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旅の記憶 チベット編 予告
1995年 春
僕は3度目の海外旅行へ
今回も日本を出る手段として
横浜発上海行きの船
鑑真号を選んだ
初めての海外旅行は
鑑真号で上海に入り
桂林〜陽朔〜広州〜杭州〜上海
そして再び船で日本に戻った
2度目は再び鑑真号で上海に入り
そこから電車でトルファンに
その後シルクロードを西へ進み
国境を超えてパキスタンへ
そしてイスラマバードから日本に帰国した
そして今回は3回目
3度鑑真号を選んだが
上海からどこに向かうのかは
決めていなかった
候補は3箇所
チベットか
モンゴル自治区か
雲南省か
鑑真号は横浜から上海まで
3泊4日の船旅
僕は船の中で行き先を決めようと
カバンの中には分厚い
地球の歩き方 中国編が入っていた
旅立ちの前日
親元で暮らしていた僕は
自宅の部屋で荷物の写真を撮っている
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3度目の旅の相棒は
中古で買った米軍払い下げのダッフルバック
黒いカメラバックと
同じく払い下げのグリーンのコート
新しい旅が始まろうとしていた