人新世[じんしんせい] (英単語一つで人生の本質が学べる! 88)
Today's English
anthropocene 「人新世 (アントロポセン)」
Holocene 「 完新世 (ホロセン)」
influence 「影響」
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今回は、哲学用語を説明したいと思う。「アントロポセン」とは、オランダの大気科学者パウル・ヨーゼフ・クルッツェンが作り出した言葉である。オゾンホールの研究に尽力している彼は、ノーベル化学賞を受賞しており、人類の歴史という壮大な視点から物事を見ている。彼の宇宙的な視点からすれば、人類の将来はどのようになっているのだろうか。
さて、まず初めに「ホセロン」から説明していきたいと思う。46億年にも及ぶ地球の歴史のうち、最終氷期後から現在の温暖な気候までの時代区分を「完新世(ホロセン)」と呼ぶ。このホロセンはどのような時代区分を意味しているのかというと、「地球と人類の関係性」を表している。下記の図のように、従来は地球のシステムが人類に深く影響を与えていたのである。
今までは、地球の気候変動・地殻変動に人類の動きが影響され地球主体の生活であった。日本の四季に照らし合わせれば、春に田植えを行い、夏から秋にかけて米を収穫するものだった。そして冬は作物を収穫しにくいため、基本的に貯蓄して冬を凌ぐことが多かった。人類は地球の状況に大きく左右されていたのである。
しかしながら、クルッツェンに言わせれば、現代は「地球と人類の関係性」が真逆になっているという。人類の科学的技術の急進的成長や資本主義に利便性を求める人類の傲慢さは、地球に深刻なダメージを与え始め、今や人類は地球の運命を左右するほどの巨大な力を持っているというのだ。
今や四季に関係なく我々は衣食住を堪能でき、暑ければクーラーがあり、寒ければ炬燵がある。しかしながら、その裏では多大な電力の使用や二酸化炭素の排出により、地球に影響を及ぼしているのはいうまでもない。
つまり、地球に及ぼす影響があまりにも巨大なものになりすぎて、人類が地球のあり方の将来を握ってしまっているのだ。思い起こせば最近は環境問題の話を多く聞くだろう。二酸化炭素の膨大な排出、生態系を破壊するほどの森林伐採、海を削る埋め立て、動植物の生きる場所を奪う都市開発、核実験、その全ては地球のシステムに著しい傷をつけてしまっている。
クルッツェンによると、この問題は従来の発想では解決することができないとされる。地球は人類の手によってあまりにも姿を変えられてしまったが故に、もう従来の地球には戻すことができないレベルにまで到達してしまっているのだ。もう地球は堕ちてしまい病んでしまっているのだ。
こうなってしまった以上、人類はこれからどのように長く存続していくのかということを考えなければならないのかもしれない。しかしこれは実に人間中心的な考え方でもある。地球の存続というよりも、人類の存続に重きを置いているからである。前回の記事のように我々は環境中心主義的な考え方をしなければならないが、もはやそれをする余裕がないのである。負の連鎖である。
しかしそれでもなお、地球を主軸に生きていかなければならないと思う。最初から最後まで人類を主軸に置くのはあまりにも人間中心的であろう。今までの行いを悔い改め二度と同じ過ちを犯さないためにも、地球に寄り添った考え方をしていくべきなのだ。
地球滅亡を食い止めるために我々は何ができるのだろうか。しっかりと考え議論しなければならない。まずはぜひ身近な人と共有してほしい。この議題に関しては思うところが多くあるのでどこかで記事にしたい。
ちなみに、この「アントロポセン」は新海誠の最新作『天気の子』(2019)にも登場している。この「アントロポセン」という概念は、世間にはまだ浸透している言葉ではないが、新海誠はしっかり現代を反映させているので素晴らしいと思う。環境という視点でもぜひ『天気の子』を見てほしい。
review
anthropocene 「人新世 (アントロポセン)」
Holocene 「 完新世 (ホロセン)」
influence 「影響」
see you!
今回はなんと88回目の記事でした〜。早いですね〜。ほんとに、息を吸って吐いていれば人生が終わっちゃうような感覚です。実際問題、宇宙の歴史からすれば人類の歴史なんて一瞬でしょうね〜。個人の人生なんてもってのほかで、ごくごく短いのでしょう。でも生きている当人は長く感じてしまいますよね。なんででしょう。