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防音室が欲しい!30代半ば独身が中古マンションを買うまで①

コロナ禍明け、特に2024年は、何かにつけ値上げ値上げで、正直言い知れぬ危機感を持っていた。
現在正社員勤め、給料の昇給はいわゆる平均的な数値で毎年あるけれど、それを凌ぐインフレ。インフレ自体は経済的にはいいこと(むしろ今までが異常だった)と思うものの、電気代ガス代食費はもちろん、家賃も次の更新で値上げになってしまうかもなぁ、生活が苦しくなるのは嫌だなぁとぼんやり思っていた。
そんな私が2024年夏に検討を始め、ついに中古マンションを神奈川県内に購入した。これからリノベーションに入るのでまだ書けない部分も多いが、どうしてその結論に至ったのか。備忘録も兼ねて、また同じような境遇にある方の参考になればと思い、まとめていこうと思う。

きっかけ

きっかけは幾つかあって、それがたまたまこのタイミングで噛み合った感じがする。

  • コントラバスを習い始めて1年。ジャズの勉強を始めて2年弱。今までサイレントベースで賃貸で練習していたが、いつかは本物の楽器を買って思う存分弾きたいなぁ、と思っていた。しかしあの大きい楽器を今の楽器不可の通常賃貸で弾くのは無理だし、かといって音大生が借りるような賃貸はどうなんだろうなぁ、という漠然とした思い(※参照)

  • いつか猫を飼いたいなぁ、という漠然とした思い。賃貸は限られてくる。安いととても古い物件か、新しい物件だととても高い

  • 親が既に定年を迎えていて年金生活をしており、兄弟もおらず、親戚は縁遠く、もし次に引っ越すときに連帯保証人はどうしたらいいんだろうかという不安があった

  • 貯金が全くないわけではないが、趣味の音楽や旅行に使ってしまうので、現時点で何千万もあるわけではなかったため、老後に向けての資金繰りに不安があった

  • 保険も20代の頃から掛け捨てのものに入っているのみで、働けなくなった時にひとりで家賃を払えるのか…という不安もあった

  • 実家は田舎の木造一軒家築約30年、既に資産価値ゼロ。戻るつもりもない

※参考までに、「楽器可」物件といっても楽器の種類が問われることはよくある話で、コントラバスは階下に音が響くので、ドラムと同じくらいに厳しい。よくよく確認すると1階の部屋のみ可だったりすることがよくある。数少ない賃貸を探す日々だが、頭を抱える…

理想の間取りと広さと立地!が、管理費込みで19万は予算オーバー…
賃料+管理費込みで8万以内は良い感じ!だが、22平米…(現在の賃貸は31平米)

また、ミュージションという防音賃貸マンションシリーズがある。これがなかなか良さそうで、音楽をやる人だけでなくゲーム実況youtuberなどの需要もあり、ウェイティング登録をしていてもすぐに埋まってしまう。立地も駅近ばかりだし建物のデザインもいけてるので納得である。が、こちらもやっぱりお値段が…妥当ではあるが、決してお手頃ではない。ペットは不可(それはそう)。

そして上記ミュージションを手がけている不動産会社が、ワンストップ型リノベーション事業もおこなっているという。ここに依頼して、手頃な中古マンションを買って一室を防音室にしたらいいのでは…?と考え始めた。

けど、独身でマンションを買ってしまったら色々終わってしまう気がする

そういう「余計なお世話」イメージ。正直私はあった。結婚を諦めちゃったのね…という感じがするし、実際付き合いの古い友人からはそう言われた。そうは言われても、結婚なんて相手があってのことだし、人の気持ちなんて一晩で変わるし、過去に色々あったし…といじけそうになる。
また、楽器で食べているプロでもないのに、何百万もかけて防音室を作る?やりすぎじゃない?とも思っている(今も)。それは楽器可賃貸に引っ越す場合にも言えることだけれど。
が、会社の友人(独身)が3年前に中古マンションを買っていたことを思い出し、とりあえずイメージではなくてきちんと勉強して、損か得か、自分が何を大事にしたいのか、タイミングは今が適切なのか、色々整理した上で、ずっと賃貸に住み続けるのかマンションを買うのか、決めよう。納得できる答えを探そう。という落とし所に。
だってせっかくある程度大きい会社で正社員で4年以上働いている。先述の会社の友人も「ローンで金利最優遇されたよ。使えるものは使わないと〜」と言っていた。それはそうだ。いつ転職するかもわからないのだし。

勉強を始めた

まずネットで都内の新築・中古マンションの価格を見ておったまげる。誰が買うんだこんなの。石油王か?一般市民が買えるわけないだろ
日銀による金融緩和やコロナ禍の住宅特需など複合的に絡んだ人為的な不動産バブルだと後に知ることになるが、挫けそうになりながらも中古マンションについて勉強し始める。なんとなく中古マンションに限定していたのは、防音室施工代がかかってくるので、新築ではとても手が届かないだろうとこの時点で察していたからだ。また、都心はもう土地がなく、新築マンションそのものの供給量が減っているらしい(そしてまた値段が吊り上る)。

参考にした本は下記。

番外編として、これは勉強用ではないが、この漫画が本当にとてもとても良くて、家を買うか悩んでいる人の心にそっと寄り添ってくれるので、家を買うにしても買わないにしても読んでみるといいと思う。私は号泣した。

キリがない

金融、建築、税制度などの法律、ありとあらゆる事柄が絡んでおり、家を購入するにあたって学ぶべきことはごまんとある。実際、某大手リノベーション会社に話を聞きに行った際も、「勉強も大事ですけど、個人でやるには限度がありますよ。キリがないです」と苦笑いしながら言われた。
でも何千万円もの、人生で一番大きな買い物だ。できることは全部したい。

勉強してざっくり感じたこと

  • 住宅ローンの金利、低すぎ…?(0.5%〜悪くても2%程度。キャッシングは3〜18%が相場)しかも今が底値で、今後は上がっていく可能性が濃厚。

  • 35年ローンが住宅ローンの最長期間で、完済年齢が80歳未満であることを前提にしている金融機関が多く、35年で組むためには44歳までに申し込まねばならない(けど35年で借りて35年フルで返す人は少ないらしい。みんな退職金などで繰り上げ返済をする)。マンション購入が遅くなればなるほど賃貸料を1年でざっと計算して年間100万くらいドブに捨てていることになるし、早ければ早いほどいいのかも。

  • 家を買うと団体信用生命保険というのに入らねばならないが、普通の生命保険より安い。独身なので生命保険は関係ないや〜と思っていたが、就労不能時に保険で支払いを賄ってくれるものや、がんと診断されただけでチャラになる補償も中にはあると聞き、保険に憂慮を抱いていた私にとってかなり魅力的に映った

  • 管理組合の当番はめんどくさそうだな〜と思っていたが、逆にそういうご近所付き合いが適度にあった方が、50代60代になった時に良いかもな、いつまで健康でいられるかわからないし、資産価値も保てるし、と考えるようになった

  • 中古があまりに高いので新築の方がいいのでは?と思ったが(実際友人の新婚さんも、中古が高いので府中に新築マンションを買ったと言っていた)、新築というのは「新築」ゆえの価格であって、手放す時の値下がり方がエグいとのこと。つまり新築で中古より安い物件は、一度住んでしまったら比較した中古より確実に値が下がるということだ。ヴィンテージマンションでもない限り、新築より中古の方が高いなんてことはないのである。もしそうだったとしたら、立地などの資産価値に対する条件が、新築より中古の方が優れているだけの話。中古の場合は仲介手数料がかかるが、それにしても、終の住処ではなく手放す可能性が1%でもあるのなら、トータルで見て資産価値のある(ここ重要)中古マンションの方が損はしなさそう。逆に永住するのなら、最新設備のある新築の方がいいと思う。床暖がどうしても欲しいとか、内装が気に入ったとか、そういう理由で家を買うのも自由だ。それはそれで素敵な動機だと思う。中古マンションは築年数によってはあと何年住めるかも怪しいのだし。

  • 分譲が得か、賃貸が得か、というのは本当にナンセンス。都心で新しいところにそこそこの値段で住みたいのならむしろ賃貸一択だと思う。①連帯保証人が確保できる、②ずっと家賃を払っていける、③払えなくなったら最終的にURなどで構わない、のような人は賃貸でいい。家を持つと、固定資産税、マンションの場合は管理費修繕費、給湯器などが壊れた場合は自分で費用を持たねばだし、飽きたからと言って気軽に引っ越すことなどできない。全然得ではない。

  • とはいうものの、賃貸なら確かに修繕費や固定資産税はかからないが、「それも含めた家賃」を「顔も知らないオーナー」のために払っている、と考えると嫌な気持ちになる。家を貸す方だってビジネスだ。こっちが損してるに決まっている。小作人が地主のために一生懸命畑を耕して農作物を毎月納めてるようなものだ。

ある程度勉強して時間もできたので、不動産会社に問い合わせてみた

ローン+管理費+修繕積立金+固定資産税を合わせて現在の賃貸の家賃とトントンくらいに収まるよう計算をして、「物件にこれくらい、防音室にこれくらいの金額しか使えないんですけど、ぶっちゃけありますか?」という感じで切り込んだ。今後の昇給を見込んでもう少し予算を上げることもできなくはないが、先述の通り趣味は楽しみたいし、猫ちゃんも買いたいし、老後に備えて貯金も真剣に始めなければならない。永住もあまりピンとこない。となれば売却時の残債割れは避けねばならない。ので、見栄をはらず、現在の賃貸の家賃とトントンくらいがいい。
プロから「そんなに安い物件は存在しない」と言われてしまえばそれまでだ。貧乏人は泣き寝入りするしかない。
担当者は女性の方で、親身になって話を聞いてくれた。予算的に選り取りみどりとはいかないが(私がこの時点で数千万の貯蓄があったらどんなに良かったことか)、都内を諦めれば、ないことはない。欲を言えば武蔵小杉あたりに住みたかったが、高過ぎる。人気のある土地で予算内だ!と思うと、大抵、旧耐震か借地権か20平米代。その土地の平均価格に対して大幅に安い物件は絶対にワケがあると考えた方がいい。

旧耐震?借地権?中古マンションは築何年までだったら買ってもいいの?

というようなことは、ネット上やいろいろな本に書いてあるのでそちらに説明を譲りたいと思う。実際私も、ターミナル駅の目の前の某マンションが古リノベーション済みで綺麗な上予算内で、「絶対にここがいい!」とまで思ったのだが、築55年。マンションは管理次第で100年は保つという記事もたくさんみるけれど、宮益坂ビルディングが67年で解体されたことを考えると…。チキンレースのような心持ちになる。あと、旧耐震は(補強工事がされていたとしても)住宅ローンも通りにくいらしい。お金を貸す方も、いつ壊れるかもわからない物件を担保にはできないと考えるそうで、それはそうだろう。
あとは借地権物件もお手頃だ。が、これもそれなりの理由があるので、機会があれば別の記事で書こうと思う。

長くなったので一旦ここまで

正直、不動産バブルの今買わなくてもよかったと思っている。あと10年頑張って1,000万円貯金して頭金を作って、人口が減少して不動産価格が下がった頃に家を買うのが賢いのだと思う(本当に不動産価格が下がるのか?は諸説ある。1年後ならまだしも10年後のことは予測が難しい)。
が、私はコントラバスを弾くのや猫を飼うことに確証がない中10年も待ちたくはなかった。しかもその10年で頭金を貯金するにしても、賃貸家賃で約1,000万円はドブに捨ててることになるのだ。
何より、これだ!という物件に出会ってしまった(不動産会社に最初に問い合わせてから1ヶ月も経ってなかった)。家はご縁だという。もしかしたらあと半年待てば、予算内でもっといい家が他にあったのかもしれない。それは誰にもわからないことだ。なら、ご縁があったこの家を大切にしたいと思う。
これから行うリノベーションも含めて、めいっぱい私なりの納得のいくお城を作ろうと思っている。自分の思うまま、自分のためだけに、自分のお金で家を作るのだ。楽しいに決まっている。

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