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女子バスケットボール日本代表の復活への5つの要素

前回の「女子バスケットボールは死んだのか」という記事で今の日本女子バスケットボール日本代表に足りないものをファンの目線から考えさせていただき、記事にさせていただきました。


では、これからの日本代表はどう進んでいくのが良いのでしょうか?


今回の記事ではそのあたりを掘り下げて5つの要素を挙げてみたいと思います。



①脱3P依存


東京オリンピックから今回のパリオリンピックまで女子バスケットボール日本代表を象徴するウィークポイントと言えば間違いなく「3Pシュート」だったと思います。


当然対戦国もその脅威を感じて徹底的に日本の3Pシュートを抑えに来ましたね。


その3Pシュートを効果的に使って銀メダルを取れた東京オリンピック、逆に徹底的にマークされて敗れたのがパリオリンピックだったと思います。


この3Pシュートというものは身長が他の国ほど高くない日本にとって大きなアドバンテージとなっており、日本代表はほぼ全員が3Pシュートを高確率で決められるという大きなメリットを持っています。


と、こんなに良いことが多くて日本の強みである3Pシュートに頼らないバスケットボールこそが今後の女子バスケットボール日本代表の躍進につながると私は思うのです。


もちろん、3Pシュートを打たないというわけではありません。


打てるときは打って、打つ必要がない時は打たない。そこのバランスを改善する必要があるのではないか?私はそう思うのです。


今の日本代表は3Pシュートに自信があるがゆえに点差が離れたり、少し難しくても3Pシュートへこだわっている感じがします。


でも、冷静に見つめ直せば全然2点でもいい場面だったり、まだそんなに焦る必要がないのに3Pシュートを打って、外れて、リバウンドを取られて終わり。そんな展開が多い気がするのです。


この10年間ほどで日本の3Pシュートのレベルは劇的に上がりました。



なので、この3Pシュートを中心にチーム作りをしなくても、どこから、誰でも決められるというアドバンテージは失わないと思うのです。



逆に3Pシュートに依存しているからこそ、相手は守りやすく止めやすい状態に陥っているのではないか?


今回のパリオリンピックを見ているとそんな感じがしたので脱3Pシュート“依存”をまず進めていければまた新しい日本代表が見れるのではないかと思います。

②メンバーのリセット


今回のパリオリンピックに臨んだ女子バスケットボール日本代表は史上最強だったと思う。


もちろん、各々いろんな意見はあったと思うけど“ほぼ”ベストメンバーと言っても過言ではなかったと思います。


レジェンド・髙田真希を筆頭にWリーグ王者の富士通レッドウェーブから町田瑠唯と宮澤夕貴、林咲希OQTで活躍した宮崎早織、山本麻衣。


誰が見たって現状のベストメンバーに近かったと思います。


もちろん、リーグ得点王の渡嘉敷来夢などが選出されなかった点もありますが、ほとんど上から順に選手を選ぶとこうなるという代表だったと思います。


でも、、、これからはこの選び方では駄目だと私は思います。


今回の女子バスケットボール日本代表は個々で突破口を広げられるエース的な存在は少なく、チームで戦うといった印象でした。


突出した選手がいない日本にとってその戦い方は当たり前だと思いますし、全員が脅威になれるメリットがあります。


反対にそこを守りきれる相手からすると全員が脅威ではなくなってしまうのです。


少し男子に話を移すと、パリオリンピックバスケットボール男子日本代表で脅威になったのはロサンゼルスレイカーズの八村塁、そして、出場時間機会は少なかったものの、富永啓生の3Pシュートもやっぱり相手からすると警戒せざるを得ない状況でした。


そこに河村勇輝が活躍するんだから各国は日本に手を焼いたと思います。


でも、女子日本代表って誰に警戒したらいいの?


ここがはっきりしなかったのが今回のチームだったと思います。


本当は山本麻衣選手(残念ながら初戦で負傷して1試合のみの出場)や町田瑠唯選手がその可能性を秘めていましたが、秘めたままになってしまいました。


それはチーム戦術とメンバー選考への偏りが大きかったと思います。


特にガード陣は飽和状態でお互いがお互いに気を使いながら自分の100%を出せないそんな印象でした。


なので、今後のチームは「バランス」と「はっきりした」メンバー選考をしてもらいたいです。


「この人はゲームメイクを期待されてるんだな」「この人はリバウンドとディフェンスだな」「この人はベンチからのエネルギーだな」といった感じで分かりやすいメンバー選考こそが重要だと思います。


その為には今の最高のメンバーを一度リセットしてフラットな状態での代表チーム作りをしていかないといけないと思います。


実力だけではなく、ここは足りないけど、ここは彼女がいる、ここは素晴らしいけど、この不安は彼女でカバーするそんなメンバー選考をしてもらいたいし、そういう監督になることを期待したいですね。



③インサイドとアウトサイドのバランス


今回のパリオリンピック、女子バスケットボール日本代表のコンセプトは「走り切るシューター軍団」というシュートを多く打って、ディフェンスですぐさま戻ってみたいな意味合いが込められていたと思います。


でも、実際はシュートは不発、ディフェンスも相手の速さについていけず力負け。


私はこの大きなマイナス点に注目してみました。


相手のプレッシャーがあったからシュートが入らなかったのか?


でも、彼女たちは東京オリンピックで世界を経験して、OQTというものすごくプレッシャーのかかる試合を乗り切っているし、もっと言えば本当にシュートの上手い選手ばかりでした。


なのに全然入らない、チグハグなプレーの数々。


私はこれについてインサイドとアウトサイドのバランスの悪さが問題だったのでは?と思うのです。


今回、ガードポジションの選手が多く選出され、山本麻衣選手などはSG扱いで起用されていました。


確かにシュート力があってタフショットを決められる彼女ですが本職はPG。


自分でゲームを組み立てて、流れの中で3Pシュートを決めて乗っていくタイプの選手なのです。 


もちろん、代表で違う役割をこなすことはよくあることなのですが、本来の一人でチームを任せられる選手、宮崎早織選手や町田瑠唯選手や本橋菜子選手などガード陣は豊富。


しかも同時起用も多く、ガードポジションとの間でのパス回しが多く「誰がいくの?」「誰で行くの?」そんな状態が多かったように思います。


そして、「走り切るシューター軍団」ということで「シューター」って聞くとやっぱり外(アウトサイド)から射抜く選手をイメージしますよね?


でも、シュートって3Pシュートもあればレイアップもあるし、フックシュートやダンクやタップシュートなんかもあって多くは2点のシュートであって、もっともっとインサイドでの得点が必要だったと思います。


「シューター」というイメージにどうしても囚われてしまった印象があった今回の日本代表。


結果的に外に、外に、誰が、誰が、迷い、迷いになってものすごくギクシャクしてしまった気がします。


もともと外からのシュートは上手な日本代表、今後はもっと中の意識を増やしてバランスを取り戻してもらいたいですね。

④リバウンド


今回のバスケットボール女子日本代表「リバウンドの意識」は高かったと思います。


なぜなら、自分たちは他の国よりも小柄でリバウンドで不利になることは分かっていたし、ここのセカンドチャンスを繋げないとシュートが決まらないのも明白でした。


でも、、、それでもやっぱり小さかったし、届かなかった。そんな印象です。


でも、この課題って日本代表の平均身長が急に15cmも伸びることなんてないので永遠に続くと思うのです。


「全員リバウンド」これって問題解決になっていないと思うんですよね。なぜならこれは当たり前だからです。


世界各国、リバウンドをおろそかにしているチームが勝てるわけもありませんし、日本だって当然意識は高いです。


でもね、今回の日本代表は本当に小さい。小柄。なんなら全員ガードポジションに近いメンバー構成で、リバウンドを得意としている選手も多くはなかったですよね。


しいて言うならリバウンドでインパクトのある選手といえば赤穂ひまわり選手ぐらいで結局ここでも全員でリバウンドにはいくものの、「リバウンドって誰の仕事なの?」っていう疑問も出てきますよね。


全員・・・誰もさぼらないけど、誰がさぼっても問題もない。このあたりの曖昧さが今回の代表では気なりました。


今回のバスケットボール男子日本代表でリバウンドといえば、ジョシュホーキンソン、渡辺飛勇、ジェイコブス晶、八村塁あたりが任されていて、任された上での全員の意識で渡辺雄太や他の選手も絡んでいくという感じで「リバウンドは君(達)に任せた!」と言わんばかりに託されていた気がします。


女子はそのあたりが“全員”というよく転べばいいけど、結局は曖昧になってしまった気がします。


今後はリバウンドをはじめとして、どの選手がなんのために代表に入って、何を求められているのかはっきりわかりやすいチームにしてもらいたいですよね。


ファンでも分かる、素人でも分かる多分、見ている側がそんな印象を受けるチームはきっと強いし、あっと言わせる結果を出せるのかなと思います。



⑤若い選手への期待


最後は②でも提案したように、メンバーのリセットに近いのですが、若い選手の出現です。


今回のパリオリンピックは前回の東京オリンピックと同じく、最年少が東藤なな子選手が一番若い選手となりましたね。


もちろん、それだけ層が厚いのは良いことなのですが、やはり若くフレッシュな力も必要だと私は思うのです。


もちろん今後、この東藤なな子選手や山本麻衣選手が中心となりそこにベテランの実力者が並ぶと思います。


でも、若い選手も是非ともここに入ってきて欲しい。


ENEOSサンフラワーズの「田中こころ選手」や「八木遥香選手」、そしてWリーグにはまだ入っていないけど、「絈野(かせの)夏海選手」なんかは既にトップ代表候補に入っている選手で期待は大です。


でも、私が最も注目しているのはシャンソンVマジック所属の「堀内桜花選手」です。


スピードに乗った時は現代表の宮崎早織選手の様に早く、パスの独創性は町田瑠唯選手の様になれる可能性もある選手です。


もちろん、今から沢山成長してもらわないといけませんが、このあたりの選手たちが入ってくるとまた代表争いも楽しくなってきますね。



今回、パリオリンピックでの試合をいちファンとして見ていて「もっとこうなってほしい」そんな気持ちばかりが残った大会でした。


きっと現場で見ていて実際やっている感覚とただテレビで見ている感覚って絶対違うんだろうな。と思いつつも、ファンだから見える部分っていうのもあると思うんですよね。


誰にも気を使わないからこそ言える事。純粋に感じたことをこれからも伝えていこうと思います。


女子バスケットボールはパリオリンピック確かに3連敗で終わりました。でもそれが東京オリンピックでの銀メダルを否定することはありません。


バスケットボール女子日本代表はオリンピックで銀メダルを取れる力が間違いなくある。


また強くなって世界をびっくりさせる!そう信じていちファンは時に喜び、時に厳しく、そしてまた最高の笑顔を見れるように応援していきましょう。




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