手描きバティックの工程について
ここではチレボンでの手描きバティック製作を例に説明します。
まず最初にketelと呼ばれる下処理の工程です。白生地を裁断しピーナッツオイルとソーダ灰で練ります。練って洗っては干しという工程を一週間続けます。ketelの目的はcantingでの蝋描きをしやすくすることと、布に染料が入りやすくするためです。
次はgambarと呼ばれるバティックの文様をデザインする工程です。いわゆる下絵を作画です。こちらは専門の職人が当たります。工房内に下絵の職人さんがいる場合もあるし、外の人に頼む場合もあります。
下絵が既にある場合、もしくは下絵が仕上がったら、上から布を置いて下絵の線を鉛筆で布に写していきます。この工程をmetoと呼びます。これで蝋描きをする準備が出来ました。
さて、蝋描きですが、まずイセン職人と呼ばれる人たちが模様のなかの細かい線と点を、口の部分が細いcantingで描いていきます。現在は片面描きが多くなりましたが裏側からも描く場合もあります。
isenの後はtembokと呼ばれる職人が布地のなかで白く残す部分を蝋で伏せていきます。染料が入らないようにcantingを使って蝋でブロックするのです。
tembokの作業が終了したら次は染めの工程です。バティックの染の多くは浸染です。浅い風呂おけのようなものに布全体を付けて染めます。(色挿し技法もありますが追って説明します)。
青の濃淡なような配色は、まず水色に染めてから乾かし、水色に残す場所を蝋で伏せ、やや濃い青に染め、また伏せて、最後に濃紺に染めます。これで青系の配色が染め上がりました。
染め上がった布地をドラム缶に熱湯を沸かし、ソーダ灰を加えて脱蝋していきます。染料が入る部分をブロックしていた茶色い蝋が除去され白い線と白い面が現れます。
これで1枚のバティックが出来上がりました。