うちへ帰ろう
ども!
今日は嬉しい報告!!
なんと!日本への帰国が決まりました!!
昨晩、ベッドに入ってもうすぐ意識が飛びそう…というところに、メールの通知が。タイトルには、昼に受けたPCR検査の結果、と。
大学受験の結果通知ばりに緊張しました。
んで、開いてみたら、「Negative 」の文字。
ガッツポーズでしたね。母ちゃんに即LINEしました。
いや〜、もっと長丁場になるのでは、とここのところ気分も落ち込んでいたのですが、昨日まで続いていた頭痛も吹っ飛び、気持ちも晴れやか。
このメール通知を受けたのは、3/14に日付が変わる頃。実は、私の誕生日なんです。もう最高のプレゼントですね。人生史上最高かも。
肩の荷もおりたことだし、どっか出かけるかー、ということで、今日はハンブルクに行ってきました。ベルリンから高速列車で2時間ほど。エルベ川を通して栄えた商業都市です。海は見れませんが、港湾都市の雰囲気を味わえて楽しかった〜。そしてお目当ての魚料理もたらふく食べて大満足。
川辺と街中をちょびっと歩いて帰ってきました。
ハンブルクに向かう電車の中、隣に居合わせた女性と少しお喋り。ウクライナから来た方でした。頭にストールを巻いて、マスク越しでしたが、きっと優しそうな顔をしてらっしゃるんだろうな。「英語を話すなんて久しぶり。30年前に学校で習ったことを思い出しながら喋ってる。」と笑いながら、沢山のことを教えてくれました。
彼女は、ロシアの侵攻を受け、住んでいたキエフを出てポーランドに入り、今はベルリンに落ち着いているそうです。1週間ほど、ベルリンで無料のアパートに滞在することができ、今日は友達とハンブルクを見に来たんだとか。
気になったのが、家族がまだ国にいるということ。彼女の故郷であるクリビリフ(キエフの南西方向)に息子とおじさんがいるそうです。息子は学校に通うため(?)、歳をとっているおじさんは体の自由がきかないから長距離移動ができないんだと。
クリビリフは安全なの?と聞いたら、2日ほど前から騒がしくなってきた、と言っていました。上空をロシアの飛行機が飛び、ロシアの軍歌や警報音が聞こえてくるそうです。
彼女自身は、暫くベルリンにいることになりそうだと言っていました。キエフではエンジニアの仕事をしていたから、ドイツ語を勉強すれば、仕事にありつけるかもしれない。ドイツ政府は、避難してきたウクライナ人に対して、2〜3ヶ月無料でドイツ語学習を受けられる機会を提供するそうです。
どれくらいの人がその恩恵を受けられるでしょうか。たった2、3ヶ月でドイツ語をマスターできるわけでもないし、一から新しい土地で生活を立てるって、どれほど大変なことなんでしょう。日本の中で拠点を移すのとはわけが違います。同じヨーロッパでも、国を跨げば話す言語は変わり、細かなところでも生活様式が変わったりするでしょう。縁もゆかりもない土地に身体を慣らしていくのには相当な時間がかかります。帰国の日がいつになるのかも分からぬまま、異国の地で生活を続けるとは……。
私がボーッと窓の外を眺めていると、
戦争はいつ終わると思う?と聞かれました。
そんなに早くは終わらないんじゃないかな、
正直に自分の思うところを伝えます。
言った後に、あぁ、この質問に対してなんて答えれば良かったのかな、と後悔しました。
早く終わらないってことは、あなた達が国に帰れるようになるのには時間がかかるんだよね、と言うことになります。だからといって、そのうち終わるんじゃない、きっと大丈夫だよ、なんてそんな無責任なことは言えません。
すると、彼女はどこか寂しげな、でも意思のある表情で、
私も、そんなに早く決着がつく話ではないと思う。でも、早く帰れることを祈っている。
I hope.、と。
そうか、祈る、か。
昨日の夜から、陰性結果を受け取ったせいで昂っていた気持ちが、彼女との会話でスゥーっと静まっていくのを感じました。
帰れる場所があるって、奇跡みたいなことなのかもしれません。
駅に着くと、彼女はおもむろにバッグから狐のぬいぐるみを取り出し、それを愛おしそうに眺めて、またバッグへ戻しました。バッグに収まったキツネは、顔だけ外へ覗かせ、大きな目で彼女を見返していました。
「この子もいつか、ウクライナへ帰るんだよ」
子供みたいに笑って彼女はそう言い、電車を降りて行きました。