【2023年読んで良かった本】 書籍「勘違いが人を動かす――教養としての行動経済学入門」
行動経済学の書籍は個人的に興味があるのもあって、ちょくちょく買って読むのですが「お!これは、行動経済学の決定版では?」と感じた良書だったので紹介するとともに、この書籍でもメインテーマに挙げられてて共感した
「ハウスフライ効果」
について書いてみたいと思います。
※私の記事はゲーム開発関連に紐づけて記述しているのでちょくちょくゲーム関係と紐づけて書かれています。
ハウスフライ効果とは?
めちゃくちゃ要約すると
小便器の的を作ったら、「飛び散って掃除が大変…」という課題がそんな些細な方法で改善した。という話からハウスフライ効果(イエバエ)にちなんでつけられた効果です。
良書である理由
行動経済学関連の書籍では様々な認知バイアスを使った行動心理について取り扱われているが、究極的にはハウスフライ効果のように「小さなアイデアが人の行動を変化させることが出来る」というところがお気に入り。
ただただ、認知バイアスを羅列して実験結果を語られるだけではなく、人に行動を起こさせる上で最良の結果を導き出して世の中を良くしようという信念に共感した。
思った以上に書籍のボリュームもあり
認知バイアスについてかなり網羅的に記述されているのと
今まで読んだ書籍には記載がなかった認知バイアスなども複数知ることができたので、今後も辞書的に読み返すならこの本って感じで扱おうと思います。
(ちなみにまだ一通り読み終えたばかりなので、メモしたところを数日かけてこのあと復習しようと思う)
宮本茂氏の言葉
「アイデアとは複数の課題をいっぺんに解決するものだ」
と
確か言ってた気がしますが要点は同じことを言っているのではと思考をリンクさせて読んでいました。
小さなことで大きな課題を解決する。
アイデアとは本書で扱われているような認知バイアスや行動心理を利用し
人の行動を導くことにある。
シンプルであればあるほど、スマートに課題にアプローチ出来る、スマートに解決できれば出来るほど人は意識せずに行動を起こせる。
ゲームであれば人に行動してほしい誘導が可能となり、面白さの妨げになる不要なものを極力減らしてゲームに没頭させることが出来る。
ゲームにおいても、ハウスフライ効果を見つけることは
企画の最重要ポイントであるといっても過言ではなく
こういった目指すべき焦点である「言語化」が難しい問題をこの「ハウスフライ効果」という言葉として明示されていたことで腹落ちできたことが最大の収穫でした。
ナッジとスラッジ
ナッジ
スラッジ
本書で記載のあったナッジとその反対語であるスラッジという言葉が言語化として今後利用したい言葉だったのでピックアップしておきたいと思う。
このナッジというのがハウスフライ効果を生み出す仕組みのことを指すとおもうので、「ナッジ」という言葉を共通言語としてより良いアイデア、企画、課題解決を目指すと良さそうです。
アイデアとか企画とか非常に良し悪しが抽象的になりがちなので
目指す指標としてのナッジがどれだけ機能しているのか
というのを定量的に判断するのも良いかもしれない。
認知バイアスは社会の中で十分に活用されていない
書籍の最後に記載があった、まだまだ社会実装されていないという著者の言葉。
同感であり、認知バイアスを活用しよりよい社会を作っていく
よりよいプロダクトを作るために私達はもっと活用すべきであると感じた。
認知バイアスを知ることは人間の行動がいかにして非合理的に行われているかを知ることでもある。
自分を律することにも活用できるし、人を動かす、社会を良くすることにも応用可能。またその逆も然りではあるが。。
どんな行動原理で人が動いているかを知ることは、社会に仕掛けられた様々な認知バイアスの罠を回避し、よりよい行動を自分自身で決断することでもある。
ゲーム開発におけるテクニックでは多くの認知バイアスを利用した人を動かす技術が利用されているが、人を欺き搾取するような不誠実なことに利用するのではなく、より価値を生み出すため、より人の行動変容をサポート出来るようなナッジを見つけられることが理想だと感じます。
ということで今回は書籍の紹介とつらつらとハウスフライ効果について書いてみました。
行動経済学を学ぶにはもってこいの書籍なのでもし勉強を始めたい方はおすすめしておきます。
ゲーム開発者としてもプランナーなら読んで損はない1冊です。
今回は以上です!