友人の家族仲が気になる
それで少し友達を線引きしているところがあるかもしれないと、今さっき気づいてしまいました。その人の家族がうまくいっているかどうか、どうしても気になる。
私の家族は、どうだろう、うまくいっているかどうかを測る万人共通の物差しはないと思いますが、どちらかといえばうまくいかなかった例かと思います。夫婦喧嘩は日常茶飯事、父と母はお互いの悪口を私に伝えてくるのです。ある時、離婚するという話を聞かされ、父の方が家を出て行きました。そこから、余裕がなくなるとヒステリックに当たり散らす母の全てを、私が受け止めることになりました。それまで父と私で分散されていたものが、私に。もうちょっとでハゲそう!というところで、就職を機に家を出ました。
ずっと一人になりたかったです。家族と離れて暮らしたい、という気持ちが、大学時代は特に早いスピードで膨れ上がりました。でも、周りにその気持ちを打ち明けても、まるで伝わらない。どうせすぐに実家に戻りたくなるよ、とか、寂しいよ、とか、そういう言葉ばかりが返ってきて、次第に人に話さなくなりました。今思えば、家族と離れると寂しくなる、というのが彼らの本当の本当の本音で、それを私に伝えたに過ぎないわけで、そうではない人種がいることなど、想像の外側だったのではないかと思うのです。家族のことって、一番誰かに吐き出したいのに、一番誰かと共有しにくい話題で、本当に困ります。兄弟がいないと特に、自分の家族という小さい世界を、自分以外の誰かに覗きに来て欲しくて、理解して欲しくて、たまらなくなります。
私の大学時代の友人のほとんどが、今実家で暮らしています。私の高校時代の友人のほとんどは、今一人暮らしをしています。そして、今連絡を密に取り合っているのはどれも高校時代の友人で、うーん、何か理由があるのかしらと考えてみたところ、先に話しました「家族仲」という項目が浮かび上がりました。大学時代の友人は、たまたまですが、どの人も家族と仲が良くて、両親が一緒に暮らしていて、もちろんそれぞれに事情はありますが、就職を機に家を出ようという判断をしなくても良かった程度には、家族仲が良い人たちなのです。一方で、高校時代の友人は、これもたまたまですが、各ご家庭さまざまに事情がおありで、もちろん家族仲が良い部分もあるのですが、進学や就職を機に家を出るという選択を進んでしてきた人たちなのです。
私が今、高校時代の友人たちと特に密に連絡を取り合っているのは、彼女たちなら今の自分の悩みを理解してくれるだろう、と心のどこかで思っているからなのかもしれません。家族にコンプレックスがある私は、家族仲が良い人と話が通じない、と思いたいのかもしれません。本当はそんなことなくても。勝手に決めつけて、連絡を怠って、本当にひどい人間だと思いますが、どうしても、無意識にその感覚がはたらいてしまうのです。わかってもらえない苦しみをもう味わいたくない、と思うたびに、人はこうやって関わる人の範囲を狭めていくのだなと、痛感しました。自然なことだけれど、寂しいことでもあると思います。でも、わかってもらえないかもしれない相手に、わかってもらえるように詳しく自分の悩みを説明するほど、社会人には気力も体力もない。なるたけ少ない言葉で、幼稚な表現で、荒ぶる感情をそのまま吐き出しても伝わる、もはやそういう相手としか話したくない。最近、相談相手を探すのが急に難しくなったのは、そういう気持ちからかなと思います。私はめんどくさい人間です。
平均身長や平均収入が算出できるなら、平均家族仲もどうにか目に見える形で出してほしいですね。誰しも、親に「産まなきゃ良かった」って言われたこと、あるよね?