[RADSONE] ear studio ES100 MK2
韓国のオーディオメーカーである、RADSONEより2018年から展開されているワイヤレスヘッドフォンアンプ。Radsoneは、[Radical Sound]の略。2019年のファームウェア v2.0以降より、Bluetooth5.0、LDACに対応している。PC等とUSB接続することで、USB-DACとしても動作する。
ワイヤレスヘッドフォンアンプは、有線のイヤフォン・ヘッドフォンと接続し、再生機器との間でBluetooth接続することで、有線のイヤフォン・ヘッドフォンを無線化するヘッドフォンアンプである。
■仕様
出力Lv:1.1 Vp(3PIN) / 2.2 Vp(4PIN) (0.5-1Ω:8-600Ω機器まで対応)
対応コーデック: (LDAC) / aptX / aptX HD / AAC / SBC
伝送帯域: 20~40,000Hz(96kHzサンプリング時)
20~20,000Hz(44.1kHzサンプリング時)サンプリング周波数: 44.1kHz / 48kHz / (88.2kHz) / (96kHz) /
(176.4kHz) / (192kHz)対応ビット数: 24bit
通信方式:Bluetooth標準規格Ver.5.0準拠 / USB(USB DAC対応)
出力端子:φ3.5mmステレオミニジャック(シングルエンド)
φ2.5mm4PINミニジャック(バランス端子)充電コネクタ形状:Micro USB Type-B
重量:約20g
連続使用時間:最大約14時間 / 最大約12時間
有線のヘッドフォンやイヤホンを接続することで、Bluetooth通信により無線化する為の無線ヘッドフォンアンプ。3.5mmのステレオミニ接続の他に、2.5mm 4極のバランス端子を備えている。
外観は小型で背面にクリップを備えているので、服などに挟みことが出来る。重量も約20gと軽量で、所持しているを意識することはすくない。
各操作は、左右側面の各物理ボタン又はアプリを用いて行う。サイズは小さく軽いながらも、物理ボタンの操作性は悪くなく、目視していない状況でも認識・操作することが出来る。
AMPの構造として、Hi-Fi DCT部にQualcomm社製[CSR 8675]、DAC / アンプ部に旭化成社製[AK4375a] × 2を用いており、AK4375a DACを左/右チャンネルにそれぞれ分離して構成することで解像度や臨場感などを高めている。
2.5mm バランス接続を行った際は、左/右チャンネル別々のDACで出力されるのが特徴である。
デジタル音源のノイズ低減、ジッター除去にRADSONE独自技術「DTC(Distinctive Clear Technology)」を採用している。
Hi-Fi DACとアンプは独立した駆動となり、2.5mmフルバランス出力に対応する。3.5mm/2.5mmの同時出力はおこなえない。
この製品の最大の特徴は、操作アプリの利便性にある。
『HOME』タブでは、バッテリ-残量や入力・出力サンプリングなどの情報のほかに音量の調整が行える。『SOURCE VOLUME』はデバイス機器(iPhone)側の音量で、『ANALOG VOLUME』は当該機器のAMPの出力音量が調整出来る。
『ANALOG VOLUME』では、左右AMPの出力を個別で調整することもできる。
『EQUALIZER』タブでは、各周波数帯域の調整が行える。
『SOUND CONTROL』タブでは、ES100の各機能の調整が行える。
[DCT LEVEL]では、DCT機能の強弱が調整できる。DCTは、デジタル信号を解析して、演算時の副作用成分をディザ処理を用いて除去すいる技術である。副作用成分によるギザギサな波形に対して、音を足す・丸めることで平準化された綺麗なアナログ波形に近いデジタル信号を生成している。元々は、DCT機能のアプリ単体でリリースされていたものが、当該アプリにも実装されている。
[CROSSFEED]では、CROSSFEED機能の強弱が調整できる。有効にした場合、左右チャンネルの信号を相互にミックスさせることで、定位の感覚を調整し、擬似的な立体感を生成している。
[AK4735a DAC DIGITAL FILTER]は、アンプの音色を選択できる。旭化成エレクトロニクスのDACアンプに設定されているフィルターから、下記の4種類が選択できるようになっている。
[Sharp Roll-off]の場合、輪郭がハッキリした軽快で繊細な音色であり、複雑な曲やペースの速い音楽に適している。
[Slow Roll-off]の場合、余韻(残響)を残す音色となっており、音場は比較的後方になるので、艶のある曲などに適している。
[Short delay sharp roll-off]の場合、高音がまろやかで、倍音や低音が中心となる音色でスローな曲などに適している。
[Short delay slow roll-off]の場合、音場が比較的前方になり各音がクリアな音色となり、原音に忠実でクラシック音楽などに適してる。
[AK4735a DAC OVER SAMPLING RATE]では、DACのオーバーサンプリング倍率を調整できる。AACの44.1khzを4倍にした場合、176.4khzにアップサンプリングすることができる。
『AMBIENT SOUND』タブでは、外音取込に関する調整が行える。
外音と再生音楽の混合率やマイクの感度が調整できる。
外観に金属などを取り入れていないこの機器は、見た目上で高級感があるとはいえない。しかし機能面では、アプリの機能を踏まえとても豊富なカスタマイズができる。小型で軽量ながら、出力アンプを2チップ備え、2.5mmのバランス接続にも対応している。ランクが上の機種にあるような機能は一通りそなえており、アップサンプリングやイコライザなどで音色を調整できるので、音質に不満が出ることは少ないだろう。アナログAMPによる音量調整もでき、音量も十分に確保することができる。特にこの価格帯で、2.5mm4極フルバランス接続を考えた場合、一考に値するのではないだろうか。アンバランス接続で使用する場合でも、この価格帯でここまでカスタマイズできるポータブルアンプは少ないのではないだろうか。
PCとUSB接続した場合は、USB-DAC AMPとして動作させることもでる。
当該製品は、原音再生に特化している製品ではない。しかし、自分好みに設定した音を気軽に聴くのにはとても優れている機器であり、Bluetoothレシーバーとしての役割としてはとても優れているのではないだろうか。
普段使いに大変便利な、コストパフォーマンスにとても優れた機器ではないだろうか。