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育成の矛盾について
前書き
育成、育成と普段口にだして活動をしていますし、私がリーダーをしているクラブチームでもボトムアップを掲げてどの選手にもマッチするような育成を綿密に、心がけています。
ただ、ずっと引っかかることもあります。
今日はそんな育成が抱える矛盾について書きたいと思います。
可能性と”不可能性”
可能性という言葉はよく耳にします。特に子どもを対象とした指導では「夢」や「目標」などポジティブなモチベーションから選手の育成をする部分、選手と共有し前を向いていくところがあると思います。
そこに対して”不可能性”という言葉をあえて用いて育成に潜んででいる問題点に着目したいと思います。
「何かができるようになる」
というステップには
「できるようにならない可能性」
も潜んでいます。
ただし、技術の獲得については正しい道筋や問題点への対処方法などを間違えなければこの不可能性は回避できます。
ただし、相対的な評価を得る必要性のある「夢」「目標」については自分自身の努力だけで必ずしも叶うものではありません。
昨今のバスケ界では特に議論されている部分になります。
アフリカ諸国やヨーロッパ、そして日本などNBAにおける国籍的にマイノリティ選手(外国人選手)の母国で起こる問題点(もちろんアメリカも例外ではない)として最近声が上がるようになったのがこの可能性に対するリスクの話です。
「八村選手のようになりたい」
と目指す子どもたちへ正しくコーチングをしなければいけないということです。
以前の記事で触れている部分ではありますが、
NBA選手になれる確率は、一体どれくらい熾烈な争いを勝ち抜き実現されるのか。
この現実をどのように教えてあげることができるのか。
そして、各年代ごとにどのような目標を達成できないと実現することができないのか。
確率を上げるためにできること。
そして、最後にはこのレースからすでに外れてしまっているけどNBAを目指したい選手にどのようなコーチングをすることができるのか。
この辺りに真剣に向き合ってこそ、育成であるし、時に生まれる矛盾にどのように向き合っていくかもまた重要なのです。
実はアメリカにもたくさんいます。 NBA選手に憧れ、人生の長い時間に情熱を注ぎ、そして30歳を超えたあたりで何も達成していないことに気づく選手たちが。本当に大勢います。彼らが最終的にどのように幸せを掴んでいくのか、皆さんは知っていますか?
テーマは自己肯定感
こうした不可能性に着目した上で重要になってくるのが、
自己肯定感をどのように育むかというところです。
例えば、
NBAの下部リーグに所属することを選ぶ選手、他国のリーグやマイナーリーグに入団する選手がいます。
自分が輝ける環境を選んでいくことやNBAではないけどプロ選手になれる道を模索するもの。コーチやアナリストのようにバスケと携わる道を選ぶ者。終着駅はさまざまだったりします。
でも、こうした新たな選択をする上で今までの道のりを蔑ろにしないためにも、選手にはバスケを通じて明確な何かを掴んでもらう必要があります。
それこそが、自らの人生に幸福をもたらす基本になる『自己肯定感』なのです。
特に子どもには、こうなってほしいと押し付ける”敎育思想”ではなく、自らがこうなりたいという思い「アイデンティティ形成」。そして、なりたい自分になっているという実感=自己肯定感というイメージで人格作りをアシストしてあげなければいけません。
日本の子どもは世界と比べると自己肯定感が低いです。それは強調社会であるからです。自分が好きでも自分を好きと言ってはいけない風潮がある。
他とずれてはいけないという風潮がある。
それを9歳(ギャングエイジ)から学ぶと言われています。
個性や思想において多元的な視点や多様なものをどのように寛容していくか、みたいなところは大きな課題でありますよね。
ゴールデンエイジに学ぶ成長学
問題点については、長ったらしく、くどいくらいに書いてきました。要約すると、夢を叶えられない選手をどう育むか。とうことです。
矛盾というのは、夢を見せて色々伝えているはずなのに、夢を叶えられないことを教えるということです。
ここでは余談になりますが、ゴールデンエイジ(ここでは4歳〜小学校低学年)がすごいなって思ったお話です。
私は普段中高生をメインで指導しているので小学生を指導したのが久しぶりで・・・
言うことなんでもきいてくれるんですよね。
そして、みんなができると思って取り組んでくれる。(自信ない子もいるけど)
その時思ったのは、
「この子たちの脳みそってスポンジなんだな」
って。
本当に柔軟。考え方がすぐに変わる(良くも悪くも)。
絞れば教えたことは全部出ちゃう。でも全部吸収してくれる。
これって成長ともにだんだん硬くなって吸収できなくなって、スポンジの形さえも変わっていって(良くも悪くも)。
この素直さや吸収力は子どもの才能なんだよなって思いました。可能性に賭ける思いもしかり。
NBA選手のサクセスストーリーにおける共通点
結論として、うまくいく、いかないを考えた時も含めてNBAなどサクセススートリーを歩んでいる選手からヒントを得ていくというところに着地したいと思います。
レブロンジェームズ、コービーブライアント、カイリーアービングなどNBAで伝説的に成功をしている選手たちに共通する部分は多いのですが、その中の一つに焦点を当てます。
それは、
『信じる力』
です。
自分にどのようなことが起きても、
自分がどんなに非難されても
自分が自分であることや自分を肯定すること、ネガティブな自分と向き合い、答えを出すこと。
全てに対して必要なことは
『信じる』
ことです。
できないかもしれない けど、 信じてやってみよう
できなかったけど、信じてやってみた
例え失敗でも自分を信じるという力は確実に身についていきます。
ふと、自分のことを振り返ってみませんか。
人生で成功したことって大小関わらず一つはあると思うんです。
①できないと思うことができたことってあると思います。
その時に自分に何が力を貸してくれました?
②逆に、人間関係では
「信じていたのに裏切られた」
なんて思うことはありませんでしたか?
①は可能性に対して浮上する不可能性を、
刻んだタスク、ひとつひとつのステップと向き合い、時に必要な能力や協力を得てクリアしていった。そしてその中には、成功を信じるプロセスや自分に対する可能性を見つめた結果だと思います。
②は逆に信じるというアクションがどこか「期待」に変わってしまっていたのではないでしょうか?
期待というのは「信じる」というよりは「思い込み」に近いものがあります。理想とする姿や結末を想像して、
「そうなったらいいなぁ」という思いをその中に入れてしまうことによって本質が見えなくなる思い込みのような状態です。
これは実は「信じていた」ではなく、期待していただけということです。
期を待つ
読んで字の如く、これはかなり受け身な状態であり、主体的な状態ではありません。受動な形なのです。
こう考えてみると、成功体験と人に裏切られるは、実は近しいものがあり、人生における強烈なレッスンそのものです。
自分の夢や理想像を他者や自分に一方的に押し付けるもの
=期待
期待がで実現されない場合は喪失感を得る
→自分がどうにかできるものではないため、喪失感を払拭することは難しい
本来、夢や理想というのは主体的で本人にこそ宿るもの。
だからこそ勝手に思い込み、押し付けるのではなく、
正面から信じなくてはいけないのです。
そして信じるにふさわしい自分であり続ければいいのです。
後書き
今回のテーマで一番大切なことは、
物事の結末はハッピーエンドに限らないということを教え、幸せというものを捉える柔軟性を子どものうちから教えてあげることが大切だということです。
いかにスポンジ脳でいることができて、
期待を寄せるのではなく、信じていくこと。
信じる力を育んでいくこと。
バッドエンドでもハッピーでいられるような
マインドを手に入れること。
そのためには自己肯定感を高める必要性があるということ。
最後に、子どもは簡単に自分を信じることなんてできません。
だから一番近くにいる大人たちが子どもたちを信じてあげること、信じるに値する行動を教えてあげることが大切なのです。
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