[AZIO] RETRO CLASSIC BT ( Artisan / 日本語配列) Keyboard
2009年にロサンゼルスで設立されたAZIOより展開されている、タイプライター風のメカニカルキーボード。
MacとWindowsの両デバイスに対応し、接続方法はBluetoothまたはUSBを選択できる。
変荷重の(専用?)のメカニカルキー軸が採用されており、MACへは専用のキートップが付属し、付け替えることで対応する。
US配列のキーボードであったが、クラウドファンディングにより、日本語配列対応が生産されることとなった。
■仕様
インターフェイス:Bluetooth + USB複合型
メカニカルスイッチタイプ:Typelit Switch / Tactile & Clicky
Nキーロールオーバー :6キーNKRO (USBモード)
ストローク:変荷重(50±10gf/荷重40-85gf)
バックライト:あり(明るさ調整可能)
対応OS:Windows & Mac
電池:5000mAh(リチウムイオン) 再充電:USB Type-C
寸法:147×455×40mm
重量:2722g
外観には高級素材がふんだんに用いられている。
枠は亜鉛合金フレームで縁取られおり、筐体天面には本革が貼られている。本革以外にも、同シリーズでは天然クルミ材の一枚板を選択することができる。
各キートップは、タイプライターを模した丸型のプラ製が採用されており、縁はメッキされた別パーツで構成されている。正円のキーは、中央が少し窪んだ形状となっている。
メカニカルスイッチには、オリジナルが採用されておりタイプライターの雰囲気を出すため、カチッとした打鍵感が用いられている。一般的な青軸よりは、クリック感が小さめで音は静かとなっている。
キーソケットは独立した設計となり、手でも引き抜くことが出来る。このことにより、メンテナンスや差し替えが容易に出来るようになっている。
内部には、中央にLEDバックライトが組み込まれているので、発光させることができる。常時発光や使用(打鍵)時のみ発光なども選択でき、照度も調整できる。
変荷重:50±10gf(荷重40-85gf)
プレトラベル:1.6±0.5mm
キーストローク:3.6±0.3mm
動作寿命:50,000,000サイクル
インターフェイスは、Bluetoothと有線(USB)に対応している。有線接続時に限り、Nキーロールオーバー(6つのキーを同時押しして、すべて認識させることができる)に対応している。
有線接続時に充電を行う仕様となっている。
OSは、MACとWindowの両対応に対応しており、MAC時には付属しているMAC用のキートップに差し替えてモードSWをMACに指定することで容易にに変更することが出来るようになっている。
重量はバッテリー搭載であることもあり、とんでもない重さであるので、持ち運びには圧倒的に不向きである。しかし、不用意にキーボードがずれるようなことは先ずない。
バッテリーはバックライト不使用時で約1年、使用時(つきっぱなし)の照度により約1~3か月となっている。
ホットキーには、バックライトの調整以外にも一般的な機能は割り当ててある。しかし前途したように、記号の一部(一般的な日本語配列の右端(BSやEnterの左横)の記号キー)がホットキー(INS・DEL)として割り当てられている為、タイピングのし易さが考慮されているは言えない。これはUSを日本語に対応させるために仕方ない仕様なのだろうか。
定価約4万円で販売されていたこの製品は、タイプライター風の外観や各部品の質感は高く、Bluetooth・USB(Type-C)切替/WIN・MAC両対応であるなど機能は充実している。
しかし、タイピングとしての機能が高いとは言い難い造りとなっている。
独特なキー形状(フラットな丸形である為、垂直に押さないと隣に引っかかる ≒ キー間が詰まっている)ことに加え、ストロークが深い(感覚では半分以上押下するイメージ)ので使いこなすのには慣れが必要になる。
日本語キー配置であるが、アンダーバーなどのある程度使う記号がホットキー([FN]キーと[Shift]を押しながら他のキーを押す)となっているうえに、スペースの横にある[FN]キーと[Shift]と[DEL]キーなどを押す必要があるが、キーの位置的に片手では押し辛い配置となっている。
バッテリーを搭載していることもあり、底面の厚みがあり、キーの位置が高い為、手を着きながら打鍵することには苦労することになるだろう。ハードに使うなら、パームレストは必要不可欠ではないだろうか。
コーディングや文章書きなどのハードに入力する場合や、普段の仕事で日常的に使う場合、このキーボードが値段に見合うとは決して言い難い。
タイピングとしての機能が高いとは言い難いこのキーボードであるが、パソコン周辺機器をインテリアの一部として考えた場合、唯一無二の価値を持つ。
本革や亜鉛合金フレームには、敢てコーティングがされていない耐腐食性のない仕様となっている。これは、使い続けることで風味が出るようなコンセプトとなっているからである。またキースイッチは、赤軸以上青軸未満のクリック感となっているが、これはタイプライターの雰囲気を再現する為としており、実際のクリック感が悪いわけではない。
ヴィンテージのタイプライターを連想させるために、触感的でカチッとするように調整されており、打鍵時のタイプライター音が演出されている。
全体に高価な素材を用いて、長く使用されることを想定しているこのキーボードは、まさに高性能ではない高級キーボードに相応しい仕上がりとなっているのではないだろうか。
一見しただけで、誰の目からも高価だと解るこのキーボードは、キーボードにキーボード以外の価値を求めている場合に、最も効果を発揮する商品となっている。現在では、日本語フルキーボードのBT対応版はカタログ落ちしているが、このメーカーの他のキーボードでも同じようなコンセプトでデザインされているので、他者と違うキーボードを求めている場合や、トータルなインテリア・高級な雰囲気を求めているなら選択肢に入れて見てもよいのではないだろうか。
見た目と価格が納得できる価値観の場合にのみ、おススメする商品です。