田達/横手義洋/林要次/川勝真一(編著)寺田晶子(イラスト)
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建築に関わるさまざまな思想について、イラストで図解する本書では、古典から現在まで、欧米から日本まで、古今東西の建築思想を、若手建築家、建築史家の方々が、読み解いてくれていて、とても楽しめます。
また、色んな建築物を見る視点がイラストでの解説を試みられており、早稲田大学大学院古谷誠章研究室出身のイラストレーター、寺田晶子さんが描いています。
この連載は、主に、建築を勉強し始めたばかりの若い建築学生や、建築に少しでも関心のある一般の方を想定して進められいるそうで、イラストと共に説明することで、既に、一通り建築を学んだ建築関係者も楽しめる内容になることを目指していて、本格的な内容です。
イラストを手助けにして、やや難解な概念を理解することで、さまざまな思考が張り巡らされてきた、建築の広くて深い知の世界に分け入るきっかけをつくりたいと思って作られた心意気が感じられる内容なので、興味が湧きましたら手に取ってみてください(^^)
■建築思想図鑑
<原始の小屋>
虚飾を攻撃した合理主義の先駆け
<近代建築の五原則>
伝統、構造、疾病・・・建築をあらゆるものから解放したマニフェスト
<ルネサンスの理想都市>
幾何学的秩序と軍事的要請が組み合わさって生まれた「理想」の都市
<神殿か獄舎か>
権威的な「神殿」は欺瞞、「獄舎」にこそ建築的想像力がある
<我国将来の建築様式を如何にすべきや>
「日本らしい」様式を求めて・・・いまだ結論の出ない討論会
<アテネ憲章>
人間的尺度による機能的都市の提案
<未来派>
近代都市に求められたスピードの美学
<群造形>
集落に学んだ、小さな要素の集合からつくる設計思想
<様相論>
空間に曖昧さや時間的変化を取り入れ、建築に複雑さを取り戻す試み
<考現学>
人々が生き、日々変化する都市を科学的に把握しようと試みた先駆的な方法論
<メタボリズム>
原子のスケールから新しい都市を構想した、高度経済成長時代を可視化する建築運動
<縄文と弥生>
古代日本の歴史から導かれた、明快な二つの日本らしさ
<市区改正>
「江戸」を「東京」へと変貌させた、日本近代都市計画の出発点
■建築の都 シカゴの街歩き
シカゴは、
「Midwest」
と呼ばれる、
「米国の中西部(地図的には米国の中央北部)
に位置する都市で、カナダとの国境にある五大湖のひとつ、
「ミシガン湖」
に面しています。
ミシガン湖は、大きすぎて向こう岸が見えないので、感覚としては、
「海辺の町」
のように感じられます。
また、シカゴは、別名
「風の街」(Windy City)
と言われるだけあって、風が強く、傘なんかさそうものなら、メリーポピンズのように飛んでいきそうになります(^^;
地元民は、よく
「どこそこの交差点は特に風が強くて危ない、角に立ってボヤボヤしていると風に押されて車道に転がり出るから気を付けなさい」
等、とまことしやかに語っているそうです。
そして、シカゴは、映画の撮影スポットとしてもよく使われる街で、古くは、
「ブルースブラザーズ」
や
「アンタッチャブル」
等が有名であり、また、シカゴの街並み紹介という意味でおすすめの映画は、
「レイクハウス」(イルマーレ)
で、その他だと、開業以来100年以上の歴史があり、地元民から
「L」(エル)
と呼ばれて、生活の足として親しまれている高架鉄道(兼地下鉄)が登場した映画であれば、
「スパイダーマン2」
や
「あなたが寝てる間に・・・」
という映画もありましたね。
さて、そんなシカゴの街を、以前、シカゴで仕事をしている時期に、ブラタモリ風に撮影した建築物を中心に、写真で、ご紹介しておきますね(^^)
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■人文学としての建築
■参考図書
「増補版 天下無双の建築学入門」(ちくま文庫)藤森照信(著)
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「建築探偵の冒険 東京篇」(ちくま文庫)藤森照信(著)
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「TOKYO建築50の謎」(中公新書ラクレ)鈴木伸子(著)
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「現代建築の冒険 「形」で考える-日本1930~2000」(中公新書)越後島研一(著)
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「新宗教と巨大建築」(講談社現代新書)五十嵐太郎(著)
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「フジモリ式建築入門」(ちくまプリマー新書)藤森照信(著)
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「建築史的モンダイ」(ちくま新書)藤森照信(著)
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「日本の近代建築 上 幕末・明治篇」(岩波新書)藤森照信(著)
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「日本の近代建築 下 大正・昭和篇」(岩波新書)藤森照信(著)
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「反オブジェクト 建築を溶かし、砕く」(ちくま学芸文庫)隈研吾(著)
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「現代建築に関する16章 〈空間、時間、そして世界〉」(講談社現代新書)五十嵐太郎(著)
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「ヨーロッパのアール・ヌーボー建築を巡る 19世紀末から20世紀初頭の装飾芸術」(角川SSC新書)堀本洋一(著, 写真)
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▶「家康、江戸を建てる」門井慶喜(著)
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天正18年、徳川家康が与えられた土地は、何もない関東の湿地帯でした。
本作は、徳川家康本人を、主人公とした小説ではありません。
家康が与えられた土地を、いかにして、町として栄えさせるに至ったのかに、着目しています。
そのため、連作のそれぞれの主人公は、家康とは別人。
湿地帯対策として、利根川の川の流れを変える大事業に取り組んだ、一人の職人が主人公になる章があります。
また、別の章では、飲み水を引いた、土木建築家が主人公の章も。
当時の様子を、フィクションにした小説です。
読み手は、このようにして、家康が偉業を成し遂げ、政治力を発揮したのだと、感心しながら読むことができるでしょう。
現代社会のベンチャー企業などにも通じる、家康の内政力を描いているため、ビジネスパーソンにも、おすすめの作品です。
本のタイトルだけでは、読み取れない魅力がいっぱい詰まった作品とも言えるでしょう。
▶「一度は訪れてみたい日本の美しき近代建築 感動建築100選!」西部晋二(著, 写真)
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「私は若い頃から建築に興味がありました。
12歳上の兄が建築の道を歩んだことに影響されたのでしょう。
もしかしたら、父方の祖父である宮大工の甚左衛門(1856年~1929年)から、建築家に必要なDNAを受け継いでいるのかもしれません。
祖父は、日本の近代建築の先駆者であるジョサイア・コンドル、辰野金吾、曾禰達蔵等と同時代に活動していました。
会ったこともない祖父ですが、なにか感慨深いものを感じます。
私の大学受験の際、最初は建築学科志望でしたが、色弱で不合格になる懸念もあり、電気工学科に変更しました。
就職先も電機メーカーであり、長年コンピュータ開発などに携わりました。
しかし、建築に対する興味は無くならず、趣味の範囲で何かと建築界の動向は気になったものです。
時折、著名な建築家の作品を訪ねたこともありました。
最近、今までに訪れたことのある近代建築について情報を整理しようと思い立ちました。
日本には素晴らしい建築物が数えきれないほどありますが、私が見たものは一部に過ぎません。
しかし、これらの情報をまとめることで、建築に興味がある方々の参考になるかもしれないと思うようになりました。
建築をテーマとする書籍は数多くありますが、ほとんどが建築関係者の手によるものです。
やはり内容的には専門的であり、一般の方には敷居が高く感じられることもあります。
本書では、私自身が素人であることを前提として、写真を中心に、建物や周囲の風景、そして建築家にまつわるエピソードなどを簡潔にまとめました。
美しい建物は周りの風景を美しく演出します。
また、美しい建物を見ると感動し、ワクワクするものです。
私の感動が読者の方々にも伝わり、本書を気軽な建築散歩の参考書として楽しんで頂けたら幸いです。」(本文「はじめに」より)
第1章.世界における近代建築の三大巨匠
ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
ファンズワース邸
シーグラム・ビルディング
イリノイ工科大学クラウンホール
ル・コルビュジエ
サヴォア邸
国立西洋美術館
フランク・ロイド・ライト
落水荘
自由学園明日館
ヨドコウ迎賓館
帝国ホテル
アリゾナ・ビルトモア・ホテル
アリゾナ州立大学ガメージ記念公会堂
ファースト・クリスチャン教会
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館
マイル・ハイ・ザ・イリノイズ
フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群
20世紀の特定の建築家の名を冠した世界遺産
第2章.日本の建築家と、その作品
ジョサイア・コンドル
旧古河庭園
ニコライ堂(東京復活大聖堂)
三菱一号館
辰野金吾
日本銀行本店本館
東京駅舎
片山東熊
迎賓館赤坂離宮
旧帝国奈良博物館本館(奈良国立博物館なら仏像館)
曽禰達蔵
慶應義塾大学図書館旧館
慶應義塾大学日吉キャンパス日吉記念館
小笠原伯爵邸
伊東忠太
築地本願寺
一橋大学西キャンパス兼松講堂(旧東京商科大学兼松講堂)
アントニン・レーモンド
エリスマン邸
東京女子大学
軽井沢聖パウロカトリック教会
遠藤新
武庫川女子大学甲子園会館(旧甲子園ホテル)
坂倉準三
鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム(旧神奈川県立近代美術館)
前川國男
東京海上日動ビル
神奈川県立図書館・音楽堂
東京文化会館
村野藤吾
日生劇場
旧横浜市庁舎
丹下健三
東京カテドラル聖マリア大聖堂
国立代々木競技場
東京都庁
広島平和記念資料館
新宿パークタワー
黒川紀章
埼玉県立近代美術館
中銀カプセルタワービル
槇文彦
横浜市役所
東京体育館
安藤忠雄
国立国会図書館国際子ども図書館
こども本の森
隈研吾
国立競技場
妹島和世+西沢立衛/建築家ユニットSANNA
金沢21世紀美術館(SANNA)
すみだ北斎美術館(妹島和世単独)
日本の建築家のつながり
第3章.横浜市の建築
横浜市開港記念会館
横浜税関本庁舎
神奈川県庁本庁舎
横浜地方裁判所
横浜第2合同庁舎
旧横浜商工奨励館
横浜銀行協会
旧横浜銀行本店別館(元第一銀行横浜支店)
神奈川県立歴史博物館
横浜山手聖公会
カトリック山手教会
ホテルニューグランド
ベーリック・ホール
山手111番館
外交官の家
イギリス館
横浜みなとみらい21
ランドマークタワー
ドックガードガーデン
ランドマークプラザ
クイーンズスクェア
横浜インターナショナルスクール
関内ホール(横浜市民文化会館)
第4章.その他地域の印象深い建築
東京中央郵便局(JPタワー)
パレスサイド・ビルディング
立教大学池袋キャンパス
津田塾大学ハーツホン・ホール
早稲田大学大隈記念講堂
神戸女学院
八ヶ岳高原音楽堂
国立科学博物館日本館
鳩山一郎邸(鳩山会館)
山の上ホテル
旧朝吹山荘(睡鳩荘)
NTTドコモ代々木ビル
明治生命館
第一生命館
銀座和光
三井本館
京王プラザホテル
JR京都駅ビル
JR中央線旧国立駅舎
旧函館区公会堂
旧神戸居留地15番館
旧横浜正金銀行神戸店(神戸市立博物館)
旧神戸証券取引所(神戸朝日ビルディング)
大学セミナーハウス
APPENDIX.Ⅰ 古典主義建築の円柱のオーダー
APPENDIX.Ⅱ 参考文献およびパブリックドメイン画像の詳細
APPENDIX.Ⅲ 横浜市旧居留地付近、旧神戸居留地付近のマップ