20年前を振り返る。OS Xの発表から公開ベータまで。
どーも、バスケです。以前MacPowerで連載していたコラム「バスケの言い分」全52回をnoteにアップアップし終わりました。20年前、ちょうどMac OS Xが出る出ないの時期。僕も30代の初め、血気盛んな時期。なかなかプログラマとしての鼻息も荒い時期。さて、ちょっと振り返りかえってみましょう。
初回はね、まぁ、まず言いたいのは文体が固い。硬派。オレは〜とか、普段使ってない感じw。明らかに、師匠である藤本さんの影響。
まぁ、そこはスルーしてあれですね、今となって注目したいのは、新しいものが流入してくることへの恐れですね。NeXTが来るぞー!っていうかなりの恐怖が観て取れます。と、同時に、Steve Jobsへの不信感もまだありますね。その後若くして死んじゃうとか知らないし、iPod、iPhone、iPadを生み出すことをまだ知らないオレ、まだ彼のことを奇抜なアイデアで窮地を凌ぐセールスマン!ぐらいにしか理解してなかったのかなと思います。
我々Newtonユーザー、この時期はまだSteve Jobsがアップルに戻ってナタを振るった最初の仕事の一つ、Newton, Inc.を潰してくれたよな、おい、というぐらいの気持ちを引きずっていて。はい。悪感情が先に立っていたのは確かです。
数ヶ月後のExpoでの感想を語っている。まだまだ仕様が変わる可能性があるぞ、ということを熱く語っている。が、いま振り返ると、というかその後の経験を積んだ自分が考えると、この時期になにかユーザーに言われて変えられることはないだろうなぁと。
いや、無駄になったとは思いません。ただそんなにすぐにフィードバックはされないよなぁというのは、いまとなってはわかります。ここで得たユーザーからのフィードバックは、もっと先の10.2ぐらいに身を結んだんではないかなぁと。全体的にまだまだ文体が夢見る20代だなと、感じます。まぁ30過ぎでしたが。
という状況を踏まえてのこの回。自分で読み返しても良いことを言ってると思う。30そこそこのオレ、ちゃんと考えていたな、よし、オレ。
ベータ版がユーザーの手に渡る道筋ができる、というのは一般にオンラインで流通していたソフトを考えると、ベータでの公開とかはそんなに特別なことではない時期だったと思います。フリーウェア、シャアウェアなどが流通した90年代、ネット分化を支えたパソコン通信、初期インターネットのユーザーの間では、完成前にユーザーの意見を聞くために未完成、テスト不十分な状態で公開することはまだ多かった時期だと思います。
ただそれはあくまで末端に流通するソフトウェアレベルのこと。Mac OSレベルで世間に行き渡ったものが行う手段としては結構画期出来な出来事だったと思います。
そして時代はまだSNS時代の前。自分も業界として関わっていたから悔しいながらもあえていうけど、はてなとかMixiとかまだ生まれる前。ブログという言葉も仕組みもまだ生まれる前。趣味人が掲示板やら自分のホームページで意見を述べていた時代。大手メディアがネットの情報を取り扱うなんてほとんどなかった時代。そんな時代だからこそ、ネットで得られる情報というのは今以上に重要で影響力が(一部には)あった時代。
そんな時に、そういうところに発言できる一部の特権を持ってる人が、否定的なことをいう影響力を恐れたんでしょうねー。やっぱ、開発者なんですね、オレは。そこでお金をとって商売しているものが使いにくくても、その先を見てくれ、今判断するなって。今じゃない、まだ早いっていうところがあったんではないかと思います。一般消費者に向けて書いてるようで、うちわ向けのメッセージだったのかなーと。
まぁ、その後の連載ではずっと最前線で文句を言い続けていたので、なんでしょうね、まぁ、まずは走り出す子を野次るのは止めようぜ、という感じなんでしょうか。まずは走らないと先がないよちよち歩きのOS Xを、ぐちぐち責めても先はないぜと。まずは走ってからよと。そういう感じだったのかなーと。
アップしてるあいだ、このあとの連載を久しぶりに自分で読んでみて、あぁ、あんとき考えていたことが今の自分の実になってるなぁとか、全然見当違いだっのかなぁなどといろいろ思い返されました。
というわけで、アップし終わった連載の20年後の振り返りを、これから何回かやっていきまーす。バスケでした。