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[SUBARU アルシオーネSVX]について

バブル崩壊直後の1991年にスバルより販売開始された、4人乗り(2by2)のクーペ。

スバルのロゴである六連星の左端の星「アルキオネ」の名を冠した先代より、グランドツアラーをコンセプトとした後継として、コンポーネントから専用設計されフラッグシップとして開発された。

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クーペとして現在でも類を見ない流麗なデザインは、イタルデザインのジウジアーロが手掛けている。数あるデザインスケッチから最も空力特性に優れた案が選出され、開発中に何度も細部のチェックに訪れるなどイタルデザイン側もかなり手をかけていたことが伺える。

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エクステリアの最大の特徴である全面3次元ラウンドキャノピー(フロント、サイド、リアが、ピラーでなくガラス面でつながり、(ドアを含む)ガラス面がルーフ面までラウンドしている)は、新製法を開発することで実現させている。フロントのラウンドに至っては、ワイパーの限界であった。

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内装は、外装よりはシンプルに纏められているが当時新開発であったアルカンターラがふんだんにつかわれており、質感は高い。配置も良く考えられており、グランドツアラーとして満足出来るできであった。

エンジンは、グランドツアラーらしく自然吸気の 3.3L 水平対向6気筒 EG33型が載せられている。駆動には新開発された「VTD-4WD」が採用されている。これは、前後の駆動トルク配分比を後輪寄りとし、連続的に可変制御することで4WDを実現している。基本時のトルク配分は、前輪35%、後輪65%であり、現在の「VTD-4WD」より、FRらしさを与えられていることが伺える。

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トランスミッションは4ATのみとなる。特性として、ATのみであることは理解できるが、個人的にはMTがあればよかったと思われる。(当時の販売に影響はしなかったと思うが…)

当時のフラッグシップとして販売されたが、販売台数は約6000台と決して売れたとはいえなかった。しかし、国内でスポーツやパフォーマンスではない正しい意味でのGT(グランドツアラー)カーである数少ない車種である。

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このクルマは、先ずデザインが素晴らしい。流線と面が見事に一体となっており、色気さえ漂うスタイリッシュな2ドアクーペである。特にルーフのラウンドは現在でも決して色褪せることはなく、クルマ全体としてどの角度から見ても美しい。EGやミッションなどの動力系も、キャラクターに見合ったゆとりある大人の仕上がりとなっている。(初期のATは、レオーネの流用である為トラブルに見舞われたらしいが…)

販売時期とバブル崩壊が重なった為に売れなかったといわれているが、一番の要因は、マーケットとなる日本や北米にGTカーの需要が少ないことだと思われる。このクルマの特性である、長い距離を快適に走り続けるキャラクターを生かせる機会は、日本にはあまりに少なく本来はヨーロッパでこそ生えるクルマだと思う。(最もヨーロッパ市場の場合は、内装とくにインパネ廻りに高級感の追加が必要だとは思うが…)

販売が思わしくなく一代限りでモデル抹消されてしまったが、何時までもグランドツアーとして走り続けていてほしいクルマである。

まさに、「500miles a day」である。

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ふゃりぃにゃ
観ていただけているだけでも大変嬉しいです。 もし、いただけたら恐縮しながらもとっても感動します。 今後とも覗いていただけましたら有難いです。