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試合の振り返り〈データと動画の正しい見方〉

前書き

今回は意外と知らない人も多いのではないかと思います、試合の振り返り〈データと動画の正しい見方〉についてです。昨今では、手軽にお子さんのプレーを動画に収めることができますし、それを手軽に配布する方法もあります。しかし、正しい見方を知らなければその折角の機会も台無しに・・・なんてこともあります。

コーチという立場からしてもご家庭でどのように振り返りをされているかというところは非常に興味があります。
今回は谷村式の方法をお伝えしますので、ぜひ実践してみてください!


データ(スタッツ)の正しい見方

スタッツというのは、試合で選手が何をしたかを明確に数値化する言わば試合の成績表だと思ってください。
バスケットにはさまざまな評価項目があり、それらを数値化することで、その選手が試合で実際に何をやったかというのがわかります。しかし、そのスタッツの見方がわからなければスタッツを集計しても意味がありません。スタッツが選手にどのようについていくのかというところを説明しますね。

ステップ1:バスケをはじめたばかりの選手
スタッツ(成績)は、おそらく「0」に近いです。
得点を決めることができなければ、アシストやリバウンドを取ることがないので、基本的に記録は「0」に近いと思います。

ステップ2:だんだん試合で動けるようになってきた選手
ネガティブポイント(ファール、ターンオーバー=相手にボールを取られたりなどのミスをすること)に点数がつくようになります。
これは喜ばしいことで、「ミスをする」の背景としてトライをしている状態になります。

ステップ3:試合で活躍できるようになってきた選手
ネガティブポイント(前述)とポジティブポイント(得点、アシスト、リバウンド、スティール、ブロックなど)がほぼ同数になります。
ミスも起こるが、プレーの成功も起こるという特徴があります。

ステップ4:試合を支配できる選手
ポジティブポイントに加算がたくさんつきます。ネガティブポイントは少ないです。

補足
EFFという成績の算出方法があります。(私のクラブで採用しているもの)
これは、ポジティブポイントからネガティブポイントを差し引いた成績になります。

ステップ1=0
ステップ2=マイナス
ステップ3=0に近い数字
ステップ4=プラス

その際のEFFは、このような点数になる傾向があります。

動画によるレビューについて

ご家庭で選手の動画を見るときはどのようなことを意識しながら見ていますか?もちろん選手のグッドプレーを探していると思いますが、本当に大切なことはそこではありません。こちらは重要度順に説明します。

NO1、選手の好プレー
試合のハイライトとなるグッドプレーは何度も見ましょう。
自身のお子さんのグッドプレーは、特に一緒に見返しましょう。
→モチベーションアップにつながります。また、なぜ成功したか?という成功材料を探すことが、選手の向上に非常に良い効果をもたらします。

NO2、チームメイトの好プレー
何が好プレーだったか、何が成功材料だったかを見つめることで、選手自身が好プレーのイメージを作ります。
→こちらもイメージを作り上げるというスポーツで重要なプロセスをになっています。

NO3、チームの好プレー
チームプレーにおける成功を見つめることは非常に重要です。
バスケは一人ではできません。全体がどのように動いているか、相手の状況、好プレーの瞬間、つまり成功体験を理屈として定着する機会になります。選手が試合に出ていなくても、この作業は非常に大切です。
「もし、君が出ていたら」
という観点が選手を成長させます。

なぜこのような順位づけかというと、子どもにとってビデオを見返すというのは苦痛であることが多いです。しかし、これをスムーズに行い継続していくためには褒めて褒めて褒めちぎるというのを動画を見ながら行う必要があります。

考え方として、
自分の動画を振り返ることができない選手に成功はない。

と言えるくらいこの作業が重要だからです。

このレビューで一番必要がないことは、
・親が自分の価値観を持って選手のプレーを講評する
ことです。
①選手はまず、自分ができなかったこと、失敗したことなどのネガティブポイントについては自分で理解しています。
②理解できない選手は成長プロセスの過程で、理解する必要がない状態です。

①の場合
親がとやかく言わなくても自分で失敗した瞬間のイメージがあるので、成功するイメージを持つような方向性で支援が必要です。

②の場合
自分のプレーの良し悪しもわからない選手に、「ここができていない」「ここが悪い」と言ったところで「???」となるのは目に見えてます。
だから、ネガティブには触れる必要がないのです。

まず、選手が向上したいと理想をイメージすることで初めて「できない自分」に向き合い始めるので、そこまでは気長に待ちましょう。
なんで向上したいかというのは人それぞれで、そのやる気スイッチを押す方法としてわかることは、『ネガティブなアプローチをすること以外の何か』と私は結論づけています。

何度も繰り返しになりますが、
親が選手のプレーの講評をすることこそ無駄なことはありません。
絶対にしない方がいいです。

踏み込んだアプローチをしたい方へ

とは言っても、我が子のバスケ人生を応援したいですよね。わかります。なので親という立場からもできるグッドコーチングを紹介します。トップアスリート全員とも言える、親がファーストコーチ論(イチロー選手、体操の内田選手などに代表されるような)を私は支持しています!!!!

スタンス
まず、私はあなたのファンである!これを選手と共有することです。
次にあなたのスポンサーである!ということを選手に理解させます。ただの支援者ではなく、あなたを支援することで私はこんな幸せがあるということをよ〜く選手に伝えましょう。

落とし穴
好きなことやらせてあげるからこれやりなさい!は半分正解で半分不正解に片足突っ込む場合があります。そのカラクリの裏側までしっかりわかる選手、親子関係であればいいと思います!
ただし、バスケがやらされているものに変わった瞬間に全ては崩壊します。

上記の話なんて家庭それぞれですので、ぶっちゃけどうでもいいです。
ただ、アスリートの親たちは育児本でそんなことを語っていまので紹介です。

データと指導について
バスケットボールというのは言わば戦略のスポーツであるということを理解してください。正しく理解してください。実力差=点差ではないということをまず知ってください。

得点に大差がつくケース(原因)
・プレスディフェンスが敷かれる
どういうことかというと、強い方のチームが時間をかけずに攻め、得点をし、攻守が切り替わる際には相手のオフェンス機会も時間をかけずに奪う状態

大差をつける方のチームのオフェンス回数が多く、シュートの回数、成功回数も多い
逆に負ける方のチームはオフェンスの回数、シュート回数も少ない

強い弱いではなく、こういった戦術面の問題が大差を作ります。
弱いからこのプレスディフェンスを突破できないのではなく、プレスディフェンスの攻略法を知らない(もしくは実行できない)から大差がつくのです。

面白いポイント
プレスディフェンスは、解決方法を教えるより、プレスディフェンスの実行方法を教える方が簡単であるということ。
こういう指導における裏事情も意外と面白かったりします。

スタッツにつかない頑張りについて
試合の中ではもちろんスタッツにつけることはできないけど、ファインプレーということも多くあります。
例えば、
・攻守が切り替わる瞬間に誰よりも早く戻る
これはスタッツにつけることはできないのですが、バスケットで最重要とも言えるポイントです。同時にボールまで止めちゃったらそれは素晴らしいプレーです。


「あんた何もやってないじゃん!!!!」

と言いたくなるときについて

確かに我が子を見て、活躍をしていない、ボールをもらっていない、やる気ないの??って思うことってありますよね。よくわかります。
まず一個お伝えしたいのは、

「何もしていない」と第3者が感じるポイントについて、アクションは置いておいても『選手の気持ち』を否定するのはやめてあげましょう。
バスケットボールをしていて、ゲームスピードに合わせて「何かができる」というのは本当に難しいことです。練習でやったことを表現しなきゃ!!コーチに怒られるかも!?相手が怖い!そんな色々なことを考えながらプレーをしています。チームメイトに怒られるのでは、失敗したら怖い・・・!色々なものと戦いながらコートに立っていることをリスペクトしましょう。

動かない=やる気がない
というのは全く筋が違う話なのです。

バスケはボールを中心に、全て順序通りにプレーが進行していきます。簡単に説明をすると、

相手にシュートを打たれ、決まった瞬間に攻守が切り替わります。

エンドラインからスローインをします。

ボールをもらった選手はフロントコート(相手陣地)へボールを運びます。

リングにボールを入れるために必要なことをします。

ボールを中心に考えるとこのようなところですが、
このボールに関わる順番も役割によって異なったり、状況によって変わります。このボール側の動きをする選手は、それぞれのプロセスにおいて1〜多くても3人です。
5人が同じ動きを同時に行うことはありません。

何が言いたいかというと、それぞれの状況で、その選手がその瞬間にベストを尽くせていればいいのです。

冒頭のプレスディフェンスの状況で言えば、
大変なのはボールを運ぶ選手です。まずはボールを奪われないように細心の注意を払いながらボールを進めなければいけません。その他の選手は案外疲れないっていうのもあります。

まとめ

私が何を伝えたかったかというと、
あえて選手に苦痛を伴うつまらない作業をさせるので、少しは楽しいものに変えていこうというお話と、レビューを楽しめる選手はもう何もいうことがないので動画やスタッツを通じて、『(ゲームでは)その瞬間に見ることができなかったフロア状況を細部まで見る』ことができればいいのです!
この2つが私のパンチラインでした。

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Coach_Tanimura
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