0126 RIP Our Hero -コービーの命日に捧ぐ-
前書き
バスケットボールファンのみならず、全世界の多くのアスリート、アメリカ人にとって1月26日は特別な1日になっているに違いない。2020年1月26日、我々にとって偉大な選手がこの世を去ってしまった。この悲しみをまだ受け入れることができない自分がいる。今年もまだ進めない自分がいます。
ただ、今日という日を健康で迎えられたことをバスケットボールファンは噛み締めないといけない。彼は生きることができなかった今日という日に立っている僕たちは、この時間を、夢中でいられるものがある幸せを噛み締め、感謝しなければいけないのです。
彼が教えてくれたことを思い出す1日にしましょう
バスケットボールへの愛情。彼のキャリア、彼が描いてきた日常でバスケットボールに愛情を注がない日はなかったのです。マンバメンタリティに記されているように子どもの頃からバスケットへの想いは真摯でした。バスケ選手、コーチである父の影響で、NBAにはいることを夢に、超一流の選手でいることを常に目標に、彼の生活はバスケットボール中心に回っていました。幼少期を過ごしたイタリアでの出来事。NBAスターの背中を追いかけていた日々。多くを疑いながらも自分を信じ続けた日々。チームを背負い、アメリカを背負い戦ってきた日々。世代を代表し、更新を育成した日々。彼の生き様は多くのファンの心を動かし、影響を与えてきました。
僕は彼がこの世を去ってから、このコービーの生き様であるマンバメンタリティを題材にいくつもの記事を書いてきました。もう記事にする部分すらないと思いながらも、人生を経験していくと重なるものがありながら、そのメンタリティへの捉え方は若干変わってきます。今年紹介したいのは、『コーチを疑う』という言葉についてです。
コービーがいうコーチを疑うということは、信頼をおかないという意味で疑いではありません。これは、高いレベルでバスケットを捉え、考えを深めていく工程で疑いを持つということです。コービーをコーチングすると彼は人一倍によく働く人間であったと言えると思います。それだけにタイトルを掴みにいくことなど球団のために献身的な姿を見せるところなど、到底人には真似できる領域におらず、誰よりもチームの成功を望んだに違いありません。ポジティブにコーチングに疑問を持つという視野は、コーチとプレイヤーの関係においては非常に重要なことだと思います。ただ、このトピックを語る上で、コービーは誰よりもコーチの知力、知識を引き出し、傾聴し、体現した男だということです。それができて初めて『疑う』ということなのだと思います。
そう。コービーは聞く力に長けていたのです。彼は、学校での生活や勉強は「人の話を聞く練習」だと思っていた。だから、席も一番前に座っていた。と語っています。子どものころからきっと、あらゆるものへの意味を見出して、それを自分のことだと捉えてレッスン(教訓)として日々実践してのでしょう。学校のことだけでなく、本当にあらゆるものに意味を言い出し続け、自分で実践し、自分のものにするストーリーを描いていたのです。彼を見つめていると痛感します。なんてことのない1日。ただ過ごしてしまう一瞬。手を抜いてしまう、そんな瞬間。意味を見いだせない、だなんて言えるはずもないのです。
バスケ指導をしていると、若者は特に簡単に「こんな練習意味がない。」とか、「あいつにそんなこと言っても無意味だ。」とか、そんな言葉を耳にします。そんなこといってもしょうがないとか、僕自身もそんな選手に傾聴しようとか、そんなこと考えながらポジティブマインドへとコーチングを重ねてきたわけですが、コービーの生き様をみていると『他人に意味を求めるほど無意味なことはない』と感じてしまいます。それが、僕も1年歳を重ねた蓄積なのかもしれません。確かに人に委ねてしまうのは簡単です。彼のリーダーシップは多分そんなことも許さなかったと思います。
出来事が起こって、人に結論や意味を見出すんじゃなくて、その出来事の意味を自分自身に捉えさせて、次に進めさせたら?
実はこっちの方がポジティブではあるんですよね。(笑)
自分の人生、ハンドリングするのは自分で。エンジン止めるのも、回すのも自分。ハンドル切るのも自分。じゃあ、何か起こったって自分で意味をつけて自分のレッスンにしていこうぜ。そう思うのです。
彼から学んだことを後世に伝える日にしましょう
このメモリアルな1日。多分、誰かが彼のストーリーテリングをやめてしまえば、これはきっとメモリアルな1日ではなくなってしまう。そう感じています。今はまだ、コービーを見て育った選手たちが現役で活躍している世の中だから、彼の生き様や名前を耳にすることはあるかもしれないです、が、前述の通り、誰かがやめてしまえば彼のメンタリティはそこで死んでしまいます。きっと僕が辞めてしまえば終わってしまう。そうみんなが捉えるところから。
Mamba Respect& Forever
彼のメンタリティ、DNAは多くの選手の中で生きています。それはNBAだけでなく、全世界にも競技を超えて。日本人にとっても決して忘れてはいけない素晴らしい背中を見せてくれました。全世界を魅了するNBAプレイヤーとしてだけでなく、素晴らしい父親としても。そう、触れるべきはバスケをしている姿だけでなく、全てに対して前向きで、真摯で、完璧な姿です。特に以前の記事でも触れた父親としての姿というところは我々日本人も学ぶべきところです。これは父親像とかそういうところだけでなく、若者に対して、いや全ての人に対してといった方が良いでしょうか。
彼は、家族に対しても仲間に対してもその懐の深さを我々に見せてくれました。アンチに対しても。そういった人格についてもしっかりと語り継いでいかなければいけません。
彼の魂を殺してしまうのは非常にもったいないですよね。だから、誰かの心の中で生き続けられるように伝えていきましょう。記憶は風化してしまうから、なかったものにならないようにこの目で見てきた世代がしっかりと見たものを伝えていくことです。
大事なことは「あなた」であること
僕がきちんと後世に伝えたいことは、どんなレジェンドの背中を見ても、コービーを目指して重ねていっても「あなた」はどこまでいっても「あなた」であるということです。Respectは単なる真似事ではないし、一番大事にすべきことは「あなた自身」なのだよ、と。人間は目の前に成功パターンがあるとどうしてもその後ろを追いかけたくなるものです。コービーの生涯はそれほどに眩しく、格好いいです。成れるものならみんなコービーになりたいですよね。でも、本質はそこではないです。マンバメンタリティの本質はそこじゃないはずです。
彼の死は確かに劇的で、それも悲劇的で。彼の死が彼の生涯をより強烈なものにしていることは確かですし、この『死』は本当にMeaningfulであり、人々に多くの影響を与えています。この世にコービーがいたんだ。コービーってこういうやつなんだ。っていうことをみんながしっかりと捉え、彼のレッスンを自分のレッスンにでき、それを「自分の人生」にアウトプットできればいいと思うのです。何が言いたいかというと冒頭の、彼が生きることができなかった今日という日をあなたはどう過ごしますか?ということ。
きっと彼は、亡くなるその瞬間まで精一杯にその命を燃やし、多くの人を魅了し、仲間をたくさん集めて戦ってきたのだと思います。彼みたいにできなくていいじゃん。あなたが、あなたの人生を精一杯生きているなら。でも、「そっか。コービーってすごいやつが今日を生きられなかったんだ。」と考えて、もう少し頑張ってみようと思えるのならあなたはもっとできるはずだし、今が最高に精一杯なら同じような志を分かり合え、シェアできる仲間ともっと先に進めばいいと思います。
僕が後世に伝えたい話は、彼の生き様とそんな生き様を受けて僕たちにできることはなんだろうって問いかけることかなって、今は思います。
後書き
今回は、彼の細かいエピソードに触れていくのではなく、僕が感じたことを直感的に走り書いている内容になってしまいました。なんというか、新しい知識やものを披露することはできないけれど、今日という日にたまたまこの記事に出会ってくれた人にとって少しでも感じるものをお届けできていたらいいなって(笑)
僕も実はもともとコービーはアンチ派だったし、なんか子どもながら好きではなかった(アイバーソンをやっつけてて許せない!みたいな)けど、彼の人生に触れていくと本当にその格好良さに目が覚めるというのが正直なところでした。人間を好き嫌いで語るほどナンセンスなことはないと思いますし、捉え方が全てで、物の見方みたいなものが変われば見える景色は変わってくるんだなというような体験であったり、僕が書く記事が誰かの何かの少しでも役に立てばいいと思っているくらいなので、コービーについてもそんな感覚でもいいと思うのです。
最近は暗いニュースばかりで、下を向いている人も多いと思います。それに人の温かさみたいなものもあんまり感じられないですよね。画面越しの世界が多し、ふれあいなんて全くないですよね。そんな暗い時にちょっと誰かの命日を思い出して、自分なりに少し自分を見つめるきっかけになればいいかなって。そんな後書きにボリュームのある回になってしまって申し訳ありません。
Mamba Respect, peace
谷村 蓮(タニムラ レン)
バスケットボールプロコーチ
育成年代の指導に着目しています。DDMOを主に、最近ではパッシングバスケットを掘り下げて研究しています。
発信はインスタグラムがメインでたまにYoutubeにも出没します。https://instagram.com/tanimuraren?utm_medium=copy_link
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メインチャンネルは僕が代表を務めるPenguinsのこちら。
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最近はスタートアップのバスケアパレルブランドのアンバサダーとプロデュースをやらせていただいています。ぜひ。
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