#検察庁法改正案に抗議します の中身の理解と意見について

もう、論点がぐちゃぐちゃなので、整理して検討してみます。

①黒川さん定年延長

 東京高検黒川さんの定年延長について、現行の検察庁法には規定がありません。黒川さんについては、IR案件やゴーン案件に関与しており、事務方から(未確認)半年の定年延長の申し出があったようです。法務大臣の決裁(口頭)、内閣法制局、人事院との打ち合わせ・了承を経て、閣議決定されました。須田慎一郎さんによると、議事録など文書もあるようです。

 ただし、規定が無いのに現行の国家公務員法の定年延長規定の法解釈を変更して延長しており、こちらは批判の対象となると思います。1980年に議員の質問に対し内閣法制局が提出した想定問答集では、検察官は適用除外となっていたようです。

 また、例えば朝日新聞が書くような、黒川さんが政権寄りの悪人であること、現在の稲田さん・対立候補の林さんが正義の味方であること、については、賛否が入り混じっていますが、発言者の裏情報みたいな説ばっかりで、私には判断できません。誰か客観的で信用に足る情報をください。意見は論拠と共に教えてくださいね。

また、通例では現職の稲田検事総長が2年で辞任する筈で、辞任時に黒川さんを検事総長に指名する筈、という陰謀論が非難されています。

 私の調べた範囲では、検事総長は検察側から推薦があり、内閣が追認し、天皇が任命するとのこと。内閣が今回から急に強権で黒川さんを指名することはないと思います。(候補は数名らしく黒川さんが検察側から推薦されることも十分あります)

 過去の5/7以前の批判ツイートを読みましたが、黒川さんの定年延長があり、同時に検察庁法改定法案が審議入りした為、両者をごっちゃに批判されてますが、以下の点で改定案は独立して批判すべきです。

 ・施行は令和4年4月1日であり、延長しても黒川さんは退任後。なお安部首相も政権担当ではないはず。ウルトラCで4選あれば別。

しかも、ほんとうに内閣が黒川さんを推すのを検察が拒否するなら、稲田さんが定年まで辞任しないという手もあります。半年の延長を繰り返したら、ほれみたことか、とそしりを受けるでしょう。人事院も許さないんじゃない?たぶん無いなあ。稲田さんが辞任する予定の人生だったらいい迷惑ですが。

②改正案の内容自体

検察庁法改正案に抗議します、といいますが、何に反対しているのか、ほとんどのツイートはその効果?に反対しているだけで、具体的な反対は目に付きません。私の理解を書きます。

(a)本改正は、公務員全体の定年延長にかんする国家公務員法の改正に伴うものであり、検察庁法の改正もその文脈で議論されるべき。

定年延長については、平均寿命がどんどん延びてきており、主に年金受給に関し、働ける方は働いてもらうことで、本人の人生を楽しんでもらい、収入に伴う税金や社会保険料の納付により社会に貢献してもらい、年金を納付することで年金生活時の収入を増やす選択肢を与えるものです。また、実際に財源の問題から65歳の年金支給となっており、国家公務員にも収入の空白期間をなくすためでもあります。

この国家公務員法の改正(定年を段階的に65歳にする)に反対のかた、いますかね?(過去ツイートには公務員はダメみたいな馬鹿な主張が)

(b)問題となるのは、検察法改正案の中に、役職定年が定められたこと。

元々は、検事総長が65歳で、検事長含め検察官が63歳です。 国家公務員は60歳が定年で、勤務延長規定があります。

検察庁法改正案の改正内容については、以下の表を引用します。(出典 note 徐東輝(とんふぃ)様 「いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか」(2020/5/15時点)

画像1

で、これのうち、役職定年の設定についてはどこが問題なんでしょ?もともと検察官は63歳定年で、2年延長です。検事総長は変わりません。

むしろ元の差と同じにするなら、検事総長は67歳、次長検事と検事長は65歳みたいになってもおかしくありません。でも止めたんでしょう。

(c)いやいや、例外措置の役職定年の延長が問題なんです!

ってことなんですかね?人事院ならよくて、内閣はダメ?

民間では、例えばウチの会社の認定マネージャー資格制度では、任期が2年ですが、プロジェクトが続いている期間は延長となりました。延長しちゃだめ?野党は修正案で延長しちゃダメ、という案を対案で提出したようです。

内閣が延長を決めると定めると、恣意的な選択が可能となり、人事権の侵害とか。。三権分立の破壊とか。。。

もともと、検事総長は行政機関であり、内閣が指名しますよね。ただし、現在まで検察から推薦されて内閣が追認し、天皇が任命する運用となっているようです。(伝聞) そっちは問題ないですか?

また、延長は認めていて、内閣の指名を反対するとすると、誰が延長の決定をやるんです?

(5/17追記) 憲法に、検察官のうち、認証官(現在8名)については、憲法7条の5項目に天皇は認証すること、となっていて天皇の国事行為だそう。で憲法3条に内閣の助言と承認が必要で責任は内閣が負うとのこと。という訳で、反対があるとしたら、内閣がではなく、延長規定の必要が無い、というところだけですね。私は必要があると思います。

③何故、コロナ禍の中、国家公務員法の改正案を議論するの?

国会の立法議案は以下の通り膨大な数の法案が審議対象です。http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/menu.htm

年間スケジュールは、1月中旬から150日(約3か月)通常国会。8~9月から臨時国会60日(約2か月程度)。

これだけの膨大な量の法案を審議するのですが、今通常国会でやるなっていうの?他の法案は?(5/17追記)須田慎一郎さんは臨時国会にしたら?とのこと

国家公務員の定年延長については、2008年(平成20年)成立の、国家公務員制度改革基本法の中に65歳までの定年延長が定められている。

その後、2011年、2018年8月の2回にわたり、人事院から政府への意見申出が行われた。ここで検事の定年については検察庁法の改正を行う必要性が認められ内閣府は法務省に省内で意見をまとめるよう依頼。審議の状況をみて内閣は2019年12月に翌年に議案を提出することが決まった。2020年1月16日に検察官の定年延長について法務省で決定。内閣法制局、人事院との審議で了承された。そして1月20日内閣は衆議院付託を行った。

こんだけ順を追ってるのに、野党とかワイドショーとか一部の弁護士とかが、「急に」「不要不急の審議」「火事場泥棒」「黒川さん検事総長のため」「黒川さんの後付け理由のため」とかの印象を国民に与えています。

そもそも安倍内閣は、他の法案に優先して審議する意図って何?なんか得するの?他の沢山の法案と同様に150日のうち、野党の意味のない批判のための批判を繰り返し、コロナ関連立法も通しながら、政権与党としての国会を運営し、野党とも協調して法案の審議を行っていると思います。

④この検察庁法の改正で三権分立がおびやかされる

そもそも三権分立って、私は高校で単純な図で習って以来全然理解できてません。。。。反省。以下、にわかに学んだこと。

モンテスキューの法の精神で「三権分立」が必要とされた、理解してましたが、間違いでした。法の精神では、ロックによる王権力の分割を踏まえ、権力は出来る限り集中させず、分割するほうが良い、というものだった。

その実装例としての3権分立で、「三権分立を守れ」というのは手段が目的となっているとのこと。

また、三権分立の実装例として、①大統領制の三権分立 ②議院内閣制の三権分立がある。議院内閣制の日本の三権分立は、モデルの三権分立と違い、立法府の国会議員が行政府の大臣となる。実際に行政を行うのは官僚。最高裁判所の裁判官も内閣が指名しているし。内閣は議会を解散できるし。そもそもアメリカ大統領制の三権分立とは異なる。

検察が司法の下にあった日本が、行政府の下に組み込まれるにあたり、いろいろ仕組みを作り権力の分立を目指しているのはわかる。その一つの仕組みでしかも細かい権利として、検察官の定年の延長が行政府である内閣が指名して何が悪いの?

悪いとしたら、この日本の議院内閣制の三権分立の検察の位置づけからして、誰が検察官の定年の延長を決める仕組みがいいの?

この改正法案が三権分立を脅かす、なんて意味のない発言で、デュープスを煽動するためのフェイクニュースと思います。

・・・

全然まとまらない。。。

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