#15 共通テスト英語2024 教員が解いてみた [結果&解説]
結果
さて、2024年1月に行われた共通テスト、早速解いてみました。
97/100 点
1問ミスです。お恥ずかしい。[ 38 ] を間違えてしまいました。なぜ間違ってしまったのかは下に記していこうと思います。設問番号の横にマークがついている箇所は、迷った問題です。消去できずに戸惑ったものや、本文内容を忘れて振り返った読み直した問題になります。
高得点ですが……受験生のプレッシャーと比べたら非なるものなので……。私も極限の緊張感では点数が下がりそうです……。
さて、振り返っていきたいと思います。
ちなみに、本記事をリツイートしていただければ「共通テストの重要単語集(pdf)」をダウンロードできるようにしておきます。無料なので、ぜひ。
第一問
A チラシ読み取り問題
最初から文字数が多いですね。とってつけたようなダンサーの画像が面白かったです。"facial expressions"が選択肢で"gesture"に置き換えられていました。パラフレーズはよくあることなので、慣れてくると、惑わせるものではなく、確信を与えてくれるものになります。
B チラシ読み取り問題
[ 5 ]で"the newest place"「最新の建物」を聞いてきますが、こういう時系列の問題は苦手です。"in the mid-1800s"や"early-20th-centry"、"World War Ⅱ"、"several years ago"などいろいろな時間情報を与えて、最終的に"last fall"が正解の根拠でしたね。
ちなみに右下のJanuary,2024まで読みました。細かい情報が正解の根拠になるので抜け目がありません。また、しっかり設問を先読みして解いたので年月には印をつけていました。"last fall"はつけ忘れていましたが……危ない……。
第二問
A チラシ読み取り問題
distraction「気晴らし、注意散漫」
regardless of A「Aにもかかわらず」
similarity「類似性」
部活動勧誘のためのチラシ。ボードゲーム部ですね。チェスと、将棋に並んで、"go"とはどういうボードゲーム? と思いましたが、中国のボードゲームらしいです。
雑多な情報が多いので、消去法で攻めています。消去したらもう振り返りません。時間節約です。
あと"opinion"と"fact"の問題が入ってきますね。これは比較的パターンが決まっていて、例えば"opinion"は主観なので助動詞や形容詞が含まれやすい、"fact"は事実なので使われない、みたいな特徴があります。この手の問題、もっと増やして欲しいです。
B レビュー読み取り問題
insurance「保険」
expense「費用」
be authorized「認可される」
3つのプランに共通していること、共通していないこと、レビュー者の意見など、よくあるパターンが聞かれていました。
癖で価格や割引の情報が出てくるとマークをつけてしまいますね……。今回は意味がなかったですが。
第三問
A ブログ読み取り問題
rally「ラリー」
"rally"を"really"と読み間違えて、戸惑いました。すぐに気付けて良かったです。答え合わせの際に気づいたのですが、右上の箇条書きされているルールをすっかり読まずに解いていました。正解していて良かったです。
二問しかないのでさっさと次に行きます
B 学校新聞読み取り問題
virtual「仮想の」
volcanic「火山の」
learnt「学んだ(イギリス英語)」
diversity「多様性」
constellation「星座」
出来事の並び替えは比較的簡単ですが、段落ごとのテーマをしっかりと読み取る必要があります。これは訓練が必要ですね。
3段落目に、"Mr Leach told us human activity was affecting the ocean and it could be totally ruined if we didn't act now."「10前よりも自然環境が変わってしまったことに気付いた、人間活動が大きな悪影響を与えている」という文は好印象でした。まさにSDGs関連ですね。
ただ、最後のパラグラフで地元で「雲のないダイナミックな空」を見るわけですが、ここは偶然の奇跡のような印象を得たので少しだけ悲しくなりました。実際、"the Milky Way"「天の川」のように見えたという選択肢に繋がるので、とても綺麗だったんでしょうね。
「ふとした何気ない空でも本当は素晴らしいことなんだ」というメッセージの方が大切なのではないかと思います。
第四問
◯クラス経営についての記事読み取り問題
"What Makes a Good Classroom?"
「何が良いクラスを作る?」
実際に教職科目を開講している大学では「学級経営論」などの授業名で、「いかに良いクラス環境を作るか」ということを学びます。もちろん英語科教員である私は、内容がスッと入ってきたのですが、生徒たちはどうだったのでしょうか。なかなか考えたことのない視点だったのではないかと思います。
以前は、教員と生徒の距離がはっきりしていて、つまり関係を持つ上で境界線が引かれていたので、教員の裏事情は知り得ないことが多かったと思いますが、現代は教員と生徒の距離が近くなっていると思うので、なんとなく知っている……という人もいたかもしれません。
あと文章だけでなく、アンケート結果が挿入されていますね。その分、文章量を落としても良かったのでは……と思いましたが……。
良い学級運営をするためには、以下の三つに分かれています。この三つの共通点と、それぞれの特徴を抑える必要があります。
・Stimulation「刺激」
color「色」
complexity「複雑性」
教室は無機質でもカラフル過ぎてもいけません。そして壁面積の20-30%は何もない状態を作らないといけません。
・Individualization「個別化」
ownership「所有」
flexibility「柔軟性」
机や椅子が個別最適化されているか、様々な生徒の活動が負荷なく認められているか、といったことを考えないといけません。
・Naturalness「自然らしさ」
quality and quantity of light「光の質と量」
人工的な光と自然な光がバランスをとり、適切な気温に調整されているか、を考えないといけません。
これらの頭文字を取って"SIN"と呼んでいます。
そしてまとめると、"SIN"とは"A model to follow when planning classroom environments"「クラス環境を計画する際の従うべきモデル」という回答につながります。
後半は英語クラブのアンケート結果について
英語クラブなのに、めっちゃ寝るやん、めっちゃ日本語喋るやん、と思いましたが、実際ほとんどの学校がこの現状だと思います。とりあえずで英語クラブ……という人も多いと思うので。
「SINの説明+アンケート結果」なので文章量がありますが、内容と設問自体は難しいものではありません。趣旨を捉え、データを分析し、コメントを読み通すことができれば、間違えることはないでしょう。要は速読。時間との戦いです。
ちなみにアンケート結果の右上"Number of club members"と右下の"Respondents"もしっかり読んでいますよ。ストレスですが。
第五問
◯ショートストーリー読解問題
Miki's Kitchen
「ミキのキッチン」
as「〜すると同時に(同時のイメージ)」
not only - but also-「〜だけでなく〜も」
reunion「再開、親睦」
inseparable「切り離せない」
enroll「登録する」
quit「やめる」
resist -ing「抵抗する」
no one「誰も〜ない」
so 形 that S' V'「とても形なのでS'V'だ」
vice-president「副社長」
be absorbed in「夢中になる」
too 形 to do「形すぎて〜できない」
glancing「チラリと見ること」
guilt「罪」
make fun of「からかう」
irony「皮肉」
「ミキのキッチン」というタイトルの問題でした。
問1の時系列の並び替え、難しかったですね。登場人物がMikiとKusumiとTakuyaの三人いるので、これもややこしい。ストーリーなので視点が変わりますし……。特に今の話と過去の話がごちゃ混ぜになっているので……。選択肢に「卒8年」とかメモを取っていったので間違いはしませんでしたが、探偵ごっこをやらされているような、嫌な問題でした。
おおよその年代を考えさせたり、"coffee bean roaster"を"equipment"だと言い換えたり、"irony"「皮肉」という抽象的なものを取り上げたりしているので、いやらしいですね。
約20年間の出来事が時を前後し、場面も頻繁に切り替わりながら話が進められていて、情報を整理しながら読み進める必要があった。
間違えた問題
In the final scene, Kusami uses the word "irony" with Maki. The irony is that Maki does not [ 38 ].
唯一間違えた問題がここです。"the irony"が何を意味しているか問う問題ですが、案の定、太文字の"not"を見逃して④ want to pursue her dreams を選んでしまいました。普段から見逃すなと言っているのですが、お恥ずかしい限りです。
否定語は見逃すと大変なことなので注意を払っているつもりなのですが、やはり時間に迫られている以上、焦りが低レベルなミスを生んでしまいます。
修学旅行のお土産や普段の買い物でも、時間に迫られていると家に帰って「なんでこれ買ったんだっけ」っていうものがよくあります。落ち着いていたら絶対に選ぶことなんてないものを、その場では買ってしまう……人間は不可思議ですね。
いやはや、気をつけます。
第六問
A 論文調記事を読み解く問題
Perception of Time
「体感時間」
biological mechanism「生物学的メカニズム」
afterwards「その後」
based on「〜に基づいて」
retrieve「取得する」
boredom「退屈」
creep「寄る」
This is not always the case.「これはいつも当てはまるわけではない。※not alwaysが部分否定」
accelerate「加速する」
mature「成熟する」
人間には"clock time"「目にみえる時計の時間」と"psychological time"「心理的時間」があるとのことで、主に後者に焦点を当てていました。
retrospective timing「回顧的計時」
簡単に言えばある作業の経過時間が、心理的な状態によって変わるということですね。記憶を呼び起こして計測するので複雑なことをしていると長く感じますし、単調なことをしていると短く感じます。つまり、刺激が多ければ多いほど、時間が長く感じられます。これは過去に焦点を当てた時間感覚ですね。
→今日働いた時間はどれくらい? と振り返った時に感じる時間感覚です。
prospective timing「展望的計時」
やりがいのある課題に向かっている時には時間が短く感じられ、暇なときは時間が長く感じるという、将来の時間経過に焦点を置いた時間感覚ですね。
→これからどこまでジョギングで行こうかな、と考えた時の時間感覚です。
そして感情の起伏で体感時間が変わるとも書かれていました。恐怖の時は時間が長いけれど、楽しい時は時間が経つのが早いですね……。これはそこまで専門的な英単語が登場しますが、そこまで難しくなかったかなと思います。設問[ 41 ]も"major"と"minor"のおかげで二択まで絞れますし。
ただし、[ 42 ]と[ 43 ]は本文中で述べられている概念に当てはまる具体例を選ぶという新傾向の問題でした。
B 科学系ウェブサイトの読み取り問題
Chili Peppers: The Spice of Life
「人生にスパイスを」
some people 〜, others 〜.「〜する人もいれば、〜する人もいる」
sensation「感覚」
the bite we feel
「私たちが感じる歯応え(名詞+名詞+名詞→関係代名省略)」
capsaicin「カプサイシン」
be derived from「由来する」
compound「化合物」
receptor「受容体」
tolerate「耐える」
tolerance「耐性」
density「密度」
vaporize「蒸発する」
exposure「暴露」
microorganism「微生物」
multiply「かける」
property「財産」
ghost pepper「ブート・ジョロキア」
pay attention to「注意を払う」
be scared of「恐れる」
get used to -ing「〜することに慣れている」
endure「耐える」
唐辛子を始めとしたスパイスに含まれる"capsaicin(カプサイシン)"が辛さを舌に生じさせるとき、感覚神経にあるTRPV1(トリップ・ブイワンと言うらしいです)が活性化すると書かれていました。
わさびは根っこであってペッパーではないと言われていましたが、その違いが外国人の味覚をびっくりさせているのですかね……。分かりませんが……。
対策と傾向
①長期的な視点で対策を
全体の語彙数が6300語があるので、確実に「読むスキル」が問われています。それも正確に、迅速に。対応するためには、毎日400語程度の長文を読んでいくことがベストです。
②タイムマネジメント
長文を読む際は、制限時間を設けて読みましょう。だらだら読むと速読スキルが身につかないので。
③語彙力のみならず、文法にも注意を
文法を理解しておくことは、客観的に読む力につながります。参考書の各章をあらかた口頭で説明できるようにしておきましょう。例外は除いて構いません。
重要単語集
以下、ダウンロードができます。何かこうして欲しいなどの要望があれば、コメントしていただければ幸いです。
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