【雑記】創作のヒントになりそうな思考実験
人間には、思弁が許されている。
人間は、経験によらない思考実験を行うことができてしまう。
実際にカントは、経験によって探ることのできない先験的なものの探究方法を、正に実験に擬えていた。
ところで、思弁・思考実験は、科学史的に理解するなら、理論の検証と正当化よりも理論の発見に関わるものである。
検証や正当化といった批判的作業は、あくまでも現物実験が担う立場にある。
そうであれば、思考実験の目的は、批判ではなく、むしろ創作のヒントに成り得る発見的作業であると言える。
【参考図書】
「思考実験 科学が生まれるとき」(ブルーバックス)榛葉豊(著)
「100の思考実験―あなたはどこまで考えられるか」ジュリアン・バジーニ(著)向井和美(訳)
【参考資料】
アリストテレス以来、思弁は、哲学の伝統的な思考様式であった。
ヘーゲルにおいて全盛期を迎えたが、彼の死を境に衰退し、それとは逆の思考様式である人間に直接関わる事象や物に依拠する思考が主流となった。
哲学の対象も実存思想や実証主義、現象学、科学哲学といった具体的で現実的なものへと変化した。