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大人の「指示待ち」選手になってない?
「安全管理は選手の務め」正しいリスク回避が選手を育む
日本の気候の特性、特に関東圏は6月末、7月から梅雨のシーズンを迎えて、9月の中旬頃まで高温多湿の環境下におかれます。
気温が高くなり始める7月は雨季の為、湿度も高く、スポーツを行うには十分な注意が必要です。
スポーツに従事してゆくと「何が危険で何が安全か」といったハード面、ソフト面のリスク回避など、スポートを取り巻く環境に対して関心を持ちます。
でも、ジュニアアスリートにはそういった観点はありません。
大人がマネジメントする環境で一生懸命に取り組むのがジュニアアスリートです。
ただ、私はこういったスポーツ環境を整えるプロセスを学ぶことで、選手が身につけることができる力があると考えています。
①体調管理ができない子どもたち
ーいつも「だるい」子ども
厳しい環境を目前に「だるい」「気持ちが上がらない」選手は多いと思います。
大人だってそうです。でも、自分の中にしっかりとしたビジョンがあり、そのビジョンを達成したい願望を叶えるために努力をするという選択肢を取りますよね。
ただし、その中の判断基準において、自分との対話をしっかりとする必要があります。
モチベーションがないまま活動をしていても身にならない。
だからこそ、メンタル面を含めて体調管理をします。
厳しい環境下において頑張れるだけの準備が体調管理と言えるでしょう。 主に、食事、睡眠が大切になります。しかし、この単純なことを達成することでさえ、子どもにとっては様々な誘惑もあり、難しいことなのです。
ーその危険、誰の判断??
では、実際にモチベーションがない、体調の管理ができていない選手に誰がストップをかけるのでしょうか。
保護者かもしれないですし、コーチかもしれないです。
本当は選手が自分で判断をして、保護者や専門家(コーチ)と相談して決定をするのが望ましいですよね。
ここで大切になってくることが、
「何をもって危険とするか」
をきちんと教えてあげるということです。
判断材料(気温などの指数、体調に関する諸症状、その対応など)をきちんと指導しているコーチ、保護者はいるのでしょうか。
子どもにとっては、自身がする体験をいかにステップ(教訓)にして成長してゆくかが大切で、まさに日々が生きる教訓なのです。
危険と判断を下されるだけでは子どもに学びはありません。
体調を管理しろと怒られても何も得るものはありません。
体験を学びにつなげることが大人の責任です。
②管理を教え、子どもを伸ばす
ーまずは環境の管理
環境の管理、判断は比較的に簡単に学ぶことができます。
気温や熱中症指数など数字で示されているものが多く、目で確認すればわかるものが多いです。
体育館は安全か、また何をもって安全かというところは施設のルールやチームのルールの中にあると思います。ルールや指標など中から「発見」をし、判断につなげることです。
難しいポイントは、ソフト面(人為的なところ)で、ついふざけてしまうこと、集中力を欠いた状態、体調の管理もここに含まれます。
ただ単純に試合と同じようにやりなさいという声かけでは子どもには抽象的すぎてわかりづらいので、具体的な様子や試合同様の流れを作ってあげると良いです。
また、こういった心の指導をすることで選手が学べることとというのは非常に多いです。
ー次に体調の管理
熱中症を例にあげると、体調の不良を感じた時点でもうアウトです。
熱中症にならないためにはどうすればいいのか、熱中症にならないために活動の中でやらなければいけない準備や対策などを一つずつ学んでいくことです。
どんな状態になってはいけないのかを知ることで、正しく体調管理や判断ができるようになります。練習の質の部分でも、チームメイトの緊急時などにもその知識や判断は活躍します。
食事面や生活面へと視野を広げなければいけないことが選手の生活を変化させていきます。
この変化は選手の力を伸ばしてゆく変化です。
ー管理を学ぶ子どもは賢い
管理を学ぶ上で身につく力は、
想像力です。その状況に応じていろいろな展開を考えることは想像力を育みます。
また、想像した「良いイメージ」を実現するポジティブな方向へと活動することで質を高めます。
大人と同じ視野を持つことにつながりますね。
次に合理的に考える力です。
リスク回避を想像するところから、リスクを回避するための行動、またリスクに直面したときに行う対応には合理的な観点が求められます。
なぜ練習を中止するのか、なぜ危険を取り除くのか、そこに無駄なアクションを省くことで活動の質を落とさない工夫が生まれます。
また、活動を中止した際に、中止した分の練習を取り返すための工夫も合理性を求められます。
特にジュニアアスリートの活動シーンは時間との戦いで、長時間の練習はできません。
選手が練習の質を高めようとする工夫が非常に大切です。
賢い子どもがいろいろな視野を持って物事を捉えることができるのではなく、いろいろなことを捉えながら活動している子が賢いということです。
③まとめ 生活の変化が狙い、保護者のサポート
ー日常生活へのアウトプット
最後に、この記事の全てのポイントを子どもに求めることができるのかといえば、そうではありません。あくまでも子どもですから、大人からの包括的な支援が必要です。もちろん知識のインプットを忘れてはいけません。
実際に選手の身近で大人ができることは、
活動の主体性を選手に委ねることです。委ねながらできないところを教えてあげながら支えてゆくことです。
大人が何でも行ってしまうと子どもは「指示待ち」状態になってしまいます。自分で考えて判断することをやめてしまいます。
競技における主体性を欠くことだけでなく、判断力も失われてしまい、選手としては黄色信号、危険な状態です。
身近な大人の関わり合いで子どもは何色にも化ける力(=吸収力)を持ち合わせています。その力を引き出してあげるのはいつだって大人の存在なのです。
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