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コルネット、トランペット、フリューゲルホーンの話

河野企画代表、チューバ奏者、指揮者、金管バンド専門家、英語通訳、企画運営の河野一之です。今日はコルネット、トランペット、フリューゲルホルンの話

コルネット(C)、トランペット(T)、フリューゲルホルン(F)は書くまでもないがそれぞれ全く違う楽器だ。出自も全く違う。





でも世界中、多くの場合同じ奏者によって兼任されることが多いためその違いは音色や吹奏感のみで説明されることが多い。

僕はチューバ奏者なので吹奏感については事細かにはわからないけれども、例えば管の全長がほぼ同じである一般的なC、T、F(全て変ロが基音)

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何が一番違うかといえば

・ベルが朝顔状に広がる管の長さ=ベルの大きさ

が見た目の違い通り全く違う。

大雑把な説明をすれば

全長の1/3が円錐状=トランペット
全長の半分=コルネット
2/3=フリューゲルホルン

と言う風に言われている。

チューバにおいてもその材質にもよるが、管の長さは同じ=調性が同じであっても管の太さ、ベルの大きさによって吹奏感や音色は全く異なるのと同じだ。

それがより管の短いC,T,Fで起きているわけだからその吹奏感や音色の違いが出やすいのはよく理解できる。

しかし、金管バンドにおいては全くの別物の楽器として扱われる、それはまるでオケでいうヴァイオリンとヴィオラのように与えられている役割が全く違うからだ。

小学校で金管バンドを体験していたり人生初金管楽器に触れる機会が金管バンドであるならば話は違うが、日本では多くの場合コルネットやフリューゲルホルンを人生初めて吹くよりもトランペットから吹き始める機会の方が圧倒的に多い。

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また吹奏楽大国の日本では、

現在の金管バンド演奏者の90%が吹奏楽と兼任または吹奏楽経験者によって構成されている僕もそうだ)

それゆえ奏法や音のイメージの基準がトランペットの奏者がとても多い。さらにいきなり自分での奏法や音色の確認もしないままトランペットからいきなりコルネットを演奏してしまうため音色や奏法を見直す時間もない。

でも金管バンドにおいてはまずトランペットパートがなく、

コルネットやフリューゲルホルンのパートは(例外的なマーチを除き)完璧に分けられている=独立した役割を与えられている。

1000人入るホールで遠くからみた時に我々弦楽器素人からみたらヴァイオリンとヴィオラの大きさの違いがあまりわからない、でも役割は完璧に別れていてヴァイオリンでヴィオラのパートは弾かないしその逆もしかりだ。

でも金管バンドでは多くの場合コルネットの奏法や音色の研究は軽視されている。トランペットと同じ要領でも”音”は鳴るからだ。

音色というのは身体の構造でも変わる、でも僕の持論は

音色の一番の違いは頭の中のイメージだ。そのイメージ通りに身体は勝手に数ミリ単位の動きをしてくれ管に共鳴させる息を変える。

何度も何度も憧れるコルネット奏者、フリューゲルホーン奏者の音色を聞きコピーし真似し繰り返していくしかない。

英国ではもちろんそれぞれの奏者が持ち替えて演奏することもあるけれど、英国の音大ではコルネット科とトランペット科は全く別の分野だし、フリューゲルだってそうだ、それぐらい独立して考えられている。まず教師も専門にあてがわれている。

色々な音色があって良いと思うけれど、もし自分たちのバンドの説明欄に英国式ブラスバンドと名乗るのであれば金管バンドで大多数を誇るコルネットやフリューゲルホーンの音に関してはそれぞれの奏者の研究は必要だ。

決してトランペットの延長線上ではなく、独立した全く別々の楽器と考えた方がいい。もちろんバリトンやユーフォ、EbベースとBbベースについてもだ。

なぜかというと延長線で演奏してしまうとCでもFでもちゃんとトランペットの音がしてしまうからだ、それぐらい人間の脳や身体は高性能だ。

具体的な方法はあまりないと思う、コルネットの音色の秘訣は?なんてあったらもうすでにArbanに書いてあるだろう。

でも一番はT&C&Fは違う楽器だとはっきり認識し、頭の中に鳴らせるCやFの音を具体化して練習を続けていけば身体が自動で変わってくる。

日本人だって岡本さんをはじめ素晴らしいコルネット奏者たちが英国からのアーティストたちに、「素晴らしい、英国の音がするね」と言われる音色を披露してくれている。なので日本人でもできる

金管バンドの文化がこの国に本格的に広まってから約半世紀、そろそろ金管バンドの音色について、特にバンドで必然的に一番多くいるコルネットの変革が楽しみだ。

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まとめると

・コルネット、フリューゲルホーン、トランペットはそれぞれ全く違う楽器
・金管バンドにおいては全く異なる独立した役割を与えられている
・音色は頭の中に鳴っている音が鳴る
・奏法を考えると迷子になるので、音のイメージを超具体的にする

これでかなり変わると思う。チューバ奏者だってこうやって音色を変えられる。

寒くて手を温めるときにフーッと早い息であたためないでしょ?自然とゆっくりハーって息を出すでしょ?これは方法じゃなくて温めたいと願ったからそういう息を自然と使ったでしょ?

早く走りたいと思ったときに身体のなんの部位を何センチ動かしてとかじゃなくて早く走ってるイメージが湧くから身体が勝手に動くでしょ?

音のイメージを強く持てば身体どうにかそれを具現化しようとする。一度でできなくても持ち続けていれば声真似と同じでだんだん似てくる。

ぜひ何度もやってみてほしい、そんなコルネットやフリューゲルホーンの音色が母国で増えるのを楽しみにしている。


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