【DDMO】習得までに必要なこと
前書き
DDMOの戦術の理論について解説きましたが、戦術の習得以前に理解しなければいけないことについて述べていきます。
指導者の方はもちろん、選手の皆様もDDMOの習得を目指し、チーム一丸となって練習していると思いますが、作戦の形やプレイヤーの役割を身につける前に重要なことは「バスケットたるもの(DDMOバージョン)について」理解を深める必要があると私は育成年代指導の中で感じています。
ここまでのおさらいを兼ねて進めてまいります。
まずはここまで書いてきた記事をご覧の上、お読みください。
オフェンスのゴール
バスケットボールにおけるオフェンスのゴールというものは、シュートを決めることです。
相手を抜くことでもなければ、パスでもありません。ドリブル、パス、カッティング、それらの動作は全て点を決めるための『動き』でしかありません。ディフェンスが常にいるスポーツですので、単純に狙いをすましてボールを放てばいいというものではありませんね。
では、そのようなシュートを放つことを目指せば良いのでしょうか?
これは決まって「高確率で決める事ができるシュート」という結論があります。それは、
ノーマークの状態で打つシュート≒高確率で打つシュート
と解釈していいと思います。
ただし、バスケットボールの試合の中でノーマークを作るということは非常に難しいことです。なので、DDMOなどのオフェンス戦術を以て作り出すのです。
ノーマークを作り出すためにオフェンスで気をつけなければいけないこと
(1)広がること
バスケットボールには秒数やコート内の限られたエリアなどルールにより制限があります。ただし、オフェンスは全員がリングを目指すためにどうしても選手同士の距離が近づいてしまいます。
オフェンスの選手同士が近づいてしまうとディフェンスを含めた状態ではリング付近で密集してしまう事があります。
なので、予めコートをたっぷり使うために広がったポジションをとると良いでしょう。
(2)ディフェンスとリングを見る事
バスケットボールの指導教本や指南書ではリングを見たときにディフェンスが視野に入るのでまずリングを見ましょうと書いてある事があります。
そしてコーチも普段からそのような言葉をかけてくれていると思います。
これは正解です。
ただ、私はリングを見る中にディフェンスを見るよりもディフェンスを見る中でリングを見た方が良いと思います。
これは、マッチアップされているディフェンスではなく、相手のディフェンスの布陣という事です。
比較的難しくなってしまいますが、ディフェンスの布陣(どこに誰がいるか)を見る事ができないうちはリングを目指すことは難しいです。
重要なことは相手を抜くことではないという言葉がポイントで、最終的には点をとる事が目的なので相手の形を見る訓練を普段からしましょう。
(3)パスが重要
バスケットボールのオフェンスにおいてまず気をつけなければいけない事が『パス離れ』です。5人制バスケットボールはコートが広いことはもちろん、チームプレーが全てです。パス離れの悪い選手はただのカモ(穴)でしかありません。DDMOでもこのパス離れの重要度はどの文献にも基本的には論述されています。
ノーマークを生み出すので5人の動き、そしてノーマークを活かすのはパスの力です。
パス離れの良さというのは、適切なタイミングでボールを仲間に預けるスキル(及び判断)と言い換える事ができます。
残念ながらどのオフェンス戦術においても決定打を作り出すのはスキルの高いパスなのです。ドリブル主体のオフェンス戦術であるDDMOでも決定打を生み出すのはパスなのです。
(4)相手のディフェンスを崩すという観点
ディフェンスというのはオフェンスとリングを結んだときにオフェンスの内側にいますよね。この状態から、オフェンスがディフェンスとリングの内側に入る必要があるのです。
当然ながら基本的にはこのようなポジショニングでディフェンスは守ってきます。基本はマッチアップとリングを結んだ線=ボールラインの間に立ってオフェンスを阻みます。
相手の布陣を崩すというのは、
こういう形のことをいいます。
オフェンスがディフェンスより内側(リング側)に入ることです。まさか、こんな形は不可能だ!という方はまだまだです。
あっ!これはリバウンドの形だ!という人は素晴らしいです。その通りです。どのような形でもシュートを放つ事が成功した時に次の動作はリバウンドポジションの争いです。
これは逆説的ですが、アウトナンバーシチュエーションを作り、シュートを放つことを成功させた時はこのリバウンドポジションに入りやすいのです。
何が起きるかというと
ドライブもしくはカッティングとパスによりアウトナンバープレーが成立
↓
ディフェンスはマッチアップの変更が起きる(ローテーション)
↓
ディフェンスは常にズレができる
↓
ノーマークが生まれる(一瞬)
↓
ズレを利用してリングの内側に入る事ができる
いいリバウンドポジションに入る事ができたオフェンスは間違いなく相手の布陣を崩していると言えます。
(1)〜(4)までを達成するために必要な能力はなんでしょう。
ものすごくたくさんの時間を費やして身につける能力や多くのゲームをこなす事で身に付く経験?
どれも不正解です。正解は、『顔をあげる事』です。これはDDMOの文献にも書かれています。
オフェンスで最も重要なことは、顔を上げて判断できる体制を作ることです。
DDMOは、高い技術を求められる戦術で間違いはありませんが、上達までの道のりはファンダメンタル(基礎)の向上にこそあります。
バスケットボールの特性
バスケットボールの特性にも触れておきたいと思います。
基本的にはバスケットボールはオフェンスが有利なスポーツです。これは語り出すとキリがないので割愛します。
育成年代が特に陥りがちな失敗を取り上げていきます。
先述の相手を崩すプロセスで顔をあげる事が重要なことは理解ができたと思いますが、具体的にどのように?というのが課題です。
バスケットボールは、ボールを持たない選手の自由度が非常に高いスポーツです。
全ての選手に平等な権利が認められていますよね。ボールを持つ選手には制約が課されます。(ダブルドリブルやトラベリングなど)このルールを逆手にとる事がまず重要です。
ドリブルを使ってリングを目指すことも大切ですが、
それ以上に必要な判断としては、
ボールを持たずにマークマンをやっつける事ができればその方が簡単だという事です。
ボールを持たない選手はなんの制約もなく移動する事ができるのはバスケットボールの特性です。
この時選手が考えることは、「自分が動いたら仲間の邪魔になるのではないか・・・」
このように考えてしまう選手はいると思います。
仲間の邪魔をしないためにチームには戦術のルールがあり、動きに約束のある形を作り出すのです。
それがDDMOでは私が解説しているルールだったり、フォーメーションだったりするのです。
まとめ
ここまでDDMO以前に必要な心構えのような部分について触れてきました。
これはコーチングフィロソフィーとも言える根幹の部分です。
あくまでこの心構えは個人が準備する部分です。
DDMOを身につけていく上でも必要な心構えですのでしっかりと心に留めてもらえると嬉しいです。
そして、サポートで支援していただけると嬉しいです。(笑)