日記(新ドラクエ3、斉藤知事の広報についてのnoteがすごい)


日記

 寒すぎて風邪ひきました。一気に寒くなって世の中が年末ムードになるのを感じます。コミケに向けて楽しいアイマス同人誌を書いています。20ページくらいだけどめちゃくそ労力のかかる漫画を描きます。来年はゲームを完成させるつもりなので、思い残すことのないような力作にしたいと思っています。

ドラクエ3

 新しいドラクエ3リメイクをクリアしました。以前SFC版をクリアできなかったのですが、今回のリメイク版をやってみて、本当に感動した!ぶっ通しでプレイしてクリアしたあと、感慨ぶかさがとてもあった。
 では何がそんなに良かったの?といえば「これがドラクエ3だから」、という理由になってしまう。俺はドラクエ3をやっている…!ドラクエ3が進んでいく…!ドラクエ3をクリアする!それだけで感動しました。

 知らない人向けに説明するとドラクエ3とはマリオ以外でダントツで売れたファミコンソフトであり、日本におけるRPGのイメージの直接の根っこです。ドラクエシリーズ自体が日本におけるファンタジーのイメージを固定化させたともいわれますが、『葬送のフリーレン』などの勇者・戦士・僧侶・魔法使いの4人だけのパーティを実現できるドラクエって、実は3だけですからね。ドラクエ3は作品というよりある種の日本文化の始祖と言う感じがある。

 さて実際にやってみると、ストーリーはそれなりに面白いけど、現代的な目で見ればかなり薄味。世界のいろいろな街を旅していく楽しみはあって、今回のバージョンでは街ごとに個性豊かに表現されている。しかし個々の街で特殊なイベントが起こることはまれで、お使い的に各所のダンジョンをもぐっていくのが基本。
 要するにどう見てもファミコンのゲームでしかない(正確にはスーファミでリメイクされたバージョンの再リメイクと見るべきだが)。大量の3DCGと最新の丁寧なドット絵で彩って、プレイ時間も30時間かかるってのはリメイクの規模として壮大すぎる。
 でもさぁ!これがドラクエ3ってことじゃん!乏しいセリフとあっさりした演出から想像される壮大な物語…、これがJRPGというジャンルを決定づけた傑作なんだなあと思った。
 実際この感じ方は制作者の意図どおりだと思う。町のマップがオリジナル版とは比較にならないほどしっかり3Dで作りこまれているのだけど、町にある家の数やキャラの数はそんなに増えていないと思う。新キャラも少ない。すごく丁寧に作られた固有性のある家にいるNPCが「りりょくの杖はMPをつかうよ」くらいしか言わなかったりする。だから、あくまでかつて展開された物語の補間・調味料的な味付けとしてのみ行うという意図でアレンジされていて、それが良かった。

 ドラクエ3をやってドラクエ3だから面白かったなんて言うのは一種の権威主義かもしれませんが、私はドラクエシリーズだいたいクリアしていて、シリーズの中で最も参照・セルフオマージュされてきたドラクエ3に対する憧憬があった。なのでその印象が崩れない程度に現代的にアップデートされた本作を知れてとてもよかった。
 まあファミコン世代的にいろいろ文句のつけようはあると思いますが(新職業の魔物つかいが雑に強すぎるのはどうかと思う)俺は良かったよ。戦闘のテンポが良くなって、戦闘の難易度が低下して、移動が楽になったのは本当に良いアレンジだと思いました。つかそれでもプレイ時間30時間近くかかったので、これで「ヌルすぎる」とかいうおじ様は何百時間遊ぶ気でいるんだ…!?

斉藤さんのweb戦略についてのnoteすげえ

 パワハラ問題を起こし、そして内部告発者の犯人捜しをするなど常軌を逸した対応で不信任になった、斉藤元彦氏が出直し選で勝ってしまった兵庫県知事選。世の中ではネット選挙の勝利とも言われたり、もっと別な勝因があったとか、立花孝志による公選法違反疑惑とかいろいろ言われているが、俺は東京に住んでいるのもあって全然わからない。

 ただ、斉藤知事のメディア広報を担った会社の人が丁寧にその仕事ぶりを解説するnoteが広まっていた。丁寧に経緯やこだわったポイントを解説してくれています。

兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に|折田楓

 この文を書いている11/22時点で既に部分的に修正されていて、今後より修正されたり消されたりする可能性があるので魚拓を貼っておきます。こちらも読んでほしい(取得したのは自分ではないため、100%の信頼性は保証できないけど)

【魚拓】兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に|折田楓

 詳しくはないのですが選挙のプロデュース業を企業がやるのはどう見てもヤバい。総務省のHPによるとウェブサイトの制作依頼について、
「一般論としては、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、当該業者は選挙運動の主体であると解されることから、当該業者への報酬の支払いは買収となるおそれが高いと考えられます。」
 と書かれている。
 なので違法のおそれが高い。

総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報((3)その他)

 それでか、最初にあった「きっかけ」の項目などが削除されているんだけど、記事の本論がさっきの説明にあった「業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う」にあたるので、報酬が無償でない限り買収である。まあどこまでが選挙運動なのかって問題もあるようですが。

 というわけで11/20現在もすごい記事である。素晴らしい文を合法の範囲で引用するとこんな感じ。

今回、様々なメディアで「広報・SNS戦略」を誰が手掛けているのかについて憶測が飛び交い、「大手広告代理店がやっている」やら「都内のPRコンサルタントが手掛けている」やら本当に都度事実無根の記事が拡散されていることは身内から聞いていながらも、当時、目の前の成果物を仕上げることだけに集中するようにしていました。当選後の日経新聞の記事や大手テレビ局の複数のニュース番組でも、「400人のSNS投稿スタッフがいた」という次なる「デマ」がさも事実かのように流されてしまい、驚きを隠せないと同時に、「私の働きは400人分に見えていたんや!」と少し誇らしくもなりました。そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたいです

 ここら辺の文章とか最高だよね。ここだけだと「ちょっと珍しいローカルなお菓子を流行らせた」とかそんな普通の広告の良い話に見える。「東京の大手代理店でなく~」って文は太字になっていて自信を感じさせませすが、会社が知事の行政範囲である兵庫県内であるのって、より癒着っぽく見えちゃう気がしますけど大丈夫かよ。

(補足:引用した文中でスタッフの規模を否定してるが、本当にこの会社だけでネット広報が全てかはわからない。これは立花孝司陣営が協力関係にあったのではという疑惑などと関連することなので詳しい調査が待たれる)

 これに対する反応として「民主主義を踏みにじりやがって」みたいな反応を見たけれど、きっとこの人たちにんなこと言っても届かないだろう。この底抜けに明るい広告屋の手ぐさからは「市民が情報を収集して市民が為政者を決定する」という民主主義のプロセスに介入した、という認識すらないんだと思う。このnoteには「民意」とか「知る権利」に該当するような言葉は出てこない、「顧客」という単語の代わりに「県民(の皆さま)」というワードが頻出する。
 ちなみに初期版はこんな楽しげな文で締めくくられる。

結びの言葉として、心からのお祝いを申し上げるとともに大逆転での勝利を掴むことができて本当に良かったと嬉しく思います。
ドラマチックすぎる出来事でしたので、いつか映画化されないかななんて思っています!笑

魚拓の初期版の末尾文

 映画化しないとも限らないから怖い。

 さて、こういう批判を書いていると「最近の政治はヤバイ」という意見に聞こえるかもしれないが、俺は昔に比べてひどくなっているのかはわからない。もちろんネット選挙ならではの現象だけど、けっこう最近まで保守系の選挙にヤクザが動員されるのなんて当たりまえだったし、左派は組合関連の動員をかけてたそうだし、今も昔も宗教勢力や経済団体の力は大きくすぎる。だから最近になって民主主義がほころんできたわけではないんじゃないっすかね。
 それに選挙コンサルなんていっぱいいる。そういう文章が出たのはひとえに素人に依頼したせいとも取れる。こういう面白い文章が出たので興味深く読んでみようぜという感じ。最初に書いたとおりこうしたウェブ広報が選挙結果といかほどの相関を持っているかもわからないし…(仮に無効果だったとしても犯罪は犯罪だが)。

 とはいえもちろん、こういう選挙をやられれば斉藤知事のせいで死んだ方は浮かばれない。だが「死をもって訴えても政治腐敗が止まらない」なんて、歴史上ごくふつうのことだ。我々の民主主義社会が過去の専制政治とまったく違うなんて思うのは残念ながら過大評価で、こんなことくらいで絶望したりするのはおかしい。主権者はあきらめてはいけない。
 自分の認識として、現行の民主主義システムは民を守るものとしてはあまり機能していないが、民が合法的に戦う権利をなら担保しているものであると思うので、まあ出来る範囲でなんかやったり、正当なプロセスを踏むことをやっている人間を応援したいですね…。

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バターンひやま
にょ