岡本太郎と「夜の会」
川崎市の岡本太郎美術館で今、「岡本太郎と夜―透明な混沌」展が開かれている(2022年5月8日まで)。規模は小さいが見逃せない。
第二次大戦前夜、バタイユたちが結成した「社会学研究会」と秘密結社「アセファル」については、近年その実態がかなり明らかになりつつある。彼らは現代に「聖なるもの」を蘇らせるために、さまざまな宗教的実験などを行った。岡本太郎もその活動に参加していたのだ。
彼の代表作のひとつ「夜」(1948年制作)は、まさに「アセファル」がパリ郊外のサンジェルマンの森の奥、雷に打たれた巨木の下で実践した儀礼を描いたものである。
その活動が、戦後日本の文学、芸術運動の重要な源泉のひとつ「夜の会」の名前の由来となったのは、つくづく不思議な因縁であり、幸運である。岡本自身は生前、バタイユについてそれほど多くのことを語らなかったが、その影響は単に会の名前にとどまるものとは思えない。「夜の会」に集った作家たちの豪華な顔ぶれと、岡本の戦後の縦横無尽な活躍を見るなら、さらにその影響の内実を考えてみるべきだろう。
私自身の論考は別の場にゆずり、ここでは会場に掲げられていた「夜の会」の要を得た説明を書き写しておくことにする。
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