SARS-CoV-2における日本の感染・死亡率が低い理由 --強毒性コロナ株A2aの脅威--
作成日:2020/05/09 最新追記日:2020/05/22
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の日本の感染・死亡数の低さの原因は日本でももちろん世界からも解明がされておらず、それ故、世界から怪しいと思われ日本は相手にされていない現実がある…そこでここ数ヶ月ずっと考えてきたが、やっとそれらしき答えというものに行き着くことができたので仮説として記載していくこととする。結構有力な説ではないかと感じている。
1.感染・死亡数の国別・人種別差異の考察
世界のSARS-CoV-2における感染・死亡数を知るのに以下サイトに信頼を置いているので以降、そちらからデータを拝借し、エクセルでまとめたものを使用するものとする。
5月7日にこの文章を作成開始しはじめたので、この日付のデータに基づく。
全ての一覧は死者数でソートをかけ、その項目を柱に考えてゆくものとする。
COVID-19 Coronavirus Pandemic
https://www.worldometers.info/coronavirus/
1-1.表1「感染・死者数の多い上位10国と日本」の確認
SARS-CoV-2の死者数を世界動向を見れるならばアメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、フランスのトップ5が断トツなのが分かる。6位のブラジルの約三倍以上の数値を示す。日本は大変有能な数値を示している。
1-2.表2の「SARS-CoV-2の新勢力国」の確認
感染・死者数を今の時期も顕著に安定的に増やしているのは中南米系のブラジル、メキシコ、エクアドル、ペルーと南アジア系のインド、バングラディシュ、パキスタンと来て、カナダ、ロシアが単体であり、4つの新勢力(色分け)として拡大をしている。
1-3.表3の「西欧における感染・死者数の比較」の確認
ヨーロッパにおいては何故イギリス、フランス、イタリア、スペインだけが死者2万人を超えているのか?
死者数において上記4国と隣接している(図1)ベルギー(8339人)、ドイツ(7275人)、オランダ(5204人)、スイス(1805人)、アイルランド(1375人)、ポルトガル(1089人)、オーストリア(608人)、スロベニア(99人)、クロアチア(85人)などは何故こうもばらばらな分布を示し、上記4国と違いが起こっているのか大変疑問である?
図1
表3から考えても白人の国だから感染しやすく死にやすいという理由ではないのではないかと感じる。SARS-CoV-2の感染と死亡数において人種は関係ないのではないか?とここまでは現状の把握と疑問の提起に留まった。
そこで実は感染・死者数に人種は関係ないのではないか?という疑問を解決している良いニュースがあったので紹介する。
「U.K. COVID-19 deaths higher among black, Asian and other minorities」
https://www.japantimes.co.jp/news/2020/05/01/world/science-health-world/u-k-covid-19-deaths-minorities/#.XrTkzP_7QoC
「イギリスではSARS-CoV-2での死亡率は黒人、アジア、その他のマイノリティの間で高い」とあり、理由を「インド人、パキスタン人、黒人アフリカ人がイギリスの白人より医療従事者であることが多いことと、レストランやタクシーなど接客業に多く、対人接触をする職に就いているのも一つの要因」としている。
またアメリカも面白い傾向を示しているのだが、以下のnoteを見てみると
「東海岸、西海岸で大きな差がある米国の感染率」
https://note.com/smdam_yamazaki/n/n91a8725aa0d9
感染・死亡数が多いのはニューヨークやニュージャージー州、マサチューセッツなど東海岸であり、カリフォルニアなど西海岸では低いのである。
また面白いことに
「米・人種別で異なる新型コロナ関連の死者数」
https://news.yahoo.co.jp/byline/abekasumi/20200409-00172246/
では
「黒人の犠牲者数突出とある。比較的黒人人口の多い都市、ルイジアナ州ニューオーリンズ、ミシガン州デトロイト、ニューヨークなどで顕著だとも。理由を高血圧、肥満、糖尿病とアフリカ系アメリカ人は、これらの持病を持っている人や肥満の人が多いとされている。
またニューヨーク市の
人口は白人が32%、ヒスパニック系29%、黒人22%、アジア系14%
死者は白人が27%、ヒスパニック系34%、黒人28%、アジア系7%
ニューヨーク市を除くニューヨーク州では
人口は白人が75%、ヒスパニック系11%、黒人9%、アジア系9%
死者は白人が62%、ヒスパニック系14%、黒人18%、アジア系18%
としていて、
クオモ知事は「弱い立場の人々がいつも犠牲を払わなければならないのはいただけない」
「ニューヨーク市内で黒人やヒスパニック系に犠牲者が多いのは、スーパーやデリで働くエッセンシャルワーカーが多いからではないか。」と見解を示した。
つまり、イギリスと似たように対人接触する職業であることとこちらでは貧困が付いて回る。
結論で言うならば、どうもSARS-CoV-2の感染・死亡数は人種とは関係なく、如何に人と接触するか?とそういった職業は経済的底辺にいる人に多く起こっていると捉らえた方が正解ではないかと判断するのである。
1-4.アフリカにおける感染・死亡者数が低い理由の考察(追記:2020/05/22)
アフリカは感染・死亡者数が低い理由は以下URLが勘所を説明してくれているので引用する。
「最多の南アはコロナで死亡者減?感染ペースは緩やかに:アフリカにおけるコロナ状況(その6) 」
https://note.com/umemoto_abp/n/n34665a823919
「①.アフリカは2014年、2018年のエボラ出血熱の流行の経験から、感染症の拡大を水際で防ぐためのオペレーションや、患者の隔離や取り扱いの方法についてのプロトコルがすでに存在していて、それが今回も生かされている。
②.常日頃から結核やコレラといった他の疫病にも対応している。
南アにはHIVや結核を検査するための施設や人員が組織されており、今回のコロナでも活用されている。感染の流行に即時に対応し、限られた物資で拡大を抑えるという点では、アフリカはむしろ準備が整っている。
③.自国の医療体制をまったく過信せず、1~2月の早い段階から行政含め対策を考えていた。
よって、感染者が見つかり始めた3月から速攻で行動規制を実行した。1カ月という短い間にアフリカ55カ国中50カ国が空港を封鎖して全ての旅客機を止め、そのうちの多くは都市の交通封鎖と外出禁止、つまりロックダウンに踏み切った(その時点での感染者数は百万人あたり4.5人)
④.各国の政府は(これまでのところ)リーダーシップを発揮している。
情報を開示し、国民に繰り返し話しかけ、経済損失の補償を発表していることから、国民における政権への信頼も(いまのところは)高く、人々は政府の指示に従っている。」
悲しくもアフリカは感染症と経済の対策が既に日本などとは比べ物にならないほどしっかりしているのである…エボラ出血熱や結核、コレラなどの経験に基づいた対策が練られ、発信、行動し、また国民の理解を得られているのである。
また私が思うアフリカでSARS-CoV-2が蔓延しない理由は、人口層における年齢の低さを上げたい。
「2017年のアフリカンの人口」
https://www.populationpyramid.net/ja/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB/2017/
上記URLを開いて人口比のグラフを見てみれば、60-100歳までの人口は全体の5.3%なのである。
SARS-CoV-2は平均的に高齢になればなるほど死亡率が上がるのだが、アフリカではそもそも死ぬ対象の人々が少ないことがあげられるのだ。
上記理由からアフリカのSARS-CoV-2における感染・死亡者数は少ない理由は納得がいくだろう。
2.BCG接種についての考察
人種による感染・死亡数が増減する説が違うとなると今一番有力であるBCGの観点から見ていこう。
2020/05/14からの追記であるため、「COVID-19 Coronavirus Pandemic」の同日日付のデータを使うものとする。
「世界におけるBCG接種の状況」1997年における世界のBCG接種状況
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kekkaku1923/75/1/75_1_1/_pdf
「日本小児科医会」2016年における世界のBCG接種状況
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/05%2B%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9.pdf
こちらはイギリスだが下記一覧にてこちらで資料作成した資料から抽出したBGCデータを表7~9で取り扱う。
「外務省の世界の医療事情」現在までにおける世界の最新BCG接種状況
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html
「1 Relationship between COVID-19 death toll doubling time and national BCG vaccination policy 」
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.06.20055251v2.full.pdf
こちらの論文からは以下にある表7~9における「BCG株」、「BGC集団接種実施期間」の項目のデータに反映させている。
上記「世界におけるBCG接種の状況」でも分かる通り1997年にはBCG予防接種は結構な国でかなり100%に近い接種率なのであるのが分かる。
更に、2016から現在に至る日本小児科医会と厚労省の上記資料をを見てみると西洋の国々でBGC接種は終了している国があることが分かる。
第一章の「感染・死亡数の国別・人種別差異の考察」で扱った表に新たに「BCG株」、「BGC集団接種実施期間」、「BCG接種者現年齢」、「BCG未接種の危険世代(100歳まで) 」、「BGC接種まとめ」という項目を増やし、更に「BGC接種まとめ」のデータを作成し、裏づけするために「BGC接種(1997年)」、「BGC接種(2016年)」、「BGC接種(厚労省)」という項目を増やした表7~9を使って考えてゆくものとする。
2-1.BCGについての基礎知識
本論に入る前に何故SARS-CoV-2の感染・死亡率においてBCGを予防接種していることが優位であるといわれているのか?基礎知識を踏まえ説明してゆく。
「日本株のBCG接種に「コロナ死」抑制力の根拠」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200427-00621888-shincho-soci
上記URLではBCGワクチンがSARS-CoV-2に対して有効である理由を以下の様に述べている。
「免疫学の世界ではこのワクチンが高齢者の細菌性肺炎に予防的効果があると指摘されていました。というのも、結核菌の細胞壁にある成分が、感染を予防するための自然免疫を刺激し、その免疫力を高めるのかもしれません。最近の研究結果から、この自然免疫が高まると、ウイルスが体に入った時に対抗するための獲得免疫の機能も高まることがわかっています。死亡率がBCGワクチン接種国で低いのは、もしかすると、BCGが自然免疫や獲得免疫を刺激して、重症化を防いでいるとも考えられるのです」
更に
「日本株を使用している日本や台湾、タイで100万人あたりの死亡者数を見ると、日本は現在、1人程度。他の2カ国はそれより低い水準だ。対して、デンマーク株で接種しているポルトガルは約47人。接種を行っていないイタリアやスペインに至っては300人を超えているのだ。ちなみに欧州の寒冷地でウイルスが猛威を振るう中、ソ連株を使うロシアは日本と同水準の死亡率の低さである。」
「日本株やソ連株の特徴はデンマーク株などに比べてワクチンに含まれる生菌の数が多いこと。すると、免疫を高める成分も多く含まれる可能性があり、結果としてウイルス感染による重症化を防ぐ効果が高いのかもしれません。しかし、これはあくまで推測であり、今後のさらなる解析が必要です」
このような期待から世界でもBCGが注目され、更に日本株を接種している国はSARS-CoV-2への感染・死亡数を世界より著しく減らしているのではないか?という仮説のもとBCGが注目されているのである。
また上記説明に対して、BCGの基礎知識と何故日本株が強力であるのかを記載いていく。
「BCG の歴史:過去の研究から何を学ぶべきか」
https://jata.or.jp/rit/rj/tenbo/48toida.pdf
「BCG接種の現状と問題点」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kekkaku1923/62/2/62_2_51/_pdf
そこでBCGには以下の特徴がある。
・13種のBCG亜株(図2)
・BCG亜株の性状の違い(図2と表4)
・BCG亜株の免疫原性及びビルレンスの順位(表5)
・BCG亜株の生菌数(表6)
日本株のBCG接種に「コロナ死」抑制力の根拠」では
「日本株やソ連株の特徴はデンマーク株などに比べてワクチンに含まれる生菌の数が多いこと。すると、免疫を高める成分も多く含まれる可能性があり、結果としてウイルス感染による重症化を防ぐ効果が高いのかもしれません。」
としているが、「BCG接種の現状と問題点」の資料では
「BCGワクチンの製造に用いる菌株としては,性状の異なるいくつかの変異株が使用されているが,最も多く用いられているのは免疫原性及びウイルレンスの強いことが動物実験によって証明されているフランス株である。」
とあり、一番強いのはフランス株(Pasteur 1173)だというのが専門家の認識なのである。
また日本株の利点は免疫原性およびビルレンスの強さではなく
「日本株は,スコア(免疫原性及びウイルレンス)は大きくないが,人体接種後のツ反応陽転率は高く,副作用が少ないことが認められている。」とある。
「凶暴な,あるいは温厚な寄生体-2」
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/evolutionary_medicine/vol4n1.html
ちなみにビルレンスとは上記URLによれば「結核菌はその一例で,長い潜伏期の後に,免疫機能の低下によって発病することがある.またはじめから人体に病気を起こす病原性微生物もその数は多い.この病毒性の程度をビルレンス(virulence)という言葉で表す.」
結論的には今の日本で多く言われている日本株が生菌数が多いから免疫力が高いという間違った理由となっている。
むしろ、免疫原性及びビルレンスも強く、日本株同様副作用も少なく、生菌数も高く第一世代のモロー株(ブラジル)が最強なのではないかと私は分析するが、おそらく、ブラジル株はチェコ以外他国へ提供してないため効果の判断が難しいのである…
なので以降ブラジル株(Moreau)、フランス株(Pasteur 1173)、ロシア株(Russia)、日本株(Tokyo 172-1)、デンマーク株(Danish 1331)の免疫原性及びウイルレンスの強い順で考えていくものとする。
2-2.表7の「感染・死者数の多い上位10国と日本(BCG追加)」の確認
「BGC集団接種実施期間」の項目を見るとアメリカ、イタリア、ベルギー、オランダではBCG接種がされていないのがわかる。また次にスペインでは期間が1965-1981年と短くほぼ接種してない国と捉えてよいだろう。
ここだけでもBCGを接種していないオランダとベルギーがまだ死者数を1万人超えていない理由は不明であり、BGC接種の項目単独でSARS-CoV-2が感染・死亡数を抑制するとは言いがたいのではないかと感じるが進めて行こう。
1997年まで100%義務化されていたフランスとイギリスは現在は出生時におけるハイリスクな場合のみBCGが予防接種されるとある。しかし、世間ではまるでBCG予防接種が為されていないようなイメージが植えつけれれているのだが、実際「BCG接種者現年齢」の項目を見てみるとイギリスでは15-67歳が、フランスでは13-70歳の人々が予防接種を受けていることとなる。特筆すべきはイギリス、フランス共に0-15歳の子供は予防接種を受けていないが、SARS-CoV-2は高齢者の方がリスクが高いのでそれほど問題ではなく13~15-67~70歳までの人々が予防接種しているとなると、日本が0-69歳までが接種しているのでイギリスとフランスのBGC予防接種の集団接種実績は実はほぼ日本と同等と捉えて良いことがわかるのだ。ドイツも同じ方法論で考えていくならば日本と同等のBCG予防接種国として捉えてほぼ問題ないだろう。
またブラジルとイランなどは現在はBCG接種率が100%であり問題ないだろうと判断してしまうところであるが、実は「BGC集団接種実施期間」では1990から接種とあり、「BCG未接種の危険世代(100歳まで) 」で換算してみるならば31-100歳の人々が未摂取の状態であり、SARS-CoV-2にとっては大変リスクが高いことが分かるだろう…。
この一覧で分かることはBCG接種において安全で優位性のある国はイギリス、フランス、ドイツ、日本の四国だけなのがわかるのだ…。残りの国は「BCG未接種の危険世代(100歳まで) 」が全て赤くあり危険だと私は判断している…。
表7からはBCG株の強さによる有効性には何の法則性も見つけられなかった。
この「感染・死者数の多い上位10国と日本(BCG追加)」のデータで見えた法則性は、BGC予防接種を受けていない国民が多い国に感染・死者数が多いということとであるが、日本並みにBCG接種しているイギリス、フランス、ドイツの死者数が高い理由が見つけられず、BCGがSARS-CoV-2の感染・死者数の差を生んでいるとは言いがたいものがある。
2-3.表8の「SARS-CoV-2の新勢力国(BCG追加)」の確認
SARS-CoV-2の感染・死亡数増加の新勢力国はBCG接種率はとても高いが感染・死亡数が増えてきている。
そのカラクリはBCG接種開始が遅いため、ワクチンの恩恵に預かれていない人々が「BCG未接種の危険世代(100歳まで) 」の項目から見てもわかるとおり広範囲に及ぶからである。
一番死者数の多いブラジルを見てみるとBCG最強株のモロー株をもってしても、最近の増加率は想像を絶する勢いがある。7日の一週間前は死者数約8600人だったのが14日は13000人と一万超えトップ5国に一番近づいたのだ…これは31-100歳とBCG接種を受けている人口が圧倒的に少ないからとも取れるのだ。メキシコは死者数の増加はブラジルのように1週間で約2倍近い伸びを示したが、BCG接種率は0-69歳までと日本と同じである。ここまでではBCG株の違いや接種の有無からは答えは導き出せない。
そんな中、ロシアとエクアドルを見てみれば、実は二国もブラジルと同じ傾向を示し、ロシア株は強いのだが、BCG接種開始が1992年からと低いために結構な感染・死者数を出しているのだ。
表8から見て南米系が猛威を振るっているのが分かるが、南アジア系はインドは日本と同等のBCG接種量であるが感染・死者数はとても多い。インド以外はそこまででもない。パキスタンとバングラディッシュの感染・死者数の低さは日本株を接種してるからともとれる。しかし、5月7日のデータと比べると死者数がパキスタンは206人、バングラディッシュは83人とここ一週間で相当増加してるのがわかり、パキスタンは日本株接種は2008年からであり0~12歳の子なので日本株はほぼ関係ないだろう。またバングラディッシュは日本株の他にも使っていてどれくらいの接種量なのかも分からないため、日本株接種により感染・死者数が少ないとは結論付けがたいものがあるのだ。
ここではBCGを接種をしている人が少ない国が感染・死亡数が多いことが分かるが、同様に少ないパキスタンとバングラディッシュの少ない理由が説明付かず、強い法則性は見つからないというのが結論となる。
2-4.表9の「西欧における感染・死者数の比較(BCG追加)」の確認
「2-2.表7の「感染・死者数の多い上位10国と日本(BCG追加)」」の説明と重複になってしまうが、「BGC集団接種実施期間」の項目からヨーロッパ全体でBCG接種してない国はイタリア、ベルギー、オランダで、接種者数が少ない国はスペイン、ポルトガル、ポーランド、ギリシャと言えよう。それらを「BCG未接種の危険世代(100歳まで) 」の項目の赤いセルで現している。しかし、危険世代が多いにも関わらずポルトガル、ポーランド、ギリシャは感染・死亡者数が1000人台と少ない。
またBCG接種をちゃんとしていて安全なのではないか?とされるイギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンなどは3000人超えの死者数を出しているし、スイス、アイルランド、ルーマニアなど1000人超えの死者数を出している。ルーマニアなどは0-92歳までBCG接種してるので日本より安全なのではないか?と思うのだが、死者数は1000人超えているのである。
「BCG の歴史:過去の研究から何を学ぶべきか」によれば、西欧ではBCG株を「デンマークから間接的に分与を受けている国が多いのは,第二次世界大戦 後 WHO の BCG に 関 す る Reference Labo-ratoryがコペンハーゲンのStatens Serum In-stitut に置かれ,WHO の指導の下にここから配布が行われたことによっている」とされているのだが、デンマーク株だからこのような不規則性を出しているとは考え辛く、BCGがSARS-CoV-2の感染・死者数を減らしている決定打となりうる法則性は見つからないと捉えてよいだろう。
世間の流れでもBGCに関してはまだ楽観視すべきではないという専門家の見解の基、オーストラリアやオランダの研究者の臨床試験結果を待つのが正しい状態だと言えよう。
「BCGワクチンは新型コロナウイルスに効果があるのか? 相次ぐ研究発表と臨床試験への期待」
https://wired.jp/2020/04/27/bcg-vaccine-coronavirus-uk/
ここまで見てみて私個人のBCG効果の結論は、SARS-CoV-2から感染→死亡するまでの間に効いていたとしても自然免疫と獲得免疫を上げる極々小さな効果なのではないかと判断し、死亡者数トップ5カ国と新興勢力国はBCG接種してないから未だに増えている訳でもなく、またはそれ以外の死亡者が少ない国がBCG接種受けているから少ないのだと断言できないのである。
余りの法則性の無さから、正直私はBCG接種の有無にほぼ期待はしていないのである。何故?それは感染・死者数の違いを7割り方も論理的に説明が出来ないからである。
3.HLA型についての考察
BCG以外にSARS-CoV-2に有効とされているのが、HLA型(ヒト白血球抗原)の違いにより感染・死亡数が変わるのではないか?あるいはSARS-CoV-2に感染して起こる軽症者とサイトカインストームを起こし重症化する違いもHLA型の違いが引き起こしているのではないか?という説があるので調べてみることとする。
以下URLがどうして日本人特有のHLA型がSARS-CoV-2の重症化を阻むのかを分かりやすく記載してくれている。
「HLA型(白血球の血液型)の多様性が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2/COVID-19)から日本を救う。」
https://note.com/sato_agg/n/nd1e10136fdc1
HLA型とは何なのか大変分かりやすく説明されているので引用する。
「HLA型とは、わかりやすく言えば白血球の血液型です。骨髄移植や臓器移植の際、ドナーとの適合度を照合する型で、A座、B座、C座、DR座という4座(8抗原)の区分の組み合わせで数万通りあります。
省略
HLAが異なると特定の抗原に対する免疫応答が異なり,感染症に対する抵抗性が変わる。
省略
スギ花粉症になりやすい人、HIV感染でエイズを発症しやすい人、HIV感染でエイズを発症しにくい人、関節リウマチになりやすい人、これらはHLA型で特定できているようです。」とHLA型の違いにより病気や感染症にかかりやすい、かかりづらいという差が現れるということなのである。
また2003年流行のSARS(SARS-CoV)の時、日本人は感染・使者数が0人だったのだが、その理由は「SARSに感染するといわれているHLA-B46、HLA-B54は、日本人でも HLA-B46 は全人口の5%、HLA-B54 は7-10%程度いて、近畿から九州に多いとの事なので安心というわけではありません。ただ、もし日本で大流行する事になったとしても約90%の日本人は重症化しにくい?のかもしれません。」ということなのだ。
しかし、今回のSARS-CoV-2ではSARSの時同様に日本人だけが感染者数が0人あるいは、近畿から九州のHLA-B46、HLA-B54以外の人は感染・死亡していないという劇的に感染者も死亡者もいない状態なら、HLA型がこの日本の感染・死者数の少なさを現しているのだ!と取れるが可能性はあると思うが、SARS-CoV-2に限っては5月7日付けの資料で日本で感染者は15253人で死亡者は556人とそれなりの数が出てるのだ。
これは研究によって、SARS-CoV-2に強い日本人特有のHLA型が存在することが解明されることを祈るばかりであるが、私個人としては今まで色々資料を読み調べた結果、BCG同様HLA型も決定打にはならないのではないか?と感じているのである…
4.日本が感染・死者数を少なくしている他の要因の考察
日本で感染・死亡数が低い理由は何なのか?今まで言われてきたものをまとめていくと
・手洗いうがいをちゃんとする習慣がある。
・マスクをする習慣がある。
・室内では靴を脱ぐ。
・キスやハグをする習慣がほぼない。
・ゲーマー、オタクなど引きこもりの若者が多い。
・アクティブに外へ出る高齢者も少ない。
・核家族化で三世帯が少なく、死亡しやすい高齢者が感染しずらい。
・若者も一度実家を出ると余り戻らない人も多い。
・お風呂に入る週間があり清潔。
が主に今まで国内外で言われてきたことではないだろうか?
これも少しは役に立つだろうが、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、フランスの死亡率をこれら項目を実践すれば変えられたか?と言ったら少しも納得はできないのである。
感染症に関して私は、オリンピック開催予定だったのでこの時期日本に必ず何かしらの感染症が入ってきてある程度、大変なことになるだろうと予想していた。それら発言は過去のTwitterの発言を見てもらえば分かるし、SARS-CoV-2が武漢で死者を出したという1月16日のニュースからずっと動向を追ってこれたのもそれ故である。
何故そう考えていたかというと、日頃インフルエンザやジカ熱、性感染症含め、日本人と日本政府の感染症に無頓着で緩いことに大変危機感を抱いていたもので、ずっと日本の感染症を追ってきたし、日本人の感染症に紐付くだろう行動を何年も観察してきたからいえるのだが、手洗いうがいをまともにしてる人を、SARS-CoV-2が流行するまで日本ではほぼ見たことがない。
トイレでも手に水で少しぬらしただけハンドソープも使わず、手をこすり合わせもせず急いで出て行く人の何と多いことか?に何時も呆れていたものである(笑)
うがいなど医療、介護従事者や風邪引いた人以外見たこともない。
女性がやる率は男性よりあがるが、得てしてうがいも手洗いもまともにしない人多かった…
またマスクに関しても、SARS-CoV-2が流行る前に私が良く言っていたのは、日本でマスクをしているのは花粉症の人がかなりの率を占めるていて、特に男性は中年以上はインフルエンザが流行っていて、咳をしているからマスクを付けましょうと言っても、息苦しくて嫌いなんだよねとか大丈夫大丈夫とか何でお前にそんこといわれなきゃなんないのって人もいて、そんな人は会社から言われてしぶしぶ社内でだけ付けるという人も多かった。自分が不快な花粉症だけは仕方なく自分の意思でつけるというパターンが一番多く、とても日本人は特に東京や都会の特徴なのか独善的で利己的な考え方の人が多かった。
電車なんかで手も覆わずくしゃみを他人に吹きかける人とかね(笑)
ちゃんと感染症予防でマスクを着け、手洗いうがいをする人は家族や子供がいる人がほとんどだった記憶である。パーセンテージで言ったら感染症予防でつける人は3~4割程度と分析していた。
それが一変したのはイタリアでの死者数が爆発した3月初旬からである。
中旬ごろは手洗い、うがい、マスクはまだ定着が50/50だった記憶がるし、三月末に志村けんが亡くなってリアリティーをもって一気に皆やるようになった。
なので手洗い、うがい、マスクの項目が日本の感染・死亡数を劇的に減らしているとは思っていない。今はほとんどの人に定着しているが、それはアメリカもイギリス、フランス、イタリア、スペインも同じである。
他の項目に関してもやはり日本の感染・死亡数を劇的に減らしているとは考えられないのである。
5.最新ゲノム疫学調査の動向と強毒株コロナクイーンについて
5-1.考察
そこで行き詰まりを感じていた私は、ここ最近海外の評価と動向が気になっていたのでそれら記事を良く読んでいたのだが、A2a株とコロナクイーンという強烈なキーワードが世界で騒がれていることに気付いたのだ。
それはなんなのか?
4月29日のこちらの記事によると
「Virus Mutation: A2a Now Dominant Across Regions, Called Corona Queen」
https://www.shethepeople.tv/news/virus-mutation-a2a-now-dominant-across-regions-called-corona-queen
分かりやすく要約するならば
「西ベンガル州カリヤニの国立生物医学ゲノミクス(NIBMG)が実施した研究では、新しい新型コロナウイルスが10種類(O、A2、A2a、A3、B、B1…etc)に変異していると結論付けた。
新型コロナウイルスに由来する最初の菌株は「O」菌株である。そこから派生した10個の変異型の中で最も多いのはA2aであり、インドを含む世界中の他の型に置き換わっていっているようだ。したがって、A2aはコロナクイーンと呼ばれている。
世界では、患者の51%がA2aタイプのコロナウイルスと診断されているが、インドでは、ウイルス配列の45%がA2aである。
1つのタイプが世界を席巻するのは大変珍しいことであるが、A2aはそれを行いつつあると。
しかし、特定のタイプが優勢なウイルスであることがわかっている場合、ワクチン作成にあたる取り組みはそのタイプに焦点を当てればよく大変理想的なのだ」
と伝えている。
これは一つのパラダイムシフトで今まで世界の研究者はSARS-CoV-2の変異能力はそれほどでもないと捉えられていたのだが、最近の研究ではこれほど感染力が高い株が発生した事実を認めたのである。
コロナクイーン恐るべし…。
次に4月28日に作成された以下URLを読んでみると
「Dominant SARS-CoV-2 strain A2a binds more easily to ACE2 receptors」
https://www.news-medical.net/news/20200428/Dominant-SARS-CoV-2-strain-A2a-binds-more-easily-to-ACE2-receptors.aspx
重要なところを要約するならば
「SARS CoV-2のA2a株は非常に毒性が高く、ヒト肺細胞に大量に感染し、特に基礎疾患の合併症または高血圧、糖尿病、心臓病、呼吸器疾患、腎臓などの他の病気の患者を急速に圧倒する可能性がある」と言っている。
またイタリアでは、サンプルの80%にA2a株が含まれていると報告書に記載され、イギリス、アメリカ、スペイン、アイスランド、コンゴ、ブラジルなどの他の国でもA2a株が圧倒的に多いとある。中国は2020年2月以降にシーケンスレポートを提出していないため、現在のところ中国からの系統は不明のようだ。
またこの研究によれば、A2a株は以前の株より、スパイクタンパク質が変更されて、COVID-19感染の初期段階であるヒト細胞のACE-2受容体に結合しやすくなり、肺細胞へのアクセスが容易になった」
と説明している。
このことが正しいのならば、コロナクイーンはイタリア発症と言ってよいだろうし、イタリア→スペイン→フランス→イギリス→アメリカと移動し非常に大きな打撃を受けた理由が説明できるのだ。
武漢株が多いアメリカの西海岸と比較して、ニューヨークはイタリア株(A2a)の発生率が高かったため、同じ運命を歩んだのである。
また上記資料でアイスランドのSARS-CoV-2はA2a株とあったことから、以下の4月14日に作成された論文を紐解くとアイスランドを中心にしたウイルスハプロタイプが日本を含め、西欧とどのような広がりを示したのか大変わかりやすく記載しているので紹介する。
「Spread of SARS-CoV-2 in the Icelandic Population」
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2006100
必要部分を要約すると
「アイスランドでは自国のSARS-CoV-2感染における地理的起源を明らかにするため、1547の完全なウイルスシーケンス((アイスランド人のウイルスゲノムから513、世界中の他の集団からのゲノムから1034))の中央結合ネットワークを生成したのだ(図3)。
図3
そこから分かるのは、中国での最初の発生から3~4か月の間にいくつかのウイルス系統が出現し、武漢からの創始ハプロタイプであるクレードAの中央ハプロタイプから系統を分離するA1a、A3、B、B1a、A2a、A2a1、A2a2と7つの変異があった。シーケンスの取り組みは人口によってかなり異なるのだが、クレードの地理的分布が高度に構造化されていることが判明した。したがって、AとBのハプロタイプは東アジアでは一般的だが、B1aハプロタイプは米国の西海岸で発生の中心にあるように見え、A2aとその子孫はほとんど西欧でのみ見られる」というのがこの段階で分かったのだ。
しかし、ここではニューヨークなどアメリカの東海岸のSARS-CoV-2がA2aであることまでは言及していないが、それらがA2aであることは上記の「Dominant SARS-CoV-2 strain A2a binds more easily to ACE2 receptors」が解明してくれているのだ。
またこの資料において分かる重要なことは、日本において、SARS-CoV-2は第一波が武漢由来のSARS-CoV-2で第二波はイタリアなど西欧由来なのでA2aだと思っていたが違ったという事実なのである。
日本のSARS-CoV-2株の変遷は、第一波では武漢型(A)であった。第二波は西欧株であったのだが、A2aのコロナクイーンではなく、A1aであったことが図3から分かる。図3は拡大すると画質が悪いのでみずらいので、大本のURLから確認していただければ日本株がA1aであることが分かるだろう。
何故そうなったのか?を考察すると第一波の帰国者受け入れの時、政府判断が遅れバッシングされたのだが、第二波の西欧の帰国者の受け入れ時は反省した様で、イタリアの感染第二の波で死者が出始めた2月中旬を踏まえ帰国指示を3月初旬に行い、帰国した日本人は3月15日頃発熱した現実がある。つまり、日本は帰国指示のタイミングが良かったため、西欧株を持ち込んでしまったがイタリアのコロナクイーン(A2a)を持ち込まず、A1aで済んだということなのだ!大変運の良い事である。
ちなみに韓国、台湾やタイなど他のアジアはA3型のため毒性が低かったといえるから感染・死亡数が日本同様少ないことが分かったのである。
しかし、ブラジルはB1aであるが、今A2aが猛威を振るっている。「Dominant SARS-CoV-2 strain A2a binds more easily to ACE2 receptors」にA2aはブラジルにも多いとあるし、更にブラジル大統領が余りできた人間でなく、外国の封鎖をしたのが3月30日であったため、コロナクイーンの侵入を許したからだろうと予測している。
またこれらハプロタイプの整合性をあわせるためにニューヨークのハプロタイプを説明した以下のもう1論文紹介する。
「Introductions and early spread of SARS-CoV-2 in the New York City area」
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.08.20056929v1.full.pdf
表10を見るならばA1aがヨーロッパ由来であることがこちらでも証明されている。
現アジアを占めるA3は中東でも広がりを見せているようだ。NYCは中東からA3を持ち込んだようである。またヨーロッパにはA1aの他にもBもあり、更にBは中国にも広がっているややこしいタイプである。
そして、NYCで一番多いのがコロナクイーンのA2aであり、ハプロタイプの87%を占めるという…
感染爆発を起こし、死者が増大するわけである…
またアジア・オセアニアにはB4の型も分布しているとあり、道理で死者が少ないわけである。
またA2a株と戦いながら死者を約7500人に抑えているドイツの論理的で合理的、かつ計画的で準備の整った体制には頭が下がるのである。これは驚愕的な賞賛に当たる成功例と言るのだ!!!
表10
最後にSARS-CoV-2が毒性を増している研究が中国より発表されていることに強毒の変異体が出ていることの裏づけとする。
「感染力も毒性も突然変異する新型コロナ「強毒種は270倍のウイルス量」中国の研究」
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200421-00174514/
おそらくA2a株のSARS-CoV-2のことを現しているのだと思うが、270倍…日本のSARS-CoV-2とはもう別物と考えた方がよいだろう。
5-2.五章のまとめ
・SARS-CoV-2は今まで容易に変異しないと言われていたが、それは間違えでスパイクタンパク質の変異によりACE-2受容体に結合しやすくなり、肺細胞へのアクセスが容易となった感染力と毒性の強いコロナクイーン(A2a株)が現れた。
・NYC、イギリス、イタリア、スペイン、フランスの感染・死者数トップ5国のSARS-CoV-2株はコロナクイーンであった。
・日本で現在流行しているSARS-CoV-2はA1a株であり、感染力と毒性が弱く死者を余り出していないことが分かった。
・コロナクイーンは他のハプロタイプであるO、A2、A2a、A3、B、B1…etcに上書きする能力があり、このままで行くとSARS-CoV-2は全てA2a株に取って換わる可能性がある。それ故コロナクイーンと呼ばれるのである。
・A2aに一元化される可能性があるということは治療薬とワクチンはA2a株に対するものを作れば良いので開発しやすくなる。
以上である。
5-3.SARS-CoV-2における世界の最新マッピングゲノム(追記:2020/05/22)
2020/05/20にSARS-CoV-2のハプロタイプとそのサブクレードが世界でどのような変異を今まで起こしてきたか大変分かりやすく説明した論文がリリースされたので、こちらでも取り込んでいくこととする。
「The impact of super-spreaders in COVID-19: mapping genome variation worldwide」
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.05.19.097410v1.full.pdf
5-1「考察」ではアイスランドの資料である図3を見ると日本のSARS-CoV-2のハプロタイプのサブクレードはA1aが蔓延しているととれ、そのように述べたのだが、どうも上記資料では明確に示しているJapanは違うサブクレードを示し間違えの様である。
正確には他のアジア同様にA3でその割合は84.85%にあたる様だ。弱毒性なのは変わらないで結論が変わることないが、正確な情報に修正したく説明することとする。
この論文を要約するならば、まず世界の基底ハプロタイプはAとBがあり、占める割合はAが80.35%でBが19.65%と言っている。
次にそれらハプロタイプのサブクレードを見てみる。
基底ハプロタイプAはA1aが10.57%で、A2aが68.1%とその他が21.33%となる。
基底ハプロタイプBはB1が63.86%でB3が次に多い様だが具体的なパーセンテージは示されず、その他を入れると36.14%となる。
またB1の中でもB1a1が60.09%を占め、B3ではB3aが71.43%と一番多い様だ。
図4「主要なSARS-CoV-2クレードの世界的な広がりを示すマップ」
図5「簡略化されたSARS-CoV-2系統図」
次に図4の「主要なSARS-CoV-2クレードの世界的な広がりを示すマップ」と図5の「簡略化されたSARS-CoV-2系統図」によれば、北アメリカ、南アメリカ、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、オセアニアの地域で何のクレードが流行しているのかが一目で分かる。
また各地域におけるAとBの基底ハプロタイプ割合が論文内に記載されていたので、表11「地域別ハプロタイプの割合」にまとめた。
アジアから考えていくが、表11を見るとAタイプが圧倒的に多いことが分かる。
図4と図5を見ると図5のハプロタイプにおける基底クレードはB1、B、A、A2、A2aを使い、割合を円グラフでまとめているのでそれら合わせて確認していくこととする。
アジアの基底クレードは図5ではBとAが多く、コロナクイーン(A2a)は大変小さいことがわかる。またコロナクイーンの発祥はどうも中国の様である。図4からもわかる通りクレードタイプの種類も豊富である。
またMain foundersにあるJapanの紫色を見るとA3であることが明確に示されている。しかし、疑問は5-1「考察」の表10によればA3は中東とあり、この表が掲載されている「Introductions and early spread of SARS-CoV-2 in the New York City area」によればアジアの説明でもA3と出ているので、日本の第一波の時のサブクレードを言っている可能性があるのだ。そのことは「The impact of super-spreaders in COVID-19: mapping genome variation worldwide」の論文自体が何も日本のSARS-CoV-2解明のためのものではないので、日本の情報は適当な可能性があるともとれる。
まぁ第二波で西洋から持ってきたものがA3なら全く問題ないのだが、是非日本の感染研がこういった情報を明確に提示すべきなのである。しかし、A3であれA1aであれ弱毒性であるのは変わらないのである。
また図5を見ればアジアはA2とA2aが極端に少ない故に感染・死者数が少ないのにも論理的に説明ができると言って良いだろう。
オセアニアも表11から基底ハプロタイプBのパーセンテージは記載がなかったのだが、圧倒的にAが多いことが分かる。
図4を見るとアジアと似たようなにA2aは小さく他のクレードの種類が豊富という点で大変似ていると言えるが、論文の中ではA3が44.44%を占めているとあり、感染・死亡者数が少ないのもうなずけるのだ。
南アメリカもまた表11ではAの方が多い。
図4ではハプロタイプのサブクレードは少なくA2aが目立つが図5を見ると世界の中でも南アメリカ自体シーケンス数が少ないのが分かる。しかし、基底ハプロタイプAが一番多く、A2aが多いのはブラジルとエクアドル、ペルーがの感染・死者数が多いからだろう。中南米はこれからも注目が必要である。
アフリカは表11では圧倒的に基底ハプロタイプはAが多いのだが、それは図4を見ても分かるのだが、南アメリカと同様シーケンス数が圧倒的に少ないようだ。しかし、感染・死者数が少ないのは、「1-4.アフリカにおける感染・死亡者数が低い理由の考察(追記:2020/05/22)」で説明した様に、まず国民の総体的な年齢が若くSARS-CoV-2にかかっても重症化しずらいというのとエボラ出血熱などの感染症での経験とそれに基づいた政府の封鎖の早さ、国民がマフィアでさへ部下に金銭を補償し自宅待機させるという徹底振りからも理解できるだろう。感染症優秀地域故の結果であると言えるのだ。
北アメリカを見るとこれは基底ハプロタイプのAとB共にほぼ半分と言って良いだろう。
図4を見ると北アメリカはカナダがB1a1、西海岸がB1a、東海岸がA2aと捉えて良いだろう。東海岸のニューヨークやニュージャージー州、マサチューセッツ州で死者数がかなりを占めるため、理屈的には5-1「考察」の説明と相まって論理的に説明できていると言って問題ないだろう。
最後にヨーロッパであるが、表11を見るとアフリカ同様圧倒的に基底ハプロタイプはAばかりである。
図4を見るとA2aが一番多く論文内にもヨーロッパ全体の64.85%に上るとある。他にはA4とA1aがありBはB3aがあり、図5を見るとイギリスはマイナークレードであるA4aがウェールズで1.44%の様だが、基本はA2a4であり、死者数が多い理由も理屈が通っている。
スペインが全部のB3aをというか基底ハプロタイプBの3.74%が論文内でも書いてあるとおり全てスペインだということが驚きである。更に死者数が2万人超えなのを見てもこの株も強毒性と捉えるのがよいのか迷うところだ。しかし、5-1「考察」で紹介した「Dominant SARS-CoV-2 strain A2a binds more easily to ACE2 receptors」の論文の中に「イギリス、アメリカ、スペイン、アイスランド、コンゴ、ブラジルなどの他の国でもA2a株が圧倒的に多い」と記載があり、その中にスペインが含まれている。どちらかが古いのか?間違いなのではないかとも考えられる。そして、A2aの上書き機能を考えると日本の様にA2aが第二の波でB3aは第一の波なのではないか?とも取れるのだ。スペインだけはこれからももう少し調べてみる必要がある。
そして、この論文では分からなかったイギリス、スペイン、イタリア、フランス、ベルギー、ドイツなど以外の感染・死者数の少ないクロアチアやスロベニア、ノルウェーなど他のヨーロッパの国のハプロタイプが明確に分かる資料を探し、その違いがわかるならば世界のSARS-CoV-2の感染・死者数の差の一番の原意は変異体の違いによると結論付けて問題ないだろう。
後調べるべきはアフリカの様に封鎖したのがどのタイミングかというのでも、バチカンやグリーンランドの様にSARS-CoV-2自体が入ってきていない可能性も考えられるのだ。
6.結論
私は日本が世界に比してSARS-CoV-2の感染者と死亡者が低いのは感染力と毒性の弱いA3かA1a型が流行しているためであると結論付けるのである。
しかし、これで安心で、このままA3かA1aが淘汰されるのを待てば全て解決するというわけではなく、一番恐ろしいのはコロナクイーンの上書き機能であり、ゆくゆくは日本もコロナ開国しなければならないので、海外から必ずコロナクイーンが入ってくるタイミングがあるということなのである…
それは今世界各国で行われているA2aの治療薬とワクチンの開発が早ければ、日本は勝てるだろうが、それがなかった場合、おそらくNYC、イギリス、イタリア、スペイン、フランス同等あるいはそれに近しい状態を迎えなければならなくなるだろうと予測するのだ…これは台湾、韓国含むアジア圏やまだA2aが入ってきていない西欧列国も同じであるのだ…
そして、今日本で塩野義製薬などSARS-CoV-2ワクチンを開発してるが、A3かA1a株のものを作っても余り役に立たないだろう…作るならばA2a株のものにすべきだ…しかし、アメリカのJ&JやドイツのファイザーなどはA2aのものを作っているので、安心といえば安心なのである。
今この様な現状を踏まえ日本はまた時間と猶予を与えられたのである…
それまでに準備しなければならないものは何なのか?
・医療物資の拡充
マスク、防護服、消毒液、PCRなりLAMP検査の試薬、人工呼吸器、ECMOの増産であり、ICU対応ベッド(かなり重要)など
・医療従事者の拡充
ICU対応が出来る医療従事者、PCRなりLAMP検査の試薬と検査技師など
・隔離施設と病院の拡充
SARS-CoV-2専門病院を指定あるいは新築、専門感染者隔離ホテルの指定、自宅待機の撤廃など
・保健所の人員拡充
・新システム開発
医療物資の分配システム、感染者管理システム、経済補償や特別給付金の配布システム、学校や企業のテレワークなどなど
・経済補償と倒産企業の支援
・国民の自殺や他殺に関するケア
などがあげられよう。これらを整備し、準備しておかなければコロナクイーンが蔓延したらあっという間に数万超えの死者が出るだろう…
しかし、残念ながら日本はA3かA1aが終息したら一気に気を緩め、日本政府はこれまで全国民に10万円支給したりした経済の落ち込みを何とかしようと全く省みなくなるだろう…
最悪な場合、その金と集中力をオリンピックにまわす可能性も高いのだ…
更に恐らく第三波でコロナクイーン(A2a)が入ってきても、第二波のA3かA1aと同じ対応をするだろうから満員電車や三密会議室などで相当数の死者を出すと予測する…コロナクイーンの感染力の強さは満員電車などではそうとう数を感染させるだろう…
今までの流れなら現与党と安倍が変わらない限りその道を歩むのは想像に難しくはないのだ…
まぁ今できることはコロナクイーンと現在進行形で戦っているNYCやイギリス、イタリア、スペイン、フランス、ドイツの智恵をどれ程生かせるか?が重要なのは間違いないのだ!
そして、言えるのは日本国内における経済活動を止める緊急事態宣言は早急に解除し、第三の波に向けて如何に企業と人を生かし、国費を使わず温存するのか?が今最重要なのは言うまでもない。
日本のSARS-CoV-2がコロナクイーンでないことが分かったことにより、早急に対応しなければならないことが分かっただろう…
私が思う日本のSARS-CoV-2の戦いはこれからが本当の始まりとなる可能性が高いである…
としてこの文章を終えるものとする…