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しつこくエージェントに夢を見る三十路男

MacOS X 10.1 の発売も近づいたこの時期。まだまだOSの出来がどうなんだ?っていう時期に、渋い話題に飛びついているオレ。

話を簡単にまとめると、世の中機械と機械が通信することを真面目に考え始めて、そのための仕組みとしてSOAPというやりとり方法が今のところ有力だぞと。そしてこれに対応することで、AppleScriptがより良い使い勝手を手に入れようとしているみたいだぞ、という期待に満ちていたことです。

20年後の未来からみると、えーとなんのことやら、ということになるんだけど、この時期はまだ2000年代初め。90年代にぼやっと火のついたネット上に自律的に暗躍するエージェント、という技術にみんな夢を持っていた時代なのです。自動化という言葉が連想させるのも、自分のマシンに閉じての話ではなくもう少し外の世界とのインタラクションなどを自律的に行うもの。自分のマシンだけで生きるのではなく、ネットの世界に偏在する存在、そして目的を達成したらオーナーのところに戻って知らせる、みたいなイメージだったんですよ。

なんのことはない、いまでいうWebサービスを駆使してスクリプトを実行することで似たようなことは実現できるのですが、なんかそれって巨大なRPC、リモートプログラム実行の連携でしかなくて、オレがやれって言ったことを便利なスクリプトが健気に実行してくれる、というぐらいな感じなんですよね(あくまでイメージw)。

このイメージの元となったものが明確にあって、それがGeneral Magicのモバイルエージェント技術なんです。ホワイトペーパーがあったので貼っておきます。

これについてはまた別の機会に詳しく書きたいと思ってますが、極端に簡単に言えば、プログラムを相手に送りつけ相手のサーバー上で実行し走り続け、目的を達したら帰ってくると。それを実現する技術、サービスの総称のことです。セキュリティのことを考えたらなんとも物騒な話なんですが、その辺はもちろん本当のバイナリー実行コードではなくスクリプト、限られた動作しかできないもの、という文脈での実行環境です。

ちなみに、このホワイトペーパーが置いてあるサイト、あのAppleWatchのKevin Lynchの個人サイトなんです。彼もGeneral Magicにいた一人。

https://www.linkedin.com/in/kevinlynch2

あらためて、すごいメンバーが揃っていたプロジェクトなんですねー。このGenral Magicについては、前にPodcastの方で中の人だった @JavuJavu さんに詳しくお話を聞いております。こちらもぜひ。

さて話が盛大にそれました。SOAPなんて技術、いまではあまり耳にすることもありません。まぁ、エンタープライズの世界の片隅ではいまだに使われているのでしょうか?知りませんが。XMLもJSONにその場を奪われ、いまではほとんど見かけることも使う必要もありません。時代は流れてます。

肝心のMac OS XはSOAP対応で何かいいことがあったのか?これも僕は詳しい事例を知らないだけなのかもしれませんが、末端のユーザーレベルで何かの恩恵に与ったということはありませんでした。もちろん、最初からこれはビジネス向けの機能として始まっていることだとは思いますが、連載で夢見た通りこれで世界とのやりとりが簡単になるのでは!?という方向には全く進みませんでした。

OS Xは、むしろセキュリティの観点から外部とのやりとり、外部からのアクセスの遮断、プロセス間での通信の制限、ユーザーパーミッションの導入など、さまざまな制限を加えるようになってきて、気楽に夢見ることさえ不可能な環境になっています。

基本的には、それはいいことなんですけどね。ちょっぴり寂しいね。

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