Pick&Rollの戦術分解整理Vol.①[育成カテゴリー向け:構造解説と導入時のポイント]
本記事の目的
こうして、本記事に興味を持ってお読みいただきありがとうございます。
この記事を読んでいただいている方々は、育成カテゴリーの指導者、コーチ、学生選手の皆さんが非常に多いかと思います。
みなさんは、育成カテゴリー(U15,U18,大学カテゴリーを指しています)においてPick&Rollの導入方法について悩んだりしませんか?
本記事では、育成世代(対象U15,U18)におけるPick&Rollの戦術要点、ポイントをまとめました。Pick&Rollにおいては、多くの情報が存在します。しかし、実践的で有効的なポイントはいったいどういった部分なのでしょうか。
自身のU15,U18,大学ヘッドコーチ経験、NCAA-D3大学でのバスケットスタッフ経験やNBAでの練習見学経験、そして、現役のU18カテゴリーコーチという特性を活かし、育成カテゴリーでも効果的なPick&Rollをするためのポイントを整理し、高い再現性で実行できるようにまとめました。
おすすめの方
この記事は、次のような方におすすめです。
●育成カテゴリーU15,U18の指導者、コーチの方
●Pick&Rollをチームに導入したい方
●Pick&Rollの特徴を知りたい方
是非、効果的なPick&Rollを作り出すための参考にしていただければと思います。
現代バスケットボールとPick&Roll
バスケットボールでは、一見多くの要素が複雑に絡み合ってプレーが構成されているように見えますが、大きく次の要素で成り立っています。
①自チームによる戦術遂行
②相手チームによる戦術遂行
③自分自身による状況判断,プレー遂行
④相手個人による状況判断,プレー遂行
現代バスケットにおいて、Ball screenは最も多用される戦術です。
そのため現在では、オフェンス側だけでなくディフェンス側もさまざまな守り方を仕掛けます。
自分達が仕掛けたい戦術でも、「相手の対応により実行することができない」という状況が生まれやすい戦術でもあります。
こうした視点を持った上で、育成カテゴリーにおいてPick&Rollをどのように導入していくべきか。
今回は、育成カテゴリーにおいても再現性の高いPick&Roll を導入できるように要点を整理してお伝えいたします。
Pick&Rollの各種類と構図
Ball screenと言っても、スポット別に大きく3つの種類があります。
各スポットでball screenを行う際に、それぞれ名前がついており、狙いどころや遂行する上でのポイントが違う部分もあります。
①Side Pick
Side Pickは、フリースローラインの延長線上(ファウルライン上付近)を起点にて行われるPick&Roll になります。特に育成カテゴリーがPick&Rollを導入する際には、Pick&Rollの原理原則の説明と、選手が成功体験が積み上げやすいPick&Rollです。
②Elbow Pick
Elbow Pickは、主にペイントエリアを作るボックスのエルボーから伸びる線上を起点に始まるPickになります。Side pickに比べるとミドルレーン付近からスタートするので、ボールサイドコーナー付近にはかなり大きなスペースができます。一方で反対サイドの敵、味方との距離も近くなるので、ハンドラーは注意しなければなりません。
③High Pick
High Pickは、ミドルレーン上で行われるpickのことを指します。High という言葉通り3ptライン付近で行われる他Pickとは違い、3ptとハーフラインの中間の高さ、もしくはハーフラインよりの高さを起点に始めます。3つの種類のPickについて紹介しました。
以上、3つの種類のPickを紹介しましたが、今回はSide Pickの構造を紹介していきます。
育成カテゴリーにおいて有効なPick&Rollの構図
Pick&Rollを行う際に、まず考えなければいけないのが「相手のDEFをどういった状況にさせたいか」になります。
育成カテゴリーにおいてPick&Rollを行う際に、有効な構図とは何か?
相手のDEF構図=Chase&Drop
●Chase:①ハンドラーDEFが、5スクリーナーの外側を通り①ハンドラーを追いかけるDEFのことを指します。(ファイトオーバーと同義になります。)
●Drop:5スクリーナーのDEFが、5スクリーナーとの間に距離を持たせるDEFになります。「コンテイン」という呼び方をするチーム(東海大学など)もありますが、ほぼ同義です。
「なぜ相手DEFを「Chase+Drop」にするのか?」
相手DEFをChase+Dropにする狙いは2つあります。
①Chase+Dropの状況が、最も相手DEFとズレが作りやすくアドバンテージが取りやすい。
②show up, switchなど、オフェンスに高度なスキルが求められるDEF対応を避けることができる。
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